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打倒魔王の魔術学校生徒  作者: 野河マコト
21/43

21話 気になる声

「それにしても、3時間目はいい運動になったぜ。」

4時間目が終わり、充実感でいっぱいの俺はその言葉を発した。

2時間目の授業の次、3時間目は選択授業で魔法師か魔法騎士、つまり魔術か剣術かの授業をした。

魔術師 (魔法師)の方は魔術を用いた戦術的な話を、魔術騎士 (魔法騎士)の方は剣技を教わった。

無論俺は魔術騎士を選んだが、教えられたのは正当流派と言われるアイゼル流の剣術だった。

正直、流派とかには興味はない。

俺の剣は我流、自分で自分に合った技を磨いてきた。

今更別の剣技を身につけろと言われても難しいので、先生に相談したところ、それなら自主練でいいとすんなり了承してくれた。

おかげで自分の思うように剣を振れて良かった。

4時間目の内容は割愛していいだろう。

魔術や魔物やらの歴史の授業をしたのだが、何しろ最初の授業だ、特に取り上げる程の出来事は無かった。

「それはあんただけでしょ。私なんてただ知識を教えられるだけの、あんたの言う暇な時間だったわよ。」

因みに、零央と川満さんは魔術師の方を選択した。

残る麗沙も、言葉からも分かるように魔術師を選んだのだが…、どうやらお気に召さなかったようだ。

ご本人は拳で戦うのが好きらしく、そのための技も鍛えたらしい。

でも、「殴り掛かる魔術師」なんて聞いたことはない。

当然ながら、魔術師か魔術騎士かからしか選択出来ず、それなら黄緑のいる方がいい、と魔術師の方を教わることにした。

「選んだのは自分だろ。別に使えないこともないかもしれないし。それと、俺も名前呼びでいいよ。いちいちあんたって言われるのやだし。」

「そう?じゃあ…っ、えっと…。」

あれ、名前言ってなかったっけ?

確か言ったはずなんだけどな…。まいっか。

「誠だよ。1回言ったはずだぞ?」

「う、うるさいわね!」

「あ、それじゃあ私も黄緑でいいですよ。1人だけさんずけされるのも嫌ですし。」

川満さ…いや、黄緑も会話に入ってきた。

確かに仲間外れ感が出るしな。

「分かった、じゃあそうする。それにしても…。」

何でこの4人で集まってんだ?

今は食堂へ向かっているのだが、俺、麗沙、黄緑、会話には参加してないが零央がいる。

前から友達って訳でもないのだけれど…。

「そういえば、魔法騎士の授業はどんなことをしたんですか?」

そう聞くのは黄緑。

「えーっとー…実は俺、我流で剣振ってるから授業あんま聞いてないし、自主練させてもらったし…。」

「我流って、具体的にはどんなのなのよ?」

「それも詳しくは決めてなくて…。知識というより、身体で覚えたって感じだから…。てか零央、さっきから何してるの?」

「ん?ああ、さっきの授業面白かったから見返してるんだよ。」

ノートを見ながら歩いている零央は、俺の問いにそう答えた。

やっぱり真面目だなぁ。

「…あんた、真面目人間なの?」

「はぁ…もう真面目人間でいいよ…。」

麗沙の発言に流石に呆れる零央。

どうやら本人はそう呼ばれるのは嫌いらしい。

「何よ、事実を言っただけでしょう?…ん?」

麗沙が振り返った。というか横にある中庭の方を見た?

「どうした麗沙、虫でもいたか?」

「そんなわけないでしょ!?虫だったら逃げっ、いや何でもないわ。」

逃げる?何で?うーん…虫嫌いなのかもな。

「何か、声がさ。泣き叫ぶとまではいかなくてもそんな声が聞こえた気がして。」

声…。そんなこと言ってもなぁ…。

今この廊下には食堂に向かってる生徒が大勢いる訳だし…。

「もしかしたら誰か困ってるのかも。麗沙ちゃん耳結構いいから、小さい音も聞こえるんだよ?」

「自分のことの様に言うんだね…。」

今のは零央の言葉。

ノートを見てても話を聞いているらしい。

「あ、長い間一緒だからね。ついそう喋っちゃうというか。」

話を聞く限り、聞こえた声は多分本物だろう。

泣き叫ぶ、ねぇ…。

「…確認してみるか?」

「うん、僕もちょっと気になるな。」

「あんな声聞いて無視なんて出来ないでしょ。」

「泣いてるなら困ってるかもしれないよね。」

零央、麗沙、黄緑の順に俺の言葉に応じた。

どうやら全員意見は同じらしい。

「じゃあ行くか。」

てかなんで4人で行くんだろう…。

まあいっか。自由時間も終わっちゃうし、さっさと行って昼飯を食べることにしよう。

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