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異世界転生難民  作者: 夏色
7/8

第1章 幼少期 6話

今日は久々に剣術稽古は休みだ。

ゲイルに急な仕事が入ったらしい。

凄く嬉しい!

それはそれは物凄く嬉しい!


最近では剣術の稽古がエグすぎて、お風呂から上がったら、魔法の特訓をする前に気絶する様に眠ってしまうからだ。


とは言え、急に休みと言われても何をしたら良いのかさっぱりだ。


あまり暇を持て余していてもリリアに付き纏われてしまうだけだしな。


そうだ。

こっそり抜け出して街にでも出掛けてみよう!

初の外出だ!

ウキウキワクワクが止まらない!


そんなこんなで、朝飯を食べ、メイドのイリアに、久々の休みを満喫したいから今日は部屋に篭ります!と、宣言をして早速コソコソと街に繰り出した。


脱走経路は、庭の柵を一ヶ所なんの躊躇も無くぶっ壊し、そこから抜け出した。










「うわー!凄い人だ!」


屋敷から抜け出し道成に5分程斜面を下って行くと、そこには両脇にズラっと屋台が立ち並んだ通りがあった。

その間を行き交う人々が、屋敷の中ではあまり見られない程の数だった。


「誕生日パーティーとかでしかこんな人の数見ないからなぁー! 凄いなー!」


年甲斐も無く、感動してしまった!

いやまぁ見た目も、この世界に生まれ落ちてからも、まだ8年しか経っていないのだけど。


「しかし凄いなぁー!なんか今初めて異世界を肌で感じたなぁー! あっ!あそこに売られてるのリンゴにそっくりだっ! おっ!あっちはアクセサリーとか売ってる! あっちは串焼きかなぁ?何を焼いてるんだろ?!」


等と大はしゃぎしていた。

クソっ!お金持って来れば良かった。

そしたら色々買い喰い出来たのにっ!


「しかしあれだなぁー。あまり子供が歩いている姿を見掛けないなぁー。 大人ばかりだ。 まぁここは露店街っぽいし、そんなもんなのかな? あれ?子供が1人で歩いてる。 この場所での子供の独り歩きは結構目立つ………なぁーーー??!!!」

んと、そこには………リリアが居た…


「なっなんで…」


しかも今にも泣き出しそうだ。

辺りをキョロキョロしながらもう泣き出す寸前。


「まさか…後を着けて来たのか?…っとそんな事より!」


俺は直ぐにリリアに駆け寄って行った。


「ひぐっ!ひぐっ!おにぃさま。 おにぃさまどこぉ?ひぐっ!ひぐっ!」


「リリア!」


「…おにぃさま!うぇ〜ん!おにぃさまぁ〜!えーん」


結局泣くのか…


「リリア!なんでここに?お屋敷から抜け出て来たらダメだろう?」


言えた義理じゃない


「だってぇ!ひっ!おにぃさまがっ!ひぐっ!でていくのがみえたからっ!ひぐっ」


(やっぱり後を着けて来てたのか…弱ったなぁこれ。絶対イリア辺りが探してるぞ)


「そっか。おっ…僕が出て行くのを見て着いて来ちゃったんだね。 でも、お金も持って来て無いし、ちょっと見たら帰るつもりだったんだよ?…とりあえず、一緒にお屋敷に帰ろう?」


「ひぐっ。おかねなら、もってきたの。」


ん?マジ?あれ?どうしよ。

誘惑に負けそうだぞ。


(いやいやいやいや!ダメだろ絶対!こんなんバレたら洒落にならないし!今頃イリア辺りがめちゃくちゃ探してるだろうし!何より柵破壊してきちゃってるし!……………………いやまぁでも、折角だからあのさっきから殺人的に香ばしい匂いを醸し出してる、なんの串焼きかも分からないやつを食してからでも良いかなぁ〜なんて。ん?)


