8.平和な日常
月曜日に投稿するつもりだったのに、気が付けば木曜日……。カメの歩みで申し訳ないです。
最初にお手玉を作った頃から、半年が過ぎた。もうすぐ12月も終わって『神の祭日』――新年になる前の5日間だけの特別な期間。各地で盛大な祭りが行われる――が始まる。
この半年の間、試行錯誤しながらイロイロなものを作ってきたよ!
お手玉と同じくハギレを使ったものでは、ハタキや花のコサージュなんかを作った。
ハタキを作るには、細長いハギレが必要なんだよね。幅は2センチ~5センチくらいで、長さは50~60センチくらいかな。不揃いでもガタガタでもOKなのがイイよね。なんせ掃除道具だもん。
そんな細長いハギレを放射状に10本くらい重ねて、中心部分を軽く縫いとめる。細長い棒を用意して、棒の先にさっきの放射状のハギレの中心を乗せて、棒の先から2センチくらいの所を、棒を包むように布の上から紐で縛る。この時、しっかり止まるように棒にあらかじめくびれを作っておくと、後で布がすっぽ抜けないんだよ。最後に、棒の先端をもう一度包むように、布をひっくり返して紐で縛ったら完成! 形としては魔女のホウキをイメージしてくださいな。
ハタキを作るには、本当はストッキングが一番の素材なんだよねー。柔らかいいし、ホコリをキャッチするのにちょうどイイし、作る過程で縛るのにも、伸び縮みするストッキングは大活躍だ。けど、ダリアードにはそれに変わる素材はないみたい。それに、カラフルなハギレで作ると見た目が可愛くてイイよね。掃除するのに多少なりとも気分が上がるし、人様の目に触れるとこに置いててもお目汚しにならないから、しまい込まなくても大丈夫だし。え? 干物女ならそんなの関係ないって? はい。前世では機能性重視で破れストッキングで作ったものを普通に部屋に置いてましたけど、ナニか?
兎に角、このハタキは奥様方にそこそこ評判がよかったよ。あと、領主様の館でメイドさん達が使ってるらしい。それで、領主様の一人娘が気に入っちゃって、ハタキを使いたがるんだそうな。伯爵令嬢とハタキ。うん、似合わないね。
花のコサージュは、ね、大変だった……。もともとダリアードにもコサージュはあったんだけど、服とかに縫いとめて使うものだったんだよね。軽く縫いとめておいて付け替えるか、しっかり留めてずっとそのままか……。だから、花自体はすぐにできたのに、服にどう付けるか、付け替えを簡単にできるようにする方法ですったもんだがありまして。
クリップ式は襟とかポケットとかでないと付けられない代わりに、頭にもつけられるのが魅力。でも作れなかった。あ、金具の加工は専門の工房に依頼してます。さすがに自分じゃできないもんね。
ハットピンやピンバッジ方式のものは付け替えが簡単だけど、これも作れなかった。どうしても、留め具がすぐに取れちゃうんんだよね。
結局は安全ピン的なものに落ち着いたんだけど、それも試作品は失敗続きだったんだ。なんとか完成したのは、母さんが諦めずにいくつも工房を巡ってくれたおかげかな。あと、工房の職人さんのおかげ。金属加工の工房には男の人が圧倒的に多いんだけど、女の人もいたんだよね。で、女性の職人さんが頑張ってくれたみたい。さすが、装飾品のこととなると、女性の熱意は素晴らしいです。こういう女性は干物にはならないんだろうな。うん、見習おう。
ちなみに、花の部分は簡単に作れるよ。例えば、細長いハギレの長い一辺を、ギザギザとかナミナミとかに切っておいて、反対側の長い一辺をなみ縫いする。なみ縫いの最後で玉止めせずにギューっと絞ってギャザーを寄せたら、端からクルクルと巻いていって、巻いたところを留めるだけ。最後に真ん中の花芯部分にビーズとか付けたら出来上がりだ。お好みでレース付けたり、途中で別の布を入れると華やかだね!
