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7.お手玉お披露目

随分と間が開いてしまいました。もしも、楽しみに待ってくださってた方がいらっしゃったら、申し訳ありません!

「じゃーん! これが今日、完成したコ達でーす!」


 お手玉の上に掛けていた布をはずして、父さんと母さんに見せる。「じゃーん!」なんて効果音を自分で付けるなんて、ちょっと恥ずかしい。そんな大層なモノでもないしね。でもちょっとは子どもらしく無邪気な風を装っておかないと、と思ったらこうなった。


「おおー! いっぱいある! 凄いね!」

「あら、色とりどりでコロンとして可愛いわね!」


 父さんも母さんも、籠に盛ったお手玉を興味津々な感じで見ている。父さんなんて、目がキラキラしてハイテンションだよ。効果音付けた甲斐があるってものです。


「触ってみてもいいかい?」


 父さん、そんなワクワクした顔で……。オモチャ買ってもらった子どもか!


「もちろん! はい、どーぞ」


 父さんと母さんの方に籠を差し出すと、2人とも手にとって観察するように見たり、ギュッギュと握ってみたりし始める。


「コリスの実は中に入ってるのかい? 中身は出てこないようだけど……」


「うん、入ってるよー」


「カシャカシャ音がして、なんだかちょっと不思議な感触ね」


「そうだな。父さんの手には小さいけど、不思議と掴みたくなる感触だ」


 父さん、そう言いながら両手に3つずつ持ってムギュムギュ揉むのはどうかと思います。手つきがちょっとアヤシイよ?


「これ、全部タマラが縫ったのかい?」


「うん! ミラおばさんに教えてもらって、いっぱい練習したからね!」


「すごく上手にできてるじゃないか。驚いたよ! ……はっ! ハサミや針でケガしたりしなかったかい!?」


「ふふ、ありがとう。大丈夫だよー」


 ミラおばさんに裁縫を習ってたのは、父さんももちろん知ってるけど、見せるのはホントに初めてだもんね。そういえば、最初に習いたいって言った時も、「危ない」とか「まだ早いんじゃないか」って心配してたなー。


「ホントに凄いわ、タマラ! もう、母さんより上手なんじゃないかしら? これから(つくろ)い物は、タマラにお願いしようかしら」


「うん、任せて!」


 母さんは、お店番に雑貨作りに家事で忙しいもんね。それくらいお手伝いするよー。


「それで、これはどういうものなんだい? 飾っておくのかな?」


「これはね、お手玉って言って、遠くの国のオモチャなんだよ。こうやって遊ぶの!」


 とりあえず、2個のお手玉を両手に持って、一番スタンダードなやり方でお手玉遊びをやって見せる。


「こうして右手で上に投げて、左手でキャッチするの。その間に、左で持ってたのを右に移して、繰り返し続けるの。歌に合わせてテンポ良くやるといいらしいよ」


「おおー! タマラ、上手だね! よし、私もやってみるか!」

「ホントね! 私もやってみるわ」


 2人とも、見よう見真似でやり始める。母さんは最初ちょっとまごついたけれども、数回やるとすぐにできるようになったみたいだ。それに比べて、父さんは苦戦してるみたい。知ってたけど、不器用だね父さん。


「あっ! くそぅ、また落ちた。結構難しいなコレ」


 いやいや父さん、これは初歩の初歩ですよ? 小さい子の遊びですよ? 母さんも、そんな父さんを生暖かい目で見守っている。


「母さんは余裕でできたね! じゃあ、これはどう?」


 にっこり笑って、今度は2個とも右手に持って、片手お手玉を披露した。


「お? おおーっ! 凄いじゃないかタマラ!」

「わ! 片手は難しそうね。でもやってみるわ!」


 母さんも、今度は苦戦している模様。父さんに至っては、お手玉が3mくらい飛んでいってるし。どんだけ力入ってるの。


「これは……、難しいわね」


「ふふふー、まだ他にもやり方あるんだよー」


 そう言って、今度は3個をジャグリングの要領で、左右交互に投げる。


「お? おおお!? な、どうなってるんだ、これ?」


「この動き、見たことあるわ! ほらアナタ、昔、お祭りの大道芸で(びん)とか投げてるの見たことあったじゃない」


「ああ! そういえば! へー、凄いね、タマラがこんなことできるなんて! さすが私の娘だ!」


 不器用な父さんにそう言われると、複雑な気分です。母さんも苦笑いしてるよ?


「次はこれ!」


 父さんの発言はスルーして、今度は3個を反時計回りにクルクル投げる。順回しって言うらしい。さすがにこれは難しいので、私も長くは続けられないけど。


「おおー! 手がすごく速く動いてるね!」

「まぁ! これも凄いわね!」


 2人とも、思った以上に楽しんでくれてるみたいだ。聞けば、ダリアードにはナゼか娯楽や玩具が少ないっぽいんだよね。社会全体としては結構発展してるから意外だったけど……。そういえば私も玩具を買ってもらったりした記憶はほぼ無いし、妖精の庭(うちのみせ)にも置いてないかな。庶民でも生活には割と余裕があるんだし、これからは玩具とか装飾品なんかの需要はもっと増えるかもしれないね!

