表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/257

第144話 私も同行させてください

 そういえば私の仕事の話題はよく出るけどブランやゼランの具体的な仕事ってまだ聞いてなかったわね。


 ブランやゼランの執務室も中央宮殿にあるが私はまだ用事がなかったので行ったことはない。


「ブラン様。ゼラン様。お二人は普段はどんなお仕事をしているんですか?」


「私たちか? そうだなあ。書類に決裁することもあるが一番多いのは会議への出席かな」


「会議ですか?」


「ああ、いろんな会議に出てその事業や案件の方針を決めることをやっている」


 そう答えたのはブランだ。


 なるほど。事務作業的なことよりも、事業の方針を決めるのか。

 それは大事なことよね。基本的にいろんな事業は国のために行っているのだからその方向性を決めるのは必要なことだわ。


 ブランとゼランは国王に次ぐ立場だからそういう仕事が多いのだろう。


「もちろん国の制度を変えたり新規事業に関してはアリサたちの「首席会議」で決めて私たちが承認する形が普通だけど」


 今度はゼランが説明してくれる。


 そうか。ブランやゼランが普段方針を決めることを行っているのは既存の事業が多いということか。


「それと各領地内への視察に行くことも多いかな」


「各領地内の視察ですか?」


「うん。実際に領地を見ることでその領地が問題なく統治されているかを見ることも大事だからね」


 各領地内の視察かあ。

 現場を知るのは大事なことよね。

 私が知っているのは王都の一部とワイン伯爵領だけ。


 これではダメだわ。

 この国のことを考えるならワイン伯爵領以外の領地も知らないと。


 そうだ! 良いこと思いついたわ。


「あの、ブラン様、ゼラン様。その各領地内の視察に私も連れて行ってくれませんか?」


「え? アリサを?」


「はい。私はまだこの国のことはよく知りません。国を豊かにするには各領地内の視察が必要なことかと思いまして」


 ブランとゼランは顔を見合わせている。


「アリサが言うなら一緒に連れて行くのはかまわないがアリサの仕事の負担が増えるんじゃないか?」


「いえ。新しい土地を見れるのは楽しみですし。事前に出かけることを教えてくだされば仕事の都合はつけます」


「そうか。では視察の予定がある時はアリサに伝えるよ」


「はい。ありがとうございます」


 私はニコリと笑みを浮かべる。


 私は嘘は言っていない。

 現場を見ることは仕事といえばそうだが、ワイン伯爵領以外の土地には興味もある。


 それに最近はクリスも仕事に慣れてきたみたいでジルとの関係も良好だ。

 ならば私が少し留守にしてもクリスに代理を頼めばいい。


 あれ? でも視察にはブランとゼランはいつも一緒に行くのかな?


「ゼラン様。視察にはお二人でいつも行かれるのですか?」


「ん? ああ、そうだよ。何か「事件」が起こるかもしれないからね」


 ゼランは意味深に「事件」と言った。


 ああ、そうか。王宮にいる時より視察中は敵に狙われやすくなるからってことね。


 もしもの時のブランの身代わりを考えている二人には常に近くにいた方が入れ替わっても周囲に気付かれないということなのだろう。


 でも視察中にそんな危ないことってあるのかな?

 三大国は常にブランたちの命を狙っているということかしら?


「視察って、そんなに危険なんですか?三大国はそんなに常にブラン様たちを狙っているんですか?」


「三大国? う~ん、まあ三大国も例外じゃないけど、敵は外だけとは限らないしね」


 敵は外だけとは限らない?

 まさか、身内の誰かがブランやゼランの命を狙っているってこと?


 でも待って。こういう王族や貴族が出てくる世界ってよく権力争いとかで王位を狙ってる陰謀とかが付きものよね。

 この国もそういう内部事情があるのかな?


 私はまだ王族や有力貴族のことに詳しいわけではない。

 

 それに私には常にピッタリと護衛のサタンが付いている。

 特に護衛が付くことに今まで深く考えなかったけど、私も狙われる立場ってことなのかな。


 とりあえず身の回りには気をつけるべきね。


「じゃあ。視察の予定が入ったら教えてくださいね」


「分かった。そうしよう」


 私はブランとゼランと食事を終えて自分の宮殿へと帰る。


 う~ん、王族に関する陰謀とかって異世界ならではだけど、実際に自分もそこに巻き込まれるかもしれないと思うと「異世界感アップ!」って喜んでもいられないわね。

 私だって死にたくないもん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