他にも、大中小と大きさを変えて切った、五枚花弁のスタンダードな花型の布を10枚くらい切って、それぞれを4つ折りにして中心部分を縫いとめていくのも簡単なやり方だね。これも、布の種類や色、レースなんかで雰囲気がガラっと変わる。他にもいろんな作り方があるし、短時間でできるから飽きずに作れて楽しい♪
そうそう、お手玉作ったときに思いついた、コリスの実入りの枕! あれは早速家族の分を作って試してみたんだ。1ヶ月使ってみても潰れたりすることもなかったし、寝心地もとっても良かった! 母さんは今までどおりの柔らかいのが好きだって言ってたけど、父さんはすごく気に入ってくれたみたいで、店で販売することになったよ。好みがあるから、店で試してもらえるようにしてるし、口コミで徐々に需要が増えてるらしい。
それから、娯楽が少ないダリアードの子ども達のために、玩具をいくつか。スゴロクとかオセロとか、トランプとかね。カードゲーム自体はダリアードにもあったんだけど、酒場でオジサンが賭けをするような感じでイメージが悪く、子どもの遊びとしてはなかったらしいんだよね。その、オジサン達がやってた賭けゲームだって、インディアンポーカーみたいなごく簡単なものだったみたい。そんなわけで、トランプはババ抜きとかブラックジャックとかの遊び方も一緒に広めたんだ。ま、父さんが酒場で流行りそうだからって、最初に売り込みかけたから、ブラックジャックが酒場の賭けゲームの新定番になってるけどね。それ以外でも、ババ抜きや大富豪なんかの遊び方で、若者の間にも徐々に広まってきてるんだ。オセロも、大人子ども関係なく人気が出てきてる。
スゴロクは……、実はちょっと微妙なんだよね~。サイコロがね、どうしても出目が偏っちゃうんだ。その上、風魔法が上手く扱えればズルし放題という、ファンタジー世界ならではの問題もあった。とりあえず、カードゲームのように数字を書いたカードを引くということで一応の解決をしたんだ。でも、比較的低年齢の子ども達にウケるんじゃないかと思ってるんだけど、なかなか広まらないんだよね。ま、コレに関しては来年以降に期待してる。なんてったって、来年春から、私も学園に通うからね! 友達がいっぱいできれば、友達に広めていけばいいんだもんね! 友達いっぱい……が、頑張るよ!
とまぁ、こんな感じで忙しくも充実した日々を送ってきた。それで、ここ最近はせっせとコサージュ作りに励んでるんだよね。それというのも、やっと金具の量産の目処がついたから。来週からの『神の祭日』のお祭り期間中、妖精の庭は大通りに露店を出すことになってるんだけど、そこでの主力商品にする予定なのだ! お祭りでおめかしした女性に、買ってすぐ、その場で付けてもらえるでしょ? お祭りで売り出すのにピッタリだと思うんだよね。今年は、私も売り子をやる許可をもらったから、楽しみでしょうがない! 頑張っていっぱい作っていっぱい売るぞー!
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「……」
少し久しぶりにタマちゃんの様子を覗いてみたのだけれど、布で花を作りながら時折にへら~と笑う姿には、ちょっと引いてしまった。幼女だからまだ微笑ましくもあるが、オッサンだったら完全にアウトな表情だろう。いや、大人だったらと言うべきか。人前でそんな顔を晒す前に、ご両親がちゃんと注意してくれるといいけど。このまま大人になったら、……それはそれでまぁ面白いものは見れるかもしれないから別にいいか。こちらに害はないわけだし。
それにしても、今年の『神の祭日』では彼がトスタナを訪れるようだ。タマちゃんも露店に出るようだし、もしかしたら何か進展が見られる可能性もアリですかね。『神の祭日』ならば私も多少は介入できる機会もあるかもしれませんし……。
「ふふ、楽しみですね」