『静かな夜』
広葉樹が鮮やかな彩りをまとう頃
わたしたちを魅了し続けた草花は
冬の到来を予感して姿を変えてゆく。
あるものは葉を落とし、
あるものは結実し、
それぞれが、
それぞれの術で、
来る春に向けて眠りに入る準備をする初秋。
小道を歩けば
すっかり秋模様………
日中に比べ、
静けさを増す夜の時間は
ほんとうに幻想的で
草花を照らす灯りは
闇の中で草花をより浮き立たせ
植物の枝葉が描き出す陰影は、
より神秘的な翳りを纏う
「まだ、見ているの?」
「ん、もう少し………」
「植物たちのね、表情が昼間と全然ちがうの、」
「嬉しそうだね。」
「ん、夢だったから♪」
「クロード・モネみたいな庭が欲しいなーって、」
「ずっと、、ずっとね♪、想っていたの」
「でも夜風が冷たくなってきたから、」
「家へ入りなさい。」
「ん、もう少しだけ、」
「クシュン♪」
「ほらほら、風邪をひくよ、」
そう言って、
彼は微笑んで
冷たくなった
わたしの背中を
そっと抱きしめた………
秋の日の朝の匂いも
褐んだ葉が陽光に照らされる匂いも
美しいけれど
夜の庭の楽しみは格別ですよ♪