「あれ?リリア?…あれ?!リリア??!!!!」


俺が串焼きに心と目を奪われている隙にリリアが消えた………!!


「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい! 洒落になってない!全然洒落になってない!! リリアーーー!!! リリアーーー!!!」


俺は控え目に言って、大パニックだった。

混乱ってこう言う事を言うんだな。なんて訳の分からない事を思ってしまう程に慌てていた。


(ととととととととりあえず落ち着ちつくの!いいいいいいいいい今の今まで直ぐ後ろに居たんだ!消えるなんて事は有り得ないのよ!そうそそそそう。有り得ないわ!)


焦り過ぎて俺の中のオカマが少し顔を覗かせた。


(落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。)


俺は周囲を見渡した。充血するぐらい必死に見渡した。











すると。


ん?!んん!!!!?

露店と露店の脇道を、子供を担いで走っている人を目の端で捉えた!


「なっ!!?人攫い?! クソッ!!!」


俺はそれ目掛けて猛ダッシュした


「クッソッ! 最悪だ! これでリリアになんかあったら俺が殺される!」

(つかそんな事よりリリアになにかあったら俺が俺を許せないっ!)


俺は走りながら、クランやミリルに怒られる!

とか、メイド達やコール達に非難の目を浴びせられる!

等、色んな事を考えながら、血相変えて猛ダッシュしていた。

それと同時に、元世の妹が事故で亡くなった場面までもが頭をチラつかせていた。






俺は必死に追いかけて、遂にそいつを目で捉える事に成功した。


(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……………見えた!)


子供を担いだ人影が、二階建ての建物に入って行くのを目で捉えた。


(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す)









俺に冷静さ。と言う言葉は無かった。

多分頭の隅では、武器は脇差ぐらいの剣が1つ、相手の数次第では魔法で先行し、目眩しをしつつリリアを担いでいる奴を叩いて。等、色々考えてはいたと思う。

ただそんな作戦なんてすっ飛ぶ程に焦っていた。

故に、そのままの足で、人攫いを追う様に建物へと突っ込んで行った。


「はぁっはぁっはぁっはぁっ!リリア!!!」


「んー!んーんー!」




「あぁ??なんだぁ? ちっ!ガキが着いて来てやがったのか!」


「おいおい!ガキに尾行なんてされてんじゃねぇよっ!」


「ちっ!うるせーなー。2匹共売りゃ良いだろ。 一石二鳥だよ」


「ハハッ!なんだよそらっ」


「まぁそっちの坊やも良いとこのお坊ちゃんて感じだし、良いんじゃ無い?」


「はぁー。はぁー。はぁー。はぁー」




ここに来て、ようやく俺の頭は冷静さを取り戻していた。





(男2人と女1人。武器は…リリアを担いでる奴はマチェーテ?みたいや刀剣。奥でニタニタしてやがる細身の男が短剣。女の方は無手?魔法使いか?)






「リリアを…返してくれないか? 素直に返してくれるなら、何も無かった事にする」


俺が冷静に言い放った。






「?………っぷ!ぶははははははは」


「おいおいマジかよ(笑)」


「あら可愛い(笑)」


男達の笑い声が響いた。


「おいおい面白いガキだな。無理だろそりゃ!どっちも売るっつうの!(笑) おいっ!マルコ!そのガキもとっ捕まえろ!」


「あいよ!(笑)」



マルコと呼ばれた、奥にいた細身の男が近付いて来る。








(…半端はダメだな。殺す気で行かないともし失敗したら洒落にならない。)





勿論俺は殺しなんてした事も、人を切った事も、人に向けて魔法を放った事も無い。

だけどもしここで中途半端に戦ってしまうと、リリアをそのまま人質としてされてしまうかもしれない。


(それならいっその事、相手の油断を利用し一撃でこの男を斬り殺し、奴らが面食らっているうちに奥の女に魔法を打ち込みがてら、リリアを担いでる奴を斬り伏せるか。いや。それしか無い)






俺は覚悟を決めた。







男が近付いて来る。

その距離後5メートル…4…3…2…間合いに入った!


