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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第11話 統一様式は基本です

「いい?これから全て書類の紙はこのA4サイズかA3サイズを使うこと! A4はこの紙でA3はこの紙よ」


「なぜですか?」


「紙の大きさを統一した方が後で書類を保管する時にまとめやすいでしょ?」


「そうですね。アリサは頭がいいです」


 クリスには褒められたがこんなの事務職の基本だから。


「そういえば数量の計算する時は何使ってるの? まさか暗算?」


「いえ。計算には算盤を使います」


「算盤があるの!?」


「はい。ありますよ」


 私は小学生から高校生まで算盤を習っていた。

 就職してからは電卓がお友達だったが算盤の技術には自信はある。


 これならこの世界でも事務はできるわね。

 そうだ。事務をしてくれる使用人が二人いるって言ってたわね。

 どこにいるのかしら?


「クリス。事務を手伝ってくれる人たちはどこ?」


「ああ。今は休憩中で、もうそろそろ戻ってくるはずです」


 すると執務室の扉をノックしてから二人の男性が入って来た。

 一人は茶髪に青い瞳でもう一人は金髪に青い瞳だ。

 クリスには敵わないけど見た目は20代くらいでなかなか整った顔をしている。


 イケメンとは言えないけど合コンなら充分合格点ね。


「クリス様。いらしてたんですか?」


 茶髪の男性がクリスに声をかけた。


「うん。ちょうどいいから紹介するけど、こちらは今日から僕の姉になったアリサ・ホシツキ・ロゼ・ワインだよ」


 クリスの紹介に私は「うっ」と声にならない声を上げた。

 そうだ。私はワイン伯爵の娘になったんだからロゼ・ワインが名前につくことになるわよね。


「アリサ・ホシツキ……・ロゼ・ワインです」


 うう、人生でこんなに自分の名前を言うのに恥ずかしかったことも勇気が必要だったことはないわ。


「そうでしたか。私はシャルドネ・ローラーです」


 茶髪の男性が笑顔で答える。


「私はシラー・バイカルです」


 次に金髪の男性が名前を言う。


 う~ん、もう名前で驚くことはないけど、今度は葡萄の名前かあ。

 まあ、統治してるのがワイン伯爵だもんね。許容範囲だわ。


「ところでアリサ様はここで何をされているのですか?」


 シャルドネが聞くとクリスが答える。


「アリサは女性だけど異国で文官をしていたんです。だから父上の書類作成を手伝ってもらってるんです」


「文官だったのですか?」


 シャルドネもシラーもかなり驚いた顔をしている。

 そんなに女性が事務をやることが不思議なのかしらね。

 今は「男女平等」の時代よ。


 まあ、この世界は貴族や王族のいる身分制度があるから、男女差別があっても驚かないけどさ。

 貴方たちには日本では公務員になれないかもね。


「ねえ、クリス。私が統一様式を作成するからそれを見て同じ様式を12枚写し書きできる?」


「分かりました。シャルドネ、シラーもアリサを手伝ってください」


「はい。クリス様」


 シャルドネたちは返事はしたものの私を見る目は不信感を抱いている。


 見てなさい。私の公務員(事務職)スキルを!


 私は紙に定規とペンを持って表を書いていく。


 クッ、マジでパソコン欲しい。

 エクセルがあればいいのに!


 私はそう思いながら統一様式の作成を始めた。

品目、数量、金額など必要事項を書類の表に分かりやすく書いていく。

 書類を書くこと一時間。

 なんとか統一様式ができた。


「シャルドネさん、シラーさん、これと同じ物を作成してください」


「分かりました。同じ様式を書けばいいんですね?」


「そうです」


 私はシャルドネとシラーの書いていく書類を見ていたがやはり書類仕事で雇われていることもあって文字も綺麗だし表もちゃんと書けている。

 この二人に任せておけばいいだろう。


 まともに事務ができる人がいて助かったわ。

 この世界にコピー機があれば断然楽なんだけどね。


 私は自分が働いていた職場を思い出す。

 パソコンがあってワードやエクセルでの書類作成がどれだけ楽だったかを思い知る。

 コピー機を発明した人がこの世界にいたらノーベル賞ものよ。


「アリサ。少し休憩しませんか? お茶を淹れるので」


 クリスの言葉に私は頷く。


「そうね。少し休憩するわ」


「ではリビングに行きましょう」


 私とクリスは執務室からリビングに向かった。


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