 

 と、それはともかく、しばらく練習して父さんも2個のスタンダードなやり方はだいぶできるようになったみたいだし、母さんは2個片手をクリアして、3個でジャグリングの練習に熱中してる。

 本当は、歌に合わせて2人とか大人数でやる遊び方もあるし、手の甲でキャッチしたり投げたりとかイロイロあるらしいんだよね。ま、その辺はあまり詳しくないし、日本の歌を歌うわけにもいかないから、やめておこう。


「これ、ミラおばさんと、図書館のお姉さんにもプレゼントしようと思うんだけど、喜んでくれるかなぁ?」


「大丈夫! これならきっと喜んでくれるよ」


「そうね。やって見せたら皆驚くわよ!」


 そっかー、良かった! 2人にお墨付きをもらったから安心だね。


 いつの間にか結構時間が経っていて、いつもなら(こども)は寝ている時間になってたけど、折角だから最後に皆でできる遊び方をやった。その名も『玉崩し』。全部のお手玉で山を作り、真ん中に棒を立てたら準備完了! 1個ずつ順にお手玉を取っていって、棒を倒した人の負けだ。ホントはもっとたくさんのお手玉があった方が楽しいんだけどね。

 結果は予想通り、父さんの惨敗。寝る前だから1回だけの約束だったけど、予想以上に盛り上がって、負けた父さんの泣きの1回もありました。ま、2回目もやっぱり父さんの負けだったけどね。ヘタクソなのに負けず嫌いなんて、面倒臭いタイプの人だ。



 翌日、昼からミラおばさんと図書館のお姉さんのところに行って、お手玉をプレゼントしてきたよ。こういうのはインパクトが大事だからね。父さんと母さんに見せた時と違って、最初から3個で順回しして見せたら、2人とも目が点になってた。


 ミラおばさんのところでは、工房に勤める他のおばちゃん達も近付いてきて、興味津々で見たり触ったりしてたな。「孫と遊ぶのにいいわね」とか「縫製がキレイにできてる」ってお褒めの言葉もいただきました!

 そして図書館のお姉さんのところでは、たまたま来てた子ども達も集まってきて、なかなか好評でした!器用な子はジャグリングもマスターしちゃったんだよ。子どもはやっぱり飲み込み早いね。ちなみに、お姉さんはうちの父さん並みに不器用さんでした。後日、受付カウンターでひっそりと練習してた時は、見て見ぬフリをしておきました。


 皆に披露してから数日後、お手玉を買いたいって人が店に来たので、いくつか受注生産したよ。でも、さすがにもう作るの飽きちゃったので、途中から取引のある工房で作ってもらうことになりました!


 さてさて、次は何を作ろうかな~♪



 ---------------


 テレビに神力を流して、タマちゃんの気配を探ってそこにチャンネルを合わせる。しばらくするとお手玉を上手に操っているタマちゃんの満面の笑みが映った。


「なんだこりゃ? ちっこい玉投げて、面白いのかね?」


 たまたま遊びに来ていたアッシュが、拍子抜けしたような顔で呟く。アッシュはお手玉を知らないらしい。もともと闘いと食べること以外には無頓着なヤツだから無理も無いが。


「コレはお手玉といって、タマちゃんが住んでた国にあった、小さい子どものオモチャですよ」


「ふーん。って、ブッアハハッ! 父ちゃん()()クソだなー、おい!」


「こらこら。失礼ですよ、アッシュ。まぁ、びっくりするくらいアレですけど」


「お! 今度は3個か。ほうほう」


 なんだかんだ言って、楽しそうに眺めているじゃないか。……実はやりたいのか?


「やってみますか?」


 お手玉はさすがに手元に無いので、代わりにミカンを3個手渡してやる。


「おう! ふっふっふ。数々の武術を修めた俺にゃあ、こんなもん朝飯前だっての。よっとっほっ! ほれ見ろ。こんなもん余裕だ」


 ちっ、面白くない。

 テレビを見ると、タマちゃんは次の技に移っている。今度は3個を一方向に回していくやり方のようだ。


「ん? 投げ方が変わったな。どれ、ほいっほいっ、トン……コロコロ」


 ミカンが一つ落ちて転がっていく。


「ふふ。失敗のようですね」


 ここぞとばかり、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべて言ってやる。


「ちょっと手元が狂っただけだ。そういうヴァンはできんのかよ!」


 若干不機嫌そうというか、恥ずかしさを誤魔化す感じのアッシュに、特に答えは返さず、余裕綽々(しゃくしゃく)でやって見せる。ふふふ。以前やったことがありますからね~。この程度、お手の物です。頭を使わないことでアッシュの上を行くことなどほとんどないから、気分がいい。


「ふーん。ま、こんなガキのお遊びに付き合ってるほど暇じゃねぇからな。俺はそろそろ帰るぜ」


 わかりやすく悔しがりながら去っていくアッシュを見送ってからテレビのチャンネルを変えると、深いグリーンの髪色をした男の子が剣術の鍛錬をしているところだった。気合の入った声と俊敏な動きを見るに、なかなか筋は良さそうだ。タマちゃんと同じく、時折こうして見守っている()は、トスタナの隣の領に住む領主の三男だ。今のところ、全く接点のないこの2人が出会うのは、まだまだずっと先になりそうですね……。

 きっと、2人の中にあるシャルの魂の欠片同士が惹かれあうはず。そう信じてはいるけれど……


「ただ見守っているしかないというのは、なんとももどかしいですね……」

闘神アッシュさんは密かに練習して、後日、6個のお手玉で順回しを披露したそうです。

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