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転校生

「あたしはクラス見てから上がらないといけないからここで。じゃあね水紀(みずき)さん!」


 俺と西野(にしの)に手を振りながら小走りに掲示板のある方へと向かう二色。いったんここでお別れだ。俺たちは今までどおり校舎へと入った。

 下駄箱に靴を入れ、上履きへと履き替える。先日学年が上がって始業式があり、去年一年間使ったところとはお別れをした。


「じゃあまた下校の時に」


「おう」


 階段を上がり終えると西野ともお別れだ。去年はクラスが一緒だったが今年は珍しく別のクラスになった。

 廊下ではいろんな人がだべっている。俺の教室は階段のすぐ横で、あまり歩かなくていいからありがたい。

 西野は隣のクラスなのですぐ会えるといえば会えるが、クラスが違うだけでここまで話さないものかと驚いたものだ。


「おはよー」


 誰も反応しないような挨拶。どうせ何も返ってこないはずだ。しかし、最近はある人物が全部のあいさつを拾っては返していた。


「あ、おはようございマース」


「お、おはよう」


 語尾がまだ日本語慣れしていない彼女。帰国子女でクオーター、金髪の彼女は福屋(ふくや) マヤ、転校生だ。モテると思う外見だからそろそろ声をかけるやつが出てくると俺はにらんでいる。

 バッグを机の上に置く。窓際の後ろから二番目の席が俺の席だ。日光がいい感じで当たっているし、暇だったら外が見えるので個人的には気に入っている。


「アノ、すこしいいデスか?」


 いつの間にか福屋が俺の後ろに立っていた。プリントを片手に持っている。

「ん、なにか用?」


「あの、聞きたいことがありマシて……」


 そういってプリントを俺に差し出す。それを受け取り眺める。どうやら部活についての相談のようだ。


「先生に聞いた方が確実だと思うんだけど……」


 俺がそういうと彼女は不思議そうな顔をした。


「センセイが自分は忙しいからエンドウだったら答えてくれるって言ってマシた。」


 今年の担任は去年俺を部活でこき使った顧問だから嫌な予感はしていた。まさかこんなところでくるとは思ってもみなかったが。


「あの、ワタシでもできそうな部活ってありますカ?」


「ええぇ……」


 そんなことを聞かれても彼女の得意なものとか知らないし、どれが得意と言われても知るよしもなかった。


「えっと、なんかスポーツとかする?」


「運動苦手デス……」


 運動が苦手らしいから多分アウトドア全般苦手なんだろうな。


「じゃあ吹奏楽部とか、楽器できる?」


 この質問には静かに首を横に振る福屋。案外人のことってわからないからこういうの難しいんだよな。


「なんか得意なものってある?」


 そう聞くと福屋は少し考える。そして空中で何かを書く動作をする。


「イラストレーションをスコシ」


「!」


 うちの学校には俺も所属している漫画研究部がある。そこに彼女を招待すればいいのかもしれない。でも、あそこの人間は変わった人が多いからどうなるかは正直不安だ。


「じゃあこの漫画研究部にくる? 俺も所属してるから、案内はできる。ただ変人がおおいけど……」


 気に入るかどうかわからないが、とりあえず誘うと福屋はすこしうれしそうな表情になった。


「ありがとうございマス! たのしみにしてマスネ!」


 そういうと筆箱を持ってきて漫画研究部の欄に大きなチェックを入れていた。


 こういう状況で、なんかラブコメチックになってきたから感謝はしたくないが担任には感謝するとしよう。

 でも、これ百合だったらもっと映えるんじゃないだろうか。そんなことを考えつつ、楽しそうに戻っていく彼女の後姿を俺は見ていた。

百合は今回なし!ラブコメ要素も入れさせてくれ!

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