「スゥ…ハァッ!!」


男が俺の剣の間合いに入った瞬間、右上から左下に掛けて斜めに斬り付けた。

男はそのままゆっくりと前方に倒れて来た。

俺はそれを最後まで見ずに、リリアを担いでる男目掛けてダッシュをしながら、奥の女に向かってウィンドカッターを放った。

その直ぐ後、驚いた顔で固まっている男目掛けて刺突を繰り出した。


リリアを担いでいた男はなす術なく俺の剣に貫かれた。

女の方は風の刃で、顔を斜めに、左腕の肘辺りを斜めに、右脇腹を斜めに、首筋を斜めに、それぞれ切り裂かれた。いや、切断された。

女は血飛沫を上げながら絶命した。

刺突を食らった男はまだ生きている。

予想の範囲内だ。

俺は剣を突き刺したと同時に、中級風魔法である、ウィンドシェリングを詠唱していた。

少しの間を置いて、男は腹に剣で貫かれたのとは別の、直径10センチ程の風穴を開けて絶命した。


「はぁっ…はぁっ…すぅー………」


俺は吐きそうになるのを我慢しながら、リリアを起こした。

そして口に巻かれている布と、手足を縛っていたロープを切ってやった。


「おにぃさまぁ!!」


リリアは俺の胸に抱きついてわんわん泣いた。

俺はその間に何度も深呼吸をして、冷静に。冷静に。と、自分に言い聞かせた。

深呼吸をする度に血の匂いみたいなのが匂って来て、また吐きそうになる。


(長居は不味いな)

俺はリリアを抱えてその場を後にした。





「グスッグスッ」


リリアは俺から一時も離れなかった。


奴らを殺した時は後ろ向きに担がれていたし、建物から出る時も俺の胸に顔をうずめていたから、多分あの惨状を見てい無いと思う。

そうであって欲しい。

あんなの見たらトラウマ確定だ…






「ごめん。リリア。怖い思いをさせてしまって」


リリアは頭を俺にうずめたまま、首を横に振った。


「ごめっんなさい…グスッ…リアがおにぃさまにっ…ついてきちゃったから…グスッ…」


「いや。俺っ僕の所為だよ。僕がお屋敷を抜け出して、しかもリリアから目を離してしまったから…ごめんよリリア。もう2度とこんな怖い思いはさせないから…」





リリアはコクッと、頷いた。






それから2人くっ付いたまま屋敷にへの帰路についた。

因みに俺の服は返り血を浴びてしまっている。


(あぁ。言い訳が思いつかない…)


屋敷には抜け出した時と同じ様に、壊した柵から戻る事にした。


(多分外に出てから1時間ちょっとしか経っていないはず…この返り血さえ何とかすれば誤魔化せるかもしれない…)


そう思い壊した柵を抜け、屋敷の庭へと入った時そこに…イリアが居た。


俺はイリアを見ながら硬直した。

また、イリアもこちらを見ながら少しの間硬直した。

だがイリアは俺と違い直ぐに動き出した。


あのポーカーフェイスで有名なイリアが、泣きそうな顔で俺達2人を抱きしめた。

俺は面食らってしまった。


「ご無事で何よりです…」


イリアが消え入りそうな声で呟いた。


それと共に俺の中に罪悪感がドッと押し寄せて来た。


(どうしよ…言い訳探さないと…)


等と考えていると。


「とりあえず中に入りましょう。それは…お怪我をなさっている訳では無いのですよね」


「はい…」


「では。参りましょう」


イリアに促され屋敷の中へ。


俺は本日2度目の覚悟を決めた。









「では、レイ様」


「はっはい…」


「ご説明をお願いします」


「はい…その……街の中を…見学しようかなぁと思いまして………その……柵の…方から…抜け出ました………それで露天商が立ち並ぶ通りに出たので、少し見て回ろうと思ったのですが…そこでリリアが後を着いて来ていたのに気付きました…それで…その…」


