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第169話 味方は多い方が有利です

 馬車でホット公爵家に向かう。

 私と同じ馬車にイリナが乗り馬車の外には護衛のサタンが自分の馬でついて来る。

 イリナも馬に乗れるらしいのだが私は敢えてイリナに私と馬車に乗るように言った。


 今日は少し雨が降っていたのだ。雨の日のお出かけもサタンは自分の馬で私について来る。

 もちろんサタンも雨衣を着てはいるがそれでも冷たい雨に打たれることに変わりはない。


 サタンにとっては雨など気にもならないだろうが常人離れしているサタンはともかくイリナに風邪をひかせるわけにもいかない。

 なので私は「馬車の中で私を守る護衛も必要でしょ?」と言ってイリナを納得させた。


 とりあえずイリナにはサタンを見習わないようにさせないとね。

 サタンに常識は当てはまらないから。


 私はイリナをチラリと見ながらそう思った。


 馬車はホット公爵家に着いた。

 使用人がホット公爵のいる部屋まで案内してくれる。


 先日ここに来た時に案内された部屋と同じ部屋にホット公爵はいた。

 私が部屋に入るとホット公爵は私を見て微笑む。


「これはアリサ様。今日はどうされましたか?」


「はい。先日、ホット公爵様が仰っていた『高位貴族の納税』の原案ができましたのでお持ちしました」


「そうですか。どうぞ」


 私はホット公爵に勧められてソファに座る。

 そして自分の持って来た資料を渡した。


「確かに受け取りました。これを元に高位貴族への根回しをしましょう」


「よろしくお願いします」


 私はホット公爵に頭を下げる。


「それとホット公爵様。首席会議に出席する高位貴族のメンバーはどなたか決まりましたでしょうか?」


「ああ、代表者たちですな。私もいろいろこれからのことを吟味して選びました」


 ホット公爵は一度立ち上がり部屋にある棚の引き出しから紙を取り出してまたソファに座った。


「これがその代表者たちです。代表者には既に一報を入れて高位貴族の納税の概要だけは話してあります。その上で首席会議に出席する旨の回答を得ています」


「そうですか。分かりました」


 私はその紙を見てみる。

 紙には7人の名前が書いてある。


 え~と、まずはホット公爵とクラシック公爵か。

 この二人はもう高位貴族の納税に賛成してくれてるから問題はないわね。


 私はその後のメンバーの名前を見る。


 デイヴィス・スノー公爵、ニール・モーション侯爵、エリック・ディッシュ侯爵、シリウス・シップ侯爵、ジャネット・ビューティー侯爵か。

 なんか名前からして一癖ありそうなメンバーね。


「ホット公爵様。この代表者たちは納税には賛成してくれているのでしょうか?」


 まずはこのメンバーが敵なのか味方なのか判断しなければならない。


 ホット公爵はニヤリと笑う。


「私の話を聞いた後の反応では賛成する方も反対する方もおられました。この方々は私の意見を素直に聞くような人物ではない。だが、今後のアリサ様のことを考えてこの方々に決めました」


 ん? 今後の私のことを考えて?


「それはどういうことでしょうか?」


 私が疑問に思って聞くとホット公爵は答える。


「先日アリサ様と話して今後貴女がこの国で行う改革にとって味方に引き入れておいた方が優位になる人物たちですよ。まあ、その分この人物たちは少々我が強い方々ですけどね」


「それだけ国内に影響力を持つ方々ですか?」


「そうですよ。それに国内だけでなく外国にも影響力を持ってる方もいますよ」


 なるほど。それなら味方につけておけば何かと有利になるだろう。

 ホット公爵は私が今後仕事がしやすいようにこのメンバーを味方につけろっていうことなのね。


 だけどこの人物たちの特徴が分からなければ対処しにくい。

 私はホット公爵に聞いてみた。


「この方々がどのような人物か教えてくれませんか?」


 しかしホット公爵は静かに首を横に振る。


「人物調査も首席事務官として大事なことですよ」


 どうやらホット公爵はこれ以上のことは話す気はないらしい。

 だがホット公爵の瞳は「期待していますよ」と言っているように感じた。


 ホット公爵が私に期待しているならそれに応えるのが今回協力してくれたことに対する私のホット公爵へのお礼になる。


 やってやろうじゃないの。

 まだ首席会議までは日にちがある。

 まずはこの代表者たちのことを調べないとね。


 ホット公爵家から王宮に戻る馬車の中で私は考える。


 高位貴族の代表者たちのことを誰に聞いたらいいのかな。

 ジルに聞いてもいいけどジルの立場だと自分より高位貴族の人間の長所は言えるかもしれないけど短所は言いにくいかもよね。

 この代表者たちの率直な情報が欲しいところだわ。


 そこで私は閃いた。


 そうだ! 高位貴族に詳しくて率直な意見が聞ける相手がいたじゃない。


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