終わりの始まり1
序章になります。
その昔、まだ神々が人々へ祝福をもたらしていた頃、人々は普通に魔法が使われていた。魔法には属性があり、信仰する神により使える魔法が決まっていた。即ち六大神、火の神・水の神・風の神・土の神・光の神・闇の神である。
火、水、風、土の魔法は色々な人々が使っていたが、光は主に教会の人々が癒しのために、闇はそういう者達が使っていた。
全ての者が光を覚えればと思うが、火、水、風、土はそれぞれ火↔水、風↔土といった感じに、反する属性の魔法は使えなかった。そして、光は全ての属性と反していた。そのために、信仰する者は限られたのである。実際にはそれぞれの属性にも、光の魔法には劣るが回復魔法がないわけではなかったので、そこまで人々は困っていなかった。闇は光以外で反する事はなかったが、あえて闇との複数信仰する者はいなかった。そして闇を信仰していた者もあえて他の神を信仰する事はなかった。
六大神が人々に祝福をもたらすなか、その六大神を統べる神は人々に興味を持ちつつも、ただ漠然とその世界を眺めていた。
その神は時の神。六大神を含む全ての神々を統べる神であった。
時の神は全てを統べる力をもってして、全ての理を調整していた。しかし人々に興味があったとしても、時の神は、決して祝福をもたらす事はなかった。
時の魔法は、六大神全ての魔法が使える事もそうだが、時魔法が使えるということである。1つの絶大な力はいずれ全てを崩壊する。理を調整しているのに、崩壊を進める理を人々に伝える訳にはいかなかったのである。
しかし、時の神はその過ちを犯してしまう。
神々は稀ではあるが、人々の世界に人として降り立つときがある。何のために降りるのかは不明だが、多分神々の気まぐれであろう。そして、この中には時の神も当たり前だが含まれていた。
何百年ぶりにか降り立った時の神は、おおよそ13~15才程度の身体で降り立った。そして運命の少女に出会うのであった。
少女は13才であったためか、二人が友達になるまではそう時間がかからなかった。
少女には家族はいなかったために、王都ある光の神を祀る教会に併設されている孤児院に住んでいた。その様な教会に併設されていたので、当たり前だが少女は光の神を信仰していた。
今日も二人は王都の裏にある薬草の森に出掛けていた。
いくら教会に併設されているからといって、全てを養ってくれるわけではない。稼ぎができる者は自分なりに稼げる仕事を探して、自分なりに教会へ寄付をしていた。
少女もそんな一人であった。
しかし、今日に限って薬草が見当たらない。いつもなら、そこいら一体にあるはずの薬草がなかったのである。
二人は仕方なく更に森深く薬草を探しに行くのであった。
小一時間位歩いたら、やっとの事で薬草が生えているエリアにたどり着いた。少女は嬉々として薬草を収穫しに駆け寄り、時の神はこの不可思議な現象に何やら嫌な予感がしていた。
そして一瞬意識を神側に写した時、少女の叫び声が響いた。
時の神が少女の方へ視線を向けると、オークが少女を襲うところであった。そしてオークの右腕が今まさに少女へ振り下ろされようとしていた。
時の神は焦った。神であるのに焦ってしまった。そして、使ってしまったのである。
時魔法を・・・
一瞬で動きを止めたオーク。激痛と共に死ぬだろうと思った少女は、一向に襲われない激痛が不思議に思い、閉じた眼をそっと開いた。開いた目の先には純白の羽を背負った友達が、動きを止めているオークに火炎弾を放つところであった。
少女は知ってしまった。仲良くしてくれていた、友達だと言ってくれた者が神であることに。
神と知られてはもう地上に居ることは出来ない。しかし、せっかく出来た友達に何も残してあげる事が出来ないのも寂しかったので、少女に他人に魔法を見せたり見られたり、語らない事を条件に時魔法を教えたのであった。
時の神が神界に戻ってから四年が過ぎ、17才になった少女はあの時約束した事を守りながら、日々を教会で過ごしていた。時魔法としての光魔法は、純然な光魔法より威力があるらしく、教会からは頼りにされていた。
そんな普通の日々が過ぎていたある日、少女は買い出しに出掛けていた。日差しは暖かではあったが、風が強い日であった。
少女は雑貨屋で色々と物色していると、外が騒がしくなる。
ある人は警備兵を呼べと叫んだり、ある人は水魔法が得意な人を呼べと叫んでいた。
何が起こっているのかと外に出た少女は、近くにいた人に訪ねると、その問いの答えを聞くや少女は駆け出した。
教会が燃えている。
最初は屋台の不審火が教会の近くにある家に燃え移ったそうだ。
最初は直ぐに消せると思っていたらしい周りの人々だったが、水魔法が使える人が思いの外直ぐに集まらず、また風のせいで火はあっという間に広がってしまった。
そして、その火はあろうことか孤児院へと燃え移ってしまったのである。
少女が教会にたどり着いた時には孤児院は全焼しており、その火は隣の教会へと差し迫っているところであった。まだ教会は燃えていなかったのである。しかし、それも時間の問題であるのも確かであった。教会の人々がどうなったかを近くで野次馬していた男性に確認したら、全員無事であることがわかったので、ほっと胸を撫で下ろした。
そうこうしていると、水魔法が出来る人が数名集まってきた。
これで鎮火すると皆が思ったのだが、風の影響で火は衰えなかったのである。
このままでは教会が燃えてしまう。自分ならもしかすると、消せるかもしれない。そんな事を思ってしまった少女。しかし、神様との約束がある。葛藤が少女を襲った。
そして少女は1つの答を見出だす。
路地裏に隠れ、水魔法の放つ魔法とタイミングを合わせて自分も水魔法を放つ事に。
少女は実行するために裏路地に向かう。そして、タイミングを合わせて水魔法を放ったのである。先程の水より大量に放たれた水は教会へ差し迫った火を全て消し去ってのであった。
火が消え喜び合う人々の中に何気なく戻る少女。
その後ろ姿を追う一人の男の事に気付かずに。
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