言い淀んでいると

「おにぃさまはわるくないの!リアがかってについて行ったの!…そしたらしらない人につかまっちゃって!おにぃさまが助けてくれたの!」


「……………」


「……………」


「なるほど。レイ様。申し訳ありません。」


「えっ…と、何がですか?…謝らなければいけないのはその…確実に僕の方かなと…思うのですが…」


「その人攫いがリア様を狙ったものなのか、あるいは高貴な服装を身に付けていたので無差別に攫ったものなのか、私が勝手に判断を下せません…」


イリアが何を言いたいのか理解した。

この人はまた、昔みたいに俺を庇ってここだけの話にしようとしてくれていたのだ…


「イリアさん。申し訳ありませんでした! 柵を壊したのも、勝手に街に出たのも、リリアから目を離したのも、全て僕の責任です!だからどうか…イリアさんは謝らないで下さい。僕から今回の事、父様と母様にご報告してきます!」


「レイ様………」


イリアは少し驚いた様なそれでいて少し嬉しそうな顔でこう続けた…


「恐らく……物凄く怒られますよ」


……………俺には、後悔しか無かった。










イリアがクランを呼びに行った。

先ずクランに話をして、ミリルにはクランと俺の方から話をする算段をつけた。

身体が弱いミリルにはあまり衝撃を与えない為の配慮である。


イリアがクランを呼びに行ってくれている間に、俺は着替えを済ませる。

流石に返り血を浴びた服では悲惨さがプラス査定されて、衝撃度が増してしまうからだ。







(ガチャッ)

(来た…)


「おーリアも居たのか!それでどうした?レイ、話とは。一応イリアにあまり叱らないで上げて下さいとは言えれているから、何か悪さをしたのは分かっているが」


等と、笑いながら入ってきた。


(イリア様!恩に着ます!)


俺はなるべく言い訳をせずに、男らしく、潔く、誠実に、話をした。

途中リリアが何度も俺は悪く無い。自分が悪いと言っていたが、その度にリリアを制しながら。


柵を壊して街に出て、リリアが拐われ、後を追い、人攫いを倒し、リリアを連れ帰った所まで。


クランは目を瞑ったまま、黙って最後まで俺の話を聞いてくれた。

そして


「…分かった。悪いイリア。コールを呼んできて貰っても良いかな?」


「はい。畏まりました。…」


イリアがコールを呼びに部屋を出た。

心配そうな顔をこちらに向けながら。


「レイ」


「はい。父様」


「善悪は分かっている様なのであまりグダグダとは言わない様にする。 ただ、お前のその考え無しの行いがリアまでもを巻き込んで、危ない目に合わせたのも事実だ。 だから叱らないという選択肢もまた無い…」


そう言って少し考えてから目を開けて


「とりあえず…2人とも無事で良かった…」


少し泣きそうな顔で言った。

俺は居た堪れなくなってしまった。


「リア」


「はい…」


「お兄ちゃんと一緒でも、街の外には子供だけでそれも勝手に出てはダメだ。分かってくれるか?」


「はい。」


「うん。良い子だ」


クランはリリアの頭を撫でながらそう諭す。


「レイ」


「はい!」


「今日は夕飯抜きだ」


「………はい!申し訳ありませんでした!」


「うん。壊した柵はお前のお小遣いから天引きで治す。暫くお小遣いが途絶える事も視野に入れておけ。それと、次は夕飯抜き程度では済まさない。まぁお前は賢いしその辺は心配はあまりしていないが、一応言っておく」


「はい!」


「それじゃあ俺からの説教はここまでだ。後は母さんからネチネチと泣き言を言われれば罰としては十分だろう(笑)」


(うっ…それが一番堪える…)


そんな事を話していると、イリアが執事のコールを連れて戻って来た。


(ガチャッ)


