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打倒魔王の魔術学校生徒  作者: 野河マコト
14/43

14話 友達

「しっかし、あの素材もダメか…。」

学校に向かう道中、夜に行った鍛治のことを思い出していた。

あの素材なら、俺の発想を実現出来ると思ったんだけどな…。

他のどの材料なら上手くいく?

従来の魔結晶を使ったもの——周囲の魔力を使って武器を強化するのではなく、また別の方法で代用出来ないか…。

その考えをどうしたら可能にできるか思案しながら、学校の門を通った。

足元を向いていた顔を少し上げると、少し見覚えのある道を歩いていた。

「…あ、そうだ。」

昨日の帰りに切明直幸さんから風紀委員へ勧誘されてたんだ。

風紀委員か…、んーどしよ。

少し思案してみると、1つの考えが浮かんだ。

つまり状況が状況なら魔術を使ってもいいってことだよな?

まぁ魔術を使う場面なんてそんなに無いだろうけど。

でも取り押さえるために体術や関節技(使うか?)だったりを行使してもいいのか。

うーん、と考えること3秒。

「よし、あの人の話に乗ろう。」

あっさりと決めた。

そもそも人の役に立つの好きだし。

確かに目的は魔王への復讐だが、それ以前に俺は学生だ。(まぁ魔術学校という常識とは離れた場の、ではあるが)

なら普通の学生らしく、やりたいことをやってもいいだろ。

「昼休みにでも行けばいいかな…。」

そんな風に考えていると、肩をポンと叩かれた。

振り向くと1人の男子生徒——零央が手のひらを上げて「おはよう」と挨拶してくれた。

当然俺は零央に同じ挨拶を返す。

あぁ、やはり1人でも友達がいると安心する。

小学生の頃は、左目の眼帯のせいや、修行と言ってあまり登校していなかったこともあり、友達と呼べる人はいなかった。

友がいるのといないのではこんなにも気分が違うのかと、俺は驚嘆した。

どうやら表情に出ていたらしく、零央がどうしたのかと聞いていた。

俺が自然になんでもないと流すと、それ以上の追求も関心も無かった。

「それにしても、誠って来るの結構早いんだね。寮じゃなくて商業区の店に住んでるんでしょ?」

「へぇ〜、この時間で早いんだ。うん。正確には、商業区の魔法商店街と生活商店街の中間あたりのとこ。まぁポータルからは歩いてるけどさ。」

ちなみに、前に学校から半径5kmは中世風の街並みと言ったが、その端っこは高さ5m程の壁で囲まれている。

壁の中は中央から順に、魔術学校がある「学区」、人が住む「居住区」、主に店などが建っている「商業区」、経済的な仕事をする「政治区」と言った感じで仕切られている。

だが、居住区だからって店を建ててはならない訳ではなく、結構チラホラと店がある。

大型のとなると商業区に行かないとないが、基本的に居住区だけでも生活は出来る。

そして学区は、魔術学校を中心とした半径約2km内を指している。

区と区を移動する際は転移用ポータルでひとっ飛び。

ポータルを使わないで移動するのは体力によっぽど自信があるか、ただのバカだけだ。

「え!もしかして商業区から歩いてきたの!?」

商業区から歩きでここまで来るとなると、入り組んでる街の裏路地を使っても約3kmある。

いくらなんでも、それならポータルを使ってから歩いた方が格段に早い。

「いや、商業区のポータルまで歩いて、そこから学区まで転移したんだよ。」

少し慌て気味で零央の考えを否定すると、だよねぇという回答が来た。

笑いも一緒に。

友達がいなかった俺にとって、他人と笑い合えることはとても嬉しいし、大切なことだ。

やっぱり彼と友達になれてよかった。

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