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第14話 私にも侍女がつきました

 私は鳥のさえずりで目を覚ます。


 う~ん、何か変な夢見たわ。異世界転移して事務仕事をする……。

 私が目を開けるとそこは夢と同じ貴族チックな部屋だった……っていうか、こっちが現実なのね。


 どうやら神様は『夢オチ』でストーリーを終わらせるつもりはないようだ。


 私的には『夢オチ』を期待したんだけどな。

 私の考えが甘かったか……。

 仕方ない、起きるか。


 私がベッドから出ようとしたタイミングで扉が開く。

 そして一人のメイド服を着た女性が入って来た。

 たぶん私より年下であろう女性だ。


「おはようございます。お嬢様。今日からお嬢様のお世話をすることになったアンナ・フラワーです。よろしくお願いします」


 アンナと名乗った茶髪に茶の瞳の女性は私に頭を下げる。


 おっと、今度はお花ですか。

 でもアンナって名前は普通ね。好感が持てるわ。

 これが令嬢には付きものの「侍女」ってことかしら?

 貴族感が増して来たわ。


「おはよう、アンナ。私のことはお嬢様ではなくアリサって呼んで」


 お嬢様と呼ばれると年齢的に痛く感じるからさ。


「はい。分かりました。まずはお着替えなさいますか?」


「そうね。着替えるわ」


「ではこちらに用意してありますのでどうぞ」


 アンナは寝室の隣の衣裳部屋に私を連れて行く。

 今日は青いドレスが用意されていた。


 とりあえずは今日は村長たちに会う都合があるのでドレスを着ていた方がいいだろう。

 資料倉庫の整理の時には汚れてもいい服を用意してもらおう。


 アンナは私にドレスを渡す。

 ドレスは基本的に一人で着れるものだ。


 私がドレスに着替えるとアンナは私を鏡台の前に座らせて髪を櫛で梳かしてくれる。

 私の髪は背中の中ほどまであるロングヘアだ。


「アリサ様の黒髪は綺麗ですね。癖もあまりないですし」


「黒髪は珍しいの?」


「ええ。私は初めて見ました」


 もしかして前にワイン伯爵が私のことを美しいと言ったのは珍しい黒髪だったからかしら?

 でもその基準で行くと日本人は皆美人ってことになるわよね。


 皆、異世界転移するならこの世界にどうぞ!

 日本人だったら間違いなく「美人」に分類されるわよ。

 ただ、魔法もドラゴンもダンジョンもない異世界感が足りない世界だけどね!


「ところでアンナは何歳なの?」


「私ですか? 18歳です」


 う~ん、やっぱり私より若いわね。

 そしてたぶん10代で働くのが普通なんでしょうね、この世界は。


「私は基本的に自分でできることは自分でするし、異国の出身だからこの国の常識に疎いところがあるから変な行動することもあることは先に言っておくわ」


「は、はい。分かりました。それで髪はどのようなスタイルがいいですか?」


「う~んと今日は午後から資料倉庫の整理があるから邪魔にならないようにまとめてくれる?」


「分かりました。ではゴムで一つにまとめます。髪飾りは?」


「いらないわ。邪魔になるだけだから」


「そうですか……」


 まあ、アンナにとっては珍しいお嬢様って感じでしょうね。


 私はアンナに髪をまとめてもらうと朝食を食べに食堂に向かった。


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