「お待たせ致しました旦那様」


「うん。忙しい所悪いな。イリアもすまん。助かった。それと、リアを風呂にでもいれてやってくれるか? 少し3人で話したい事がある」


「畏まりました。さぁリア様。汚れてしまった御洋服もお着替え致しましょう」


「いや。おにぃさまのそばにいる!」


「リア。お兄ちゃんはお父さんとコールと3人で、少し大人の話をするから先にお風呂に入って着替えてしまいなさい。大丈夫。もう叱らないから」


「……わかりました…」


どうやらリリアは5歳にして、自分がここから離れる事によって、俺がクランに叱られてしまうのでは無いか。等と色々考えてくれていたらしい。


(ごめん。ありがとう)











それからクランがコールに顛末を話した。

コールは静かに聞いていた。


「―――って事だ」


「分かりました」


「レイ。その人攫いは3人。倒した。と言っていたが、その3人は今どういう状況になっている?」


クランに聞かれ、凄く言いたくは無いのだが、恐らくこれからそこに行き確認をし、更には街に出て、色々情報等も探りに行くのであろう事は目に見えているので、正直に話す他無かった。


「こ…殺しました…その…余裕が無かったので…」


クランとコールは凄く驚いている。

当たり前だ。

8歳という子供が、大の大人3人を相手に殺しをして来たのだから。


「そっそうか……いや。そうだな。縛り上げておけ。とか言う方が難しいよな。いや。でも。そうか…」


(まぁそうなるよな…)


「旦那様」


静かにコールが口を開いた。


「あの剣聖ゲイル殿の訓練を受け、8歳という若さで初級剣士を賜わい、剰え魔法もお使いになられるレイ様です。小悪党が如き3人等敵では無いでしょう。とは言え初の実戦、三体一という事、まだ己が8歳という事、それらを考えるととても素晴らしい事かと思います。 恐らく虚を付き確実に殺していかなければ、人質同然のリア様にも危険が及んでしまいます。故の英断かと」


俺は少し感動してしまった。

と言うか分析が半端無かった。

正にその通りだったのだから。


「うむ。そうだな。コールの言う通りだ。レイ。良く妹を無事に守り通したな。お前も無傷、リアも無傷。良くやった!」


「いえ…元を正せば僕の行いの所為です。今後はこんな危険な目に合わせない様に、気を付けます…」


「ああ。そうしてくれ。お前自身もな」


そう言い優しく微笑みながら俺の頭を撫でた。


「ではコール。そう言う事だ。頼んだぞ」


「畏まりました旦那様」


そう言ってコールは静かに部屋を後にした。


「ふぅ!しかし流石俺の息子だ。鼻が高いよ!やんちゃな所も俺にそっくりだ(笑)」


「すいません…その、父様も昔はやんちゃだったのですか?」


「んーーー。まぁ…な。小さい頃から母さんには良く怒られたもんだ」


と、苦笑いを浮かべていた。


「母様とはそんなに古くからの付き合いなのですか?」


「ん?あぁそうだな。話した事は無かったか。母さんとはちょうど今のお前と同じ頃からの付き合いなんだ。 まぁ貴族なんて何処もそんなもんさ。お家柄情大体決まってるのさ。  まぁただ、母さんの事はその頃から好きだったがな!(笑)」


両親の惚気を聞かされた。

こそばゆい。


「さてと。母さんに叱られに行きますか!」


「うっ…」


「ははっ!気持ちは分かるぞ!父さんも母さんに叱られるのが1番苦手だからな!」


(なんで誇らしげだよこの人は)


「まぁあれだ。人攫いを退治した。そこまでにしておけ。びっくりして母さん卒倒しちまうかもだしな(笑)」


「わかりました」












それからミリルにこってり絞られた。

クランに怒られた100倍は堪えた。

何故かクランも俺と同じ、いや、それ以上に絞られていた。

叱られている時のクランは、これでもかという程小さく感じた。


(父さん。本当にすまん…)


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