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打倒魔王の魔術学校生徒  作者: 野河マコト
30/43

30話 顔見知りが来る理由

切明先輩達に挨拶をして本部を後にした俺は、自分の教室へと足を進めた。

今日はバイトがないので、このまま教室に戻って読書でもしようと考えている。

急遽入ってもらうこともあるかもと店長から言われてはいるが、そんなことはそうそう起きないだろう。

委員会棟から教室棟へ移動し、1階から2階へ上って1-2へ向かう。

廊下を歩いていると、ドアの前に零央と麗沙、黄緑が居るのが見えた。

居る、と言うよりは教室から出てきた零央に麗沙が迫っていて、彼女が暴走しないよう黄緑が見ている状況だ。

「昼休みだからって教室の前で騒がないでくれよ。」

今にも麗沙が零央の胸ぐらを掴みそうになったタイミングで、俺はそう言いながら3人の下へ歩いた。

その後、

「別に騒いでないわよ。」

と決まり文句の様に麗沙が言った。

そんな感じで反論してくるのは予想していたのだが、意外にも麗沙はそのセリフを冷静な口調で発した。

あのバーサーカーじみた性格の麗沙が、だ。

「あんた今失礼なこと考えなかった?」

エスパーかよお前は!

なんか前も似たようなやり取りがあった気がする…。

「それで、何でうちの教室の前で零央と揉めてたんだ?2人とはクラス違うし、零央がなんかやらかしたりしたのか?」

さっきの問いは聞かなかったことにして、俺は最も気になっていたことを質問した。

俺にとって麗沙たちはまだ「顔見知り」の間柄だ。そして向こうもおそらく同じだろう。

だから俺と零央に会う理由が、正直言って思いつかないのだ。

冷静な口調から察するに勝負の申し出ではない。

だとしたら一体…。

「そんなんじゃないわよ。一応聞いておこうと思っただけ。」

そう言って麗沙は俺を真っ直ぐ見つめて言った。

「あんた、昨日の事件のこと、諦めてないんでしょ?」

——ああ、そうか。

こいつも、俺や零央と同じだったのか。

関わった以上、見て見ぬふりはできない性格。

そしてそれは、麗沙と一緒に俺を見ている黄緑にも言える。

要するに、ここにいる4人全員がお人好しって訳だ。

「…ああ、諦めちゃいねぇよ。当然だ。」

そう答える俺の顔は、何故か小さな笑みを浮かべていた。

「あの、僕も諦めてないんだけど…。」

「えー、あんたはいらないわよ。」

会話に入ろうとした零央が、即座に言葉によって蹴られた。

「ちょっと麗沙ちゃん、それは言い過ぎだよ。」

「だってこいつ私と話す時いつもオドオドしちゃってさ。正直頼りない。」

「酷いな…僕だって出来ることはあるんだよ!?高度なセキ——」

「はいはい負け惜しみは他所でやって。みっともないわよ?」

「人の話は最後まで聞いてよ!それに負け惜しみじゃないし!」

なんか、知らないうちに仲良くなってないこれ?

喧嘩するほど仲がいいって、このことかもな。

「それで桐ヶ谷君、これから何をするのか決めてるんですか?」

話を戻すためだろう、黄緑が俺に問いかけてきた。

「あぁ、そうだな…。」

考えていない訳じゃないが、まだ具体的なプランは何一つ決めていない。

俺は即興でいくつか考えてみたが、どれもこれも、共通の不安要素があるせいで実行できると思えない。

…なら、やることは決まった。

「よし、まずは不安要素を取り除こう。」

そう言って俺は後ろを向き歩き出す。

3人が着いてきているのは足音で分かったので気にしない。

向かうは教員棟1階にある部屋——校長室だ。

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