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第172話 曲者揃いのようです

「次のディッシュ侯爵という方はどんな人物ですか?」


 私はリストの紙を見ながらブランに尋ねる。


「彼は一言で言えば『料理をこよなく愛する男』だな」


「料理ですか?」


 ディッシュ侯爵はグルメ評論家か何かなのかな?


「そうだ。彼は国内国外問わず珍しい料理を食べることに執念を燃やしている。私も何度か珍しい食べ物をもらった」


「うん。それに彼は国内の料理人に対して自分の店を持つ時にお金を貸してあげたりもしているらしい。彼曰く『料理は世界共通語だ』そうだ」


 なるほど。料理に詳しくていろんな料理を食べることを生きがいにしている人物か。

 料理人にお店の開店資金まで貸すなんてそれだけ財力があるってことかな。


「ディッシュ侯爵は料理人にお金を貸すことができるぐらい裕福なんですか?」


「そうだな。ディッシュ侯爵の領地はこのダイアモンド王国でも有数の土壌の良い地域にあって、その自分の領地内で品質の高い農産物を生産して売っている。収入は多いだろうな」


 そうか。資金が豊富だから人にお金を貸したり珍しい食べ物を集めたりすることができるのね。

 ん?もしかしてディッシュ侯爵なら「イチゴ大福」がこの世界にあるか知ってるかしら。

 会った時に機会があれば聞いてみたいわね。


 私はモチ大福屋のイチゴ大福を頭に浮かべながらメモを書いていく。


 でも納税によって自分の資金が減るというなら『高位貴族の納税』には反対してくる可能性はある。

 要注意人物ね。


「それに彼は商売をしているから商人たちに顔が広い」


 ふむふむ。自分が農産物の取引きをしてるから商人たちとの結びつきも強いか。

 それは味方にしたら頼もしい人物ね。

 経済を動かす中心はやっぱり商人たちだもんね。


「次のシップ侯爵というのは?」


「シップ侯爵の領地はこの国の南にあってその大部分が海に面している。そのためにシップ侯爵は自分の船や戦艦も持っているよ」


 え? 戦艦?


「この国に戦艦があるんですか?」


「ああ、海から攻められる可能性も無いわけじゃないし、戦争をしてなくても戦艦を使って海賊退治をしてるんだ。スノー公爵が北の守りならシップ侯爵は南の守りだね」


「そうそう、シップ侯爵は海賊たちから恐れられているしね。南の海を航海する商船が無事に目的地に行けるのもシップ侯爵の働きが大きいな」


 そうか。盗賊がいるんだから海賊がいてもおかしくないわよね。

 海賊がウルフたちみたいに人殺ししない集団とは限らないし。


 それに商船がダイアモンド王国の南の海上を行き来してるのか。

 海賊から守る代わりに「通行料」とかを商船から取ってもいいかもね。

 まあ、現状を調べてみないと分からないけど。


「だからシップ侯爵は漁師や船乗りからは絶大な支持を得ている。まだ二十代なのになかなか有能な人物だよ」


 へえ、そんなに若いのに信頼を得るだけの実績を残しているってことね。


 私はどんどんとメモを書いていく。


「最後のビューティー侯爵というのは?」


「ああ。この中では唯一の女性侯爵だ。先代の侯爵には彼女しか子供がいなくて婿をとったんだが夫の方は病で亡くなって、まだ子供も成人してないから彼女が侯爵位を継いだんだ」


 そういえばダイアモンド王国の法律書でも男子を優先とは書いてあったけど女子も爵位を継げるって書いてあったわよね。

 女性侯爵か。王妃様のお茶会で貴族令嬢たちには会ったけど、おそらく爵位を持つような女性は彼女たちとは違うような気がするわ。


「彼女は一言で言えば社交界の女性たちの頂点にいるような人物だ」


「女性たちの頂点? でも女性で一番地位の高い方は王妃様ですよね?」


 私がそう言うとブランとゼランが笑う。


「それは単純に地位の高さの場合さ。彼女は女性たちの間で好む最新のドレスやアクセサリーや香水などをいち早く取り入れて女性たちに紹介するんだ」


「彼女が取り入れたモノは次の社交界で必ず流行すると言われている。彼女は若い令嬢だけでなく既婚者のご婦人方からの人気も高い」


 なるほどねえ。ファッションリーダー的な人なのかな。


「それに彼女は自分の商会を持っているから商人としての腕もなかなかのものだ」


「そう、それに私たちとは幼馴染だし」


 え? ビューティー侯爵はブランとゼランの幼馴染なの?



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