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第123話 クリスが恋をしました

 その日は市場を散策するだけで時間が過ぎてしまった。

 あまり遅くもなれないので王宮に帰ることにする。


 ちなみに帰りはブランとゼランがまたじゃんけんをして私は勝ったブランの白馬で帰ってきた。


 まあ、じゃんけんなんて平和だけど、いちいち勝負する度にただならぬ気配を出すのはやめて欲しいわね。

 何か起こったかと思うからさ。


 王宮に着くと私はブランとゼランと別れて自分の宮殿に戻った。

 町娘の姿からドレス姿に戻るとクリスが私を訪ねて来た。


「アリサ。今、いいですか?」


「ええ、大丈夫よ。クリス、どうしたの?」


「実は父上から手紙が来てます」


「まあ、ワイン伯爵から?」


「はい」


 クリスは私に手紙を渡す。

 ワイン伯爵領を離れてまだそんなに日にちは経ってないけど懐かしい感じがする。


「クリスは今日の休みは何してたの?」


「今日は私も王都に出かけてました」


「あら、そうだったの? どんな所に行ったの?」


「植物園へ行きました」


 植物園? なぜそんな所に行ったのだろう。

 王宮の庭園も見事な植物が植わっているのに。

 クリスはなんとなくソワソワしている。


 うん? これって何かあるかも。


 私の第六感が告げる。


「植物園には一人で行ったの?」


「あ、え~と、と、友達と行きました」


 友達ねえ。


「女性と行ったんでしょ?」


「え? あ、は、はい」


 クリスはかなり動揺している。

 顔も赤くなっている。


 クリスがこんなに動揺するなんて初めて見るわね。

 顔も赤いところを見るとどうやらクリスはその女性が好きなのね。


「相手は誰? クリスはその人のこと好きなんでしょう?」


 私はズバリと聞く。

 クリスはワイン伯爵家の跡継ぎでもある。

 変な女に引っかかっても困る。


「え、そんな、好きなんて。ちょっと気になってるってだけで……」


 クリスの声はだんだん小さくなる。


 う~ん、クリスが恋するなんてなんか変な気分ね。

 別に私はクリスを恋愛対象には見ないけどさ。

 なんか娘を嫁に出す親の気持ちが分かるような。ってクリスは男か。


「それで誰なの?」


「王宮の使用人の一人です。彼女は私の部屋の掃除を担当していて話をするようになって……」


 使用人かあ。でも王宮で働いているんだから怪しい人物ではないかもしれない。


「じゃあ、まだ交際してるってわけじゃないのね?」


「はい。まだ、そこまでは……」


 気になるけどここはクリスの恋を見守ってあげましょう。

 クリスにとっては初恋かもしれないし。


「分かったわ。もし交際するようになったら私にも紹介してね。貴方の姉として挨拶するから」


「分かりました。アリサ」


 そしてクリスは帰って行った。

 私はワイン伯爵からの手紙を読んだ。


『愛する娘のアリサへ。アリサとクリスがいなくなって寂しいが領地経営の方は順調だから安心してね。シラーとシャルドネも頑張ってくれている』


 ワイン伯爵の手紙には私が残した引き継ぎ書をもとにワイン伯爵領の改革を引き続き行っていることが書かれていた。


 ワイン伯爵も頑張っているのね。

 私も頑張らないと!

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