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第189話 悪魔の誕生日です

 ブランとゼランとの夕食の時間。

 私は新たな問題であるブランとゼランの誕生日プレゼントについて二人に聞いてみた。


「ブラン様、ゼラン様。お二人の誕生日に贈るプレゼントなんですが何か欲しいモノはありますか?」


 するとブランもゼランも食事の手を止めて私を見る。


「欲しいモノを言ったら何でもくれるのか?」


 そう言ったのはブランだ。

 私は内心怯む。


 ブランもゼランもこの国のほとんどの物を持っていると言ってもおかしくない存在だ。

 二人が望むモノが高価なモノだったら私に用意はできない可能性が高い。

 それに二人が私を見る視線に熱いモノを感じて私は嫌な予感がした。


「私が用意できるモノでしたらなるべく希望されるモノをご用意しますが」


 私が控えめに言うとブランはニコリと笑みを浮かべる。


「私はアリサが欲しい」


「私もアリサが欲しい」


 ほら、やっぱりそう来ると思ったわ。

 二人の超絶イケメンに望まれるのは嬉しいが私はまだブランかゼランか決められない。


「私はまだお二人のどちらかを選ぶことはできません。「私」以外のモノで欲しいモノはありませんか?」


 私は二人の言葉をかわしながら再度聞いてみる。


「それは残念だ。アリサ以外のモノか……ならばアリサの心のこもったモノなら何でもいいよ」


 ゼランはそう言った。


 心のこもったモノかあ。

 何か手作りのモノとかかなあ。


「そうだな。私もアリサの心がこもったモノなら何でもいい」


 ブランもそう言葉を続ける。


 お金で買えるモノは他の貴族たちが二人に贈ることが想像できる。

 やはり二人には世話になってるし他の人とは別のモノを贈りたい気持ちはある。

 ここはやはり手作りの何かにしよう。


「分かりました。何か私の心のこもったモノを考えます」


「楽しみに待っているよ」


「私も楽しみだ」


 ブランもゼランもそう言って微笑む。


 う! 久しぶりに超絶イケメンビームを感じるわ。


 夕飯が終わり私はホシツキ宮殿に戻る。

 私の護衛のサタンも一緒だ。

 イリナはホシツキ宮殿に先に帰っている。


 私はふとサタンを見る。


 そう言えばサタンって誕生日あるのかな?

 戦場での記憶が一番古いなら自分の誕生日を知らない可能性はあるわよね。


「ねえ、サタン。貴方の誕生日っていつ?」


「……私は7月7日です……」


「え? ブランたちと同じなの!?」


「……はい……ブラント王太子殿下が便宜上でも誕生日は必要だからと……」


 まあ、それはそうよね。

 この国では住民は役所に住民として登録されて初めてダイアモンド王国の国民となれる。

 その時には自分の生年月日が必要なはずだ。


「そうよね。サタンはダイアモンド王国の国民の登録に必要だったから誕生日を決めたのね?」


「……はい……それに……」


「それに?」


「……ブラント王太子殿下は『自分たちと同じ誕生日ならお前の誕生日を国民が祝ってくれるぞ』と……」


 それってサタンには誕生日をお祝いしてくれる「家族」がいないから誕生日をブランたちと一緒にすることでサタンの誕生日も国民が祝ってくれているってことにブランたちはしたかったのね。


 私は今までたった一人で生きて来たサタンの人生を思って少し涙が出そうになったがグッと堪える。

 ここで私がサタンに同情してもサタンは喜ばないとなぜか感じたからだ。


「そうなのね。じゃあ、その日はサタンの誕生日もお祝いしないとね」


「……いえ……お気遣いなく……」


 サタンは無表情に答えるが私は心に決める。


 ブランとゼランとサタンに何か手作りのモノを贈ってお祝いしてあげよう。

 何にするかはあとでセーラとかにも相談しようかな。

 作る材料がこの世界にあるかどうかから調べないといけない。


 まあ、なんとかなるわよね。


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