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打倒魔王の魔術学校生徒  作者: 野河マコト
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22話 剣の決闘

ようやく俺にも声が聞こえるくらいまで近づくことが出来た。

麗沙が先程聞いた叫び声らしきものをたどりながら、俺たち4人は走っていた。

(この方向は…小体育館?)

俺は先頭に出て小体育館に向かい始める。

全く何が起きてるんだか…。

走りに走っていざたどり着くと、男子生徒が2人と同じく生徒の少年が1人いた。

少年は2人組に突進しては躱されたり突き飛ばされたりしている。

2人組の1人の手は剣を掴んでおり、少年が突進してる理由はそれにありそうだ。

それにしても、あの剣は鞘を見るだけで長い間使われていたと分かる。

1度しっかり見てみたいな。

「早く返せよ!お前たちには必要ないだろ!」

とは少年の言葉。

「必要かどうかは俺たちが決めるんで、さっさと引っ込んどけよ。」

「さて、どんなもんかねぇ…。ありゃ、全然汚れてんじゃねぇか。こんなもん使えやしねぇよ。」

1人が剣を抜き、そう言い放った。

…納得いかねぇな。

「あ、ちょっと。何する気よ?」

麗沙の言葉を聞き流し、俺は歩き出す。

「大事にしてたからどんな業物かと思ったが、まさかこんなものだったとは、な!」

男子生徒が剣を鞘に収めると、それを思いっきり投げた。

そのままだと小体育館の壁にぶつかってしまうだろう。

「うおっと!ふぅ…危ねぇ。」

まぁ、俺がキャッチしたから何事もなかったのだけれど。


「さて、これは君の剣?」

誠は掴んだ剣を少年に見せてそう問いかける。

「あ、うん、そうだよ。」

「そっか。見せてもらってもいい?」

少年が頷くのを見て剣を抜く。

十数秒、誠はその剣を見定めていた。

「おいおい、お前誰だよ?勝手に入り込んで来る——」

「静かにしててよ。集中できない。」

それだけ言って再び剣を見る。

男子生徒がイラついているのを肌で感じているが誠は無視し、少年に言う。

「確かに見た目は汚れてるし傷ついてるけど、傷の割にはまだ脆くない。重さもそこそこ。柄もしっかり持ちやすい。」

「…まさかそいつに肩入れしてんの?はっ、バカバカしい。この剣を見てみろよ。高品質の素材で容易く斬れるようにより多く研いだ剣だ。そんな安物に比べたら全然…。」

誠が露骨に吐いた溜息に話を止める男子生徒。

「剣はな、斬れれば強いってわけじゃないんだぜ。如何に凄い素材を使おうとも、それが最強とは呼べない。」

「…だったらそれを証明してみろよ。」

舌打ちをした後にその言葉を付け足すと、男子生徒は剣を誠に向けた。

「…ごめん、この剣貸してくれる?」

すぐさま振り向く少年。

「この剣がどれだけ優れた剣か、あいつらに見せてやりたいからさ。いいかな?」

少年は少し唸るが、

「分かった。お願いお兄さん、その剣が強いってこと、証明してください。」

と誠に頼んだ。

それに誠は親指を立てて応えた。

「こっちは準備できたぜ。」

すぐに男子生徒に目を向け直した。

この学校の規則「国立魔術学校生徒規則」の「自由時間時の規則」の第8条には、「自由時間中に魔法・武具などを用いた決闘を行う場合、決闘を申請する者とそれを受諾する者、双方の同意のもと、周囲の建造物や器物、人物に被害が及ばないように細心の注意を払って行うこと」と記載されている。

つまり、互いに異論がない場合、自由時間中でも戦闘を行うことができる。

この場合、誠も男子生徒も戦うことに異を唱えていないので、決闘は受理されたことになる。

誠が男子生徒に目を移した後、両者共に無言のまま剣を構えた。

新年度初の決闘に生徒が集まりだすが、誠は気にもとめない。

ただ敵の動きを待っているだけだった。

男子生徒が走り出した。

剣を上から振り下ろしてくる敵に対して、誠は剣で受けた。

振り下ろした剣を切り上げて再び攻撃が迫る。

再びそれを剣で受ける。

振り、受け、振り、受ける。

それが何度も続く。

だが誰も気づかない。

誠は剣で受ける時、その全て()()()()()()()()()()()()()()()()()

「どうしたどうした!攻撃してみろよ!」

当然気づかないまま敵は攻撃を続ける。

(少し…あと少し…。)

誠は視ている。

剣を。その構造を。

あともう少し。

剣と剣が再び交わろうとした時、

(…捉えた。)

キィンと甲高い金属音が鳴る。


誠のたった一振で勝敗は決した。

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