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第117話 ゼランの元婚約者登場です

 私は総務事務省に戻って今回の事前説明で各首席事務官に言われたことをまとめる作業をしていた。


 まずは『契約書の義務化』についてね。

 契約書の義務化自体に反対する人はいなかったけど取引に使う契約書はほぼ原案通りでいいけど雇用契約書については各事務省の文官に応じて内容を変更することが必要ね。


 普通の事務の文官用と軍人の文官用などは内容を精査する必要はあるが雇用契約書に何の項目を書くかを決めればあとは各事務省が対応してくれるだろう。


 次は『文官の給与改定』か。

 財務事務省に言われた家族手当については今回は見送りね。

 それと軍隊事務省の軍人たちは「残業手当」として残業代相当の手当をつけることが必要ね。

 あとは財務事務省が残業代の単価をどれくらいに設定するかは回答待ちか。


 私は今考えたことを紙に書いていく。


「クリス。契約書の義務化と文官の給与改定についての各事務省との調整をした結果をまとめたからこの資料のとおりに首席会議の原案作りを始めてくれる?」


「分かりました。アリサ」


 クリスは私から紙を受け取り事務官たちに指示を出す。


 う~ん、クリスもやっぱり仕事ができる男ね。

 将来有望の文官ってところだわ。


「それとジル」


「はい。何でしょうか?」


「文官の馬番の費用を無料化にしたいんだけど今の総務事務省の管理費用で馬番たちに支払う給料や馬の世話にかかる費用とかが賄えるか試算してくれない?」


「分かりました。すぐにやります」


 ジルはすぐに他の事務官に指示を出す。


 この二人がいてくれて助かるわ。

 少し休憩しようかな。


 私はそう思った時にひとつの疑問が浮かんだ。


 そういえばこの世界に曜日はない。

 役所はいつ休日になるのだろう?

 日本では基本的に土日が休みだけど。


「ねえ、ジル。忙しいところ申し訳ないんだけどこの役所っていつが休日なの?」


「休日は大安の日です」


 大安? そうだ! この世界には曜日はないけど六曜があったんだ。


「なるほどね。分かったわ」


 私はカレンダーを見る。

 次の休みは……明後日か。


「そうだ、あと宰相様の事前説明の日時は取れた?」


 私の言葉にジルは申し訳なさそうに答える。


「申し訳ございません。宰相様は忙しいから首席総務事務官と会ってる暇はないとの返事ばかりで……」


「そう。ならいいわ。首席会議の本番で勝負するから」


 宰相が忙しいのは分かるが首席会議の事前説明すら断るなんて私への嫌がらせに違いない。

 それならそれで本番で戦うのみ。

 

 そっちがその気ならこっちも手加減しないんだから!


 すると部屋の扉が急に開いて一人の女性が入って来た。

 銀髪に青い瞳の女性だ。


 わ! ビックリした。この人誰かしら?


「貴女がアリサさんね?」


「はい。そうですが。貴女はどなたですか?」


「私はカテリーナ・ロック。宰相の娘よ」


 宰相の娘? ってことはこの人はゼランの元婚約者ね。

 仕事場まで乗り込んで来るとはすごいわね。


「ゼラント王子様が貴女のことを絶賛してたからどんな美人かと思ったけどたいしたことはないですわね」


 う! 自分が美人じゃないことは分かってるけど面と向かって言われると傷つくわね。


「今日は貴女の顔を確認に来ただけだからすぐに帰るけどゼラント王子様は返してもらうから覚悟していてくださいね」


 返してもらうも何もゼランは私のモノではないんですけど。

 でもここで言い返しても仕方ないわね。


 カテリーナはそのまま部屋を出て行った。

 登場も突然なら退場も早い。


 いったい何だったのかな?

 まさか宣戦布告に来たとか?


 はあ、また敵が増えたかな。


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