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第171話 悪魔をスカウトしたのは正解です

「ブラン様、ゼラン様。今日お伺いしたいのはお願いがありまして」


「お願い? 私と結婚して欲しいということか?」


「違うだろう。私と結婚して欲しいってことだよね?」


 だーかーらー、その発想から離れなさいよ。


「いえ、そういう話ではなく、次回の首席会議に出席する高位貴族の代表者がどのような人物たちか教えて欲しいと思いまして」


「ああ、そういえば代表者も首席会議に出席するんだったな。いったい誰が代表者なんだ?」


「はい。この紙に書いてある人たちです」


 私はブランに紙を渡す。


「これか。ホット公爵にクラシック公爵にスノー公爵、それにモーション侯爵にディッシュ侯爵にシップ侯爵にビューティー侯爵か」


「よくもまあ、すごい顔ぶれを集めたもんだな」


 ブランの言葉にゼランは呆れたような声を出した。


「そうだな。この人物たちを指名するなんてホット公爵のやりそうなことだな」


 ブランも眉をしかめている。

 この二人の反応から言ってどうやらこの代表者たちはやはりそれなりの実力者たちなのだろう。


「ホット公爵様とクラシック公爵様には既にお会いしているのでお人柄は承知しております。その他の方々がどのような人物か忌憚ない意見をお聞きしたくて」


 私の言葉にブランとゼランは顔を見合わせるがブランが口を開いた。


「まずはスノー公爵だが、彼の領地は北のルビー王国と接している国境を守る者だ。領主貴族でもあるし、スノー公爵自身は王国軍に軍籍を持つ軍人でもある」


 なるほど。領主貴族でありスノー公爵自身が軍人でもあると。

 私は持って来たメモ用紙にそのことを書いて行く。


「そうだな。彼は軍人だし公爵という身分に拘らず軍隊の先頭を切って行くようなタイプだから軍人たちからの信頼も厚い」


 ゼランが言った言葉も私はメモしていく。

 軍人からの信頼が厚いか。そうすると王国軍の改革をする時には相談に乗ってくれるかもしれないわね。


「それに実際にそこにいるサタンとも共に戦場に行ったことがあるしな」


「え?」


 サタンと一緒にスノー公爵は戦場に行ったことがあるの?


 サタンは今も無表情で部屋の隅に立っている。


「サタン。貴方はスノー公爵と一緒に戦ったことがあるの?」


「……はい……」


「スノー公爵ってどんな感じの人?」


「……私に……食べ物をくれました……」


「え? それって例のサタンの一番好きな食べ物のこと?」


 サタンを悪魔に変える食べ物のことだろうか?


「……いえ……違います……しかし……ダイアモンド王国にいれば……おいしい食べ物が……食べられると……」


「え? じゃあ、そのスノー公爵に誘われてダイアモンド王国に仕えることになったの?」


「……はい……ダイアモンド王国の食事は……おいしかったので……」


 グッジョブ! そのスノー公爵にお礼が言いたいわ。

 サタンを他の国に取られる前にサタンの基準が「食べ物」ってことを見抜いてスカウトしたおかげでこのダイアモンド王国のクビが繋がったようなものだもの。

 そうするとスノー公爵も人を見る目や状況判断する能力に優れていると考えた方が良さそうね。


「そうそう、サタンのことはスノー公爵から紹介されたんだった」


 ブランが思い出したかのように言う。


「そうですか。それでサタンはブラン様の部下になったんですね」


「まあ、そうだな。その時にスノー公爵には『サタンに食べさせる料理だけは横取りするな』と注意されたなあ」


 ハハ……それってスノー公爵はサタンが好きな食べ物を盗賊に盗られて盗賊団を皆殺しにしたことを知っていたのよね、きっと。


「それでスノー公爵は食べ物をくれた以外でどんな人物か教えてくれない?」


「……よく分かりません……」


「一緒に戦場に行ったことがあるのに?その時は一緒に過ごしたんでしょう?」


「……私は……スノー公爵に……興味はなかったので……」


 サタンは無表情に答える。


 なんとなくそんな気はしたけどサタンから「食べ物」以外の情報を聞くのは難しいわね。

 でも戦場で一緒に戦っていても「興味ない」の一言で済まされるスノー公爵がなんか哀れだわ。


「ブラン様、ゼラン様。次のモーション侯爵様というのはどんな方ですか?」


「ん? モーション侯爵か。彼はいろんなスポーツの発展に力を入れている。スポーツ大会の主催者を務めることも多いな」


「特にモーション侯爵が好きなスポーツは何か分かりますか?」


「そうだな。具体的には知らないがモーション侯爵から話題によく上がるのはサッカーとかかな」


 え? この世界もサッカーとかあるの?

 と、するとプロサッカー選手とかもいるってことかな。


「この国にはプロのサッカー選手とかいるんですか?」


「ああ。スポーツで生計を立てている者はいるがそれらは極一部の者たちだ。だいたいのスポーツ選手は副業を持ちながらの生活さ」


 私はブランとゼランが言ったことを書いていく。

 やはりスポーツ選手はスポンサーがついてないと活動は難しいのね。


「そのモーション侯爵はスポーツ選手に援助とかしているんですか?」


「ああ。だが、彼も全てのスポーツ選手の面倒はみれないからいつも他の貴族や私たちに少しでも寄付をしてくれるように言ってくるよ」


「それにモーション侯爵は三大国にいるスポーツ選手たちとも繋がりが深いしね」


 なるほど。外国とのスポーツ交流みたいなものかな。

 外国にも支持する人がいるのは強みね。


 私の元の世界でもスポーツ交流は普通にあったもんね。

 ただ、それが時には政治利用されてるって批判もあったけど。

 とにかく国民同士での交流ができれば戦いになる可能性を少しでも下げることができるかもしれない。

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