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第112話 軍人は24時間勤務です

 銀の悪魔の実力を見た後で私たちは訓練場から軍隊事務省まで戻ってきた。

 ブランとゼランとは途中で別れて私はサーベルの案内で首席軍事務官の部屋に入る。


「それでアリサ様の御用とは?」


「はい。『契約書の義務化』と『文官の給与改定』についてです」


 私はそう言ってサーベルに資料を渡し説明する。


「なるほど。契約書の義務化については私も賛成です。軍人とも雇用契約書を交わすことでもしもの時の保障を明確化できますからな」


 そうか。軍人は一般の文官より殉職する可能性が高い職業だ。

 本人が亡くなった場合にどのような保障が残された遺族に与えらえるかは重要なことだろう。


「ですが文官の給与改定の「残業代」については今の素案では不十分ですな」


「というとどういうことですか?」


「軍隊事務省で働く文官は事務作業している文官も基本的に軍人なのです。軍人は常に何かがあった場合に備えて行動ができるように待機しているのでそもそも「残業」という時間はないんです」


 なるほど。軍隊事務省で働く文官も軍人なのか。

 確かに軍人は有事の際にいつでも戦えるようにしているから始めから24時間勤務のようなものだ。


「なのでもしその「残業代」というものを軍隊事務省に当てはめるとしたら「残業代」に相当する「残業手当」として一定額を給与と一緒に支払ってはどうでしょうか?」


「なるほど。サーベル様の言う通りその方が軍人の勤務体制を考えるとしっくりきますね」


 私はサーベルの提案に頷く。


 さすがサーベルも首席軍事務官だけあるわね。

 良い指摘をしてくれるわ。


「分かりました。では軍隊事務省に関してはそのような形を取らせてもらいます」


「よろしくお願いします」


 サーベルとの話し合いが終わり、私は軍隊事務省を出た。

 もちろん私の護衛のサタンも一緒だ。


「ねえ、サタン。さっきの剣術は見事だったわ。子供の頃から練習したの?」


 私はブランやゼランの前ではサタンを褒めると二人の機嫌が悪くなりそうだから敢えて口に出して褒めなかったけど今は二人きりだ。


「……気付いたら戦場にいましたから……」


「え?」


 気付いたら戦場にいた?

 それってどういう意味?


「気付いたら戦場にいたってどういう意味?」


「……私に親はいません……私の記憶は戦場で戦っていた時から始まってます……」


「もしかしてサタンって孤児だったの?」


「……はい……戦うことで生きてきたので……」


 う~ん、そんな辛い過去があったなんて。

 サタンが身に着けた戦闘技術は生きるためなのね。

 あれ? でも戦場にいた記憶が一番古いなら自分の名前とかどうやって分かったんだろう?


「サタン。貴方にサタン・シルバーって名付けた人は誰なの?」


「……名前は……最初から記憶されてました……」


「ふ~ん、そうなの」


 久しぶりのご都合主義の神様登場ね。

 最初から自分の名前が記憶されてたなんて普通はありえないもんね。




 まあ、便宜上名前は必要ですから。




 それにしてもサタンって名前は可哀想じゃない?

 もう少し考えてあげて良かった気がするわよ。


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