表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
打倒魔王の魔術学校生徒  作者: 野河マコト
31/43

31話 魔法師の極致〜マジックマスター〜

人類が地球と呼んでいるこの惑星には、3つの大陸と1つの海洋がある。

世界地図でみて西にあるのがディバート大陸、東にあるのがガルバス大陸だ。

そして、世界最大の流域面積を誇るノルディス川を挟んでディバート大陸の東側に位置しているのが、マシェルド大陸であり、そこの南側一帯を領土としている国こそが、魔法国アノービル——誠たちが暮らしている国だ。

首都ゲルーヌは、国立魔術学校を中心に半径5kmの広さであり、その外とは5mの外壁で隔てられている。首都の外は中都市や村々が点在している。

そんな田舎のような場所も広がっているが、マシェルド大陸は三大陸の中で1番面積が大きく、アノービルはマシェルド大陸の3分の1を領土としている国であるため、中都市であれどその大きさはかなりのものである。

アノービルは「十三議会」という独自の制度を取り入れており、国民の投票によって選ばれた8人の議員と、四賢者と呼ばれる4人の卓越した魔法の使い手、それからもう1人が集まって話し合い、行政と立法を執り行う。

その最後の一人こそ、魔法国アノービルの代表であり魔術学校の校長。

赤嶺明花(あかみねめいか)

これから誠たちが会いに行こうとしている人物である。


「それで、私たちはどうして教員棟に来なきゃいけないのよ。」

教員棟に入った辺りのところで麗沙が言った。

「ああ、言ってなかったな。校長に用があるんだよ。」

「「「…はい?」」」

俺以外の3人は揃って足を止めた。

「誠、今校長に会うって言ったの?」

「『マジックマスター』や『希代の魔法師』の2つ名で名高い校長先生にですか!?」

零央と黄緑が続けて聞いてきた。

俺がそうだと言うと、2人とも口を開けたまま固まってしまった。

「えーと…、なんで会わなきゃいけないのか教えてくれるわよね?」

2人の代わりにか、麗沙が疑問を口にした。

無論、話してはいけない理由などない。

「俺たちは自ら誘拐事件に関わろうとしてるんだ。まだ学生の俺たちがそんなことしようとしたら普通は止めるだろ?犯人について調査してる時にお偉いさんから調査を止めろって言われたら従うしかない。」

そこまで言った時に麗沙は「あっ」と目を見開いた。

どうやらこれからすることが何か分かったらしい。

「つまり、この国で強い権力を持ってる校長に事件の調査を許可してもらいに行く、と。」

「その通り。面会の申請が必要らしいけど、攫われた赤ちゃんを出来るだけ早く助けないからしてない。」

「…あんた大胆すぎない?停学処分とかになっても知らないわよ。」

『その眼帯くんに着いてきてる時点で3人も同罪だぞ?まぁその行動力は褒めてあげてもいいがな。』

校長室の前まで差し掛かった時、聞いたことの無い声が聞こえた。

後ろを向くと、3人とも辺りを見回していた。

俺だけに聞こえたという訳では無さそうだ。

『面会予定も無いのに生徒が職員室を通り過ぎたと思ったら、そんな内容だったとは。と、私はその扉の向こうにいる。入ってきていいぞ。』

この近くにある扉というと…視界に入るのは校長室のものしかない。

(ということは…この声の主は…。)

見つかってしまった以上——バレたら不味い訳では無いが——ビビらずに堂々と顔を合わせるべきだろう。

3人に目で合図した後、ドアノブに手を掛けてその扉を開けた。

「それでどんな用件で来たのか、君たちの口から聞こうじゃないか。」

応接の為の机を挟んだ向こうにあるデスクに座っている人物が笑みを浮かべて言った。

黒髪を後ろで結んだ女性。ワイシャツの首元のボタンを外しネクタイをしていないのにスーツは着ているという校長というイメージとは少し違う印象を感じた。

これが、これから俺たちに幾度となく無理難題を押し付けてくる、赤嶺校長との出会いだった。



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