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〈爪きり〉



爪きり







爪きり ぱちん



ぱちん ぱちん



それは酷く乾いた音



乾燥した皮膚が ちぎられる



鋭い銀の ふたつの刃で



切られた爪



ぱら ぱら



ぱちん ぱら



ぱちん ぱちん ぱちん



ぱら


ぱら




あたしは 爪きりしながら


キミの台詞を 思い出して



ぱちん ぱら ぱら




きついのよ 苦しいのよ 腹がたつのよ イライラするのよ 悲しいのよ 虚しいのよ もうどうにもならないの あたしの地獄は続く


ああ 忌々しい


続く 続く 終わらない最悪の日常



でもあたしは その日々を過ごす




甘えればいい?

冗談じゃないわよ


素直になんて なれないもの



素直になるのは怖い



キミに 負荷をかけるのだ


キミを 悩ませるのだ


キミが それで離れていかないか


キミが離れてしまったら あたしは 死んでしまう


あたしが 辛いよ 苦しいよと 喚けば



キミは



キミは…




「バカだなぁ、お前」






ぱちん ぱちん



そろそろ、



ぱら ぱら



深爪になってしまう




バカだなぁ、お前


笑いながら言った キミの 何気ない一言




その台詞が




あたしを 助けた






ぱちん



今の音は 爪きりをしまった音




爪きりは おしまい




次 切るのは




深爪が伸びてから




今 にやにやしているのは



テレビのお笑い芸人が面白かったわけでなく




紛れもなく



キミへの




愛しさから

…こりゃ酷い(笑)

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