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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第138話 馬車の試験走行です

 総務事務省に戻り書類に目を通していると突然扉が開く。


「アリサ!いる?」


 わ! ビックリした。

 なんだ、ギークか。


 部屋に入って来たのは首席オタク事務官のギークだった。


「アリサ。今、暇?」


 暇な訳ないでしょ!職場にいて漫画本読んでるのは貴方ぐらいだから。


「なに? どうかしたの?」


「いや、乗合馬車の試作品ができたからアリサにも見て欲しくてさ」


「試作品?」


「だって。実際に作ってみた方がよりどれだけお金かかるかわかるだろ?」


 なるほど。それもそうね。

 試算する数字はより具体的で根拠のある数字の方がいい。


「もしかして実際に馬車を作ったの?」


「ああ。これから試作品の試験を行うんだ。乗り心地とかスピード感とかはアリサにも体験してもらいたくて」


「そう。だったら付き合うわ」


 私は書類を置くとクリスたちに留守を任せてギークと総務事務省を出た。


「どこまで行くの?」


「場所は軍隊事務省の訓練場を借りることになってる。あそこはだだっ広い運動場があるから」


 軍隊事務省に行くのは久しぶりね。

 サタンの腕前を見た時のことを思い出す。


 サタンって本当に悪魔的強さだったわよね。


 もちろん今もサタンは私とギークの後について来る。

 私はチラリとサタンを見たが今日も無表情。


 サタンは元々イケメンなんだから笑顔になったら絶対にモテる気がするわ。


 そんなことを考えていると軍隊事務省の運動場に着いた。

 そこには三台の馬車が既に用意されていた。

 キャリジの姿もある。


「キャリジ。アリサを連れて来たよ」


「ああ。待ってたよ」


 キャリジも相変わらずのマイペースだ。

 相手が首席事務官でも態度を変えない。


 まあ、私も相手によって態度を変えるタイプの人はあまり好きではないが職場の上司にそんな態度でもいいのかな。

 でも上司がギークってことを考えたらキャリジのような職員がいても不思議じゃないか。


「まずは馬車の説明だけど、この一頭立ての馬車は街中を歩く馬車。街中はあまりスピードを出せないし、乗れる人数も8人を設定してるから一頭立てで充分」


「そうね。街中はスピードを出したら危ないものね」


「うん。その代わり馬車の台数は多くする」


 一度に乗れる人数を減らす分、運行する台数でカバーするのか。

 それに次の馬車が来るまで時間がかかったら歩いた方が早いってことになっては困るもんね。


「こっちの二頭立ては王都と各領地の町を結ぶ馬車。定員は10名。町によっては街道整備されてない所もあるから小回りが利くことも想定して二頭立てが適当だと思う」


 ふむふむ。街道整備がまだ出来てない所もあるから二頭立てぐらいがちょうどいいのか。


「そしてこっちの六頭立てが王都と主要の街を結ぶ馬車。これはスピードと耐久性を兼ね備えた馬の種類を選定している。定員は14名。馬力自体もあるから定員が多少増えても大丈夫」


 まさに「馬力」とはよく言ったもんだわね。

 確かにこの六頭の馬は体格もいいし、スピードが出そうだわ。


「特急を走らせる頻度はどれくらい?」


「六頭立ての馬車だと馬の確保にお金かかるから今のところ一日二便を考えてる」


 まあ、妥当なところか。


「それじゃ、実際に乗ってみようぜ」


 ギークは私にそう言った。

 私はまず一頭立ての馬車に乗る。

 ギークも一緒だ。


 座席は基本的には木で出来ているが座っても痛くないように座布団のようなモノが置いてある。

 そして馬車は動き出す。

 あまりスピードが出てないせいかそんなに揺れも感じない。

 それに王都は街道整備ができてるからこれで充分だろう。


「なかなかいいんじゃない」


「そうか。じゃあ、次の馬車を試そう」


 次は王都を領地の町を結ぶ二頭立ての馬車。

 先ほどの馬車より馬力があるせいかスピードも速い。

 でも思ったよりは揺れない。どちらかというと安定感があって乗りやすい。


「これもいいわね」


「じゃあ、最後は特急馬車だね」


 私は馬車に入り他の二つの馬車と内装が違っているのに驚く。

 座席は座り心地のいい革張りのモノになってる。


「なんかこの馬車は乗り心地良さそうね」


「ああ、この馬車は長距離を走るから乗ってる時間も長くなるし少しでも乗り心地を良くして疲れないようにと思ってね」


 へえ、ギークもちゃんとお客さんのこと考えてるじゃない。

 見直したわ。


 六頭立ての馬車が動き出すとどんどんスピードを上げる。


 ひええ!!こんなに馬車ってスピード出るの?


「すごいスピードね」


「基本的に街道整備がされている所を走るし、これぐらいスピードを出さないと主要な街まで一日では行けないから」


「主要な街は一日で行ける距離なの?」


「馬を飛ばせばね。でも普通はもっと馬力のない馬車で行くから途中の町で一泊することもあるかな」


 そうか。でも基本的に二日かかる道のりを一日で行けたら重宝されるわよね。


 馬車の試験走行が終わり、ギークにこの馬車でどれくらいの費用がかかるか計算してもらうことで話し合いが終わり本日の業務は終わった。


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