始まり
「・・・・・・・・・」
目を開けるとそこは街が焼けた後だった・・
硝煙の匂い
爆発の痕
人の死体
そして血
見渡す限り血だらけ・・
・・・・
あれ?俺は通り魔に刺され、殺されたんじゃないのか?
あの最後の寒気・・・
あれは確かに自分の温かさが奪われる感じだった・・
なのに・・なぜ俺は生きている?
・・・・目の前の光景はなんだ?
と、一人で考えていたら・・
「お、おい!貴様!大丈夫か!?」
その声のほうを見ると、女の人が立っていた
ジーパンに半袖のシャツを着た金髪の女の人
見るからに負傷している、左腕から血が流れていた・・
・・銃?みたいな物を持っている
「ここはどこだ?」
俺は冷静な声で女に聞いた
通り魔に殺されたときについた、耐性だろうか?
あまり血や死体を見ても平静でいられる・・
「貴様!ここがどこだか分からんか!?」
怒られた
そりゃそうか、たぶん状況を見る限り何かに襲われた後だろう・・
この人は俺のことを兵士とでも思っているのか?
この硝煙の匂いと血の付き方からすると、戦争?だろうか?
「ここはノリトの貴族たちが住む場所だ!貴様はどこの隊だ!」
・・・俺の格好は会社にいたときの格好だ
誤解されている?
なら解いてあげないと・・
「いや、俺どこの隊でもないですよ?てかここで何しているんですか?」
というと、彼女は歯切りし
チッと舌打ちした
「くそ!まだ生き残りがいたか・・、おい!私について来い!」
町から離れ、林の中に入り走り続ける
ここで何が起きているのか?
この人は何をしているのか?
いろいろな疑問が思い浮かぶ・・
「意外と早いですね、走るの」
「戯言を言うな!殺されたいのか?」
いやもう俺、一回死んでます・・
とか言っても信じてもらえないのだろうな・・
とか言いながら、倒れた木をまたぐ
やはり林といっても、銃の痕など先の町と似たような景色が広がる
木に倒れかけている人、否、死人
やはり戦争だろうか?
それから1時間くらい飛ばし続け、林が分かれ広い空き地に出た
そこには車?みたいなのがあった・・
オープンの1920年代くらいの車みたいだな
・・戦闘服?みたいなのを着た兵士たちが車の前で警戒をしている
「貴様!名を何という!」
と言ってきた
息切れをしないとこを見ると彼女、訓練でもされているのか?
多分一人だけ生き残っていて、おかしいと思ったのだろう
「俺は城西条と言います」
というと、彼女の顔が剣呑な顔つきになる
まさか悪いことでも行ったのか?
「・・・おい、シロニシっといったな・・」
やはりここら辺では見かけない名前なのだろう・・
まぁ俺、多分違う世界から来たからな・・
「貴様は私と一緒に来い!・・他の班は生き残った者をつれ、撤退するぞ!」
了解!っと男たちの声がかかる
と同時に車が動き始める
相当訓練でもされたのだろう・・、動きに無駄なロスがない・・
車に乗り、バタンッと車のドアを閉め、彼女は「出すぞ!」
と言い、車を走らせた
おおぉ~、意外と早いなこの車・・
風は硝煙と血の匂い
そこを颯爽と行く
すると彼女が
「シロニシか・・、おい!なぜあそこに一人で立っていた?」
やはり俺が一人でいたことに、驚いているのだろう
しかし、俺もわからない
なぜ?死んだのにあの場所に立っていたのだろうか?
「・・・・俺もわかりません・・」
そうか・・とつぶやく彼女
そういえば名前を聞いていなかったな・・
「貴方の名前は何とおっしゃられるのですか?」
その恰好と言い、その体の傷つきようと言い
ただものではなさそうだ
「私の名か?・・・リリカ・エーレットだ」
リリカ・エーレットか・・・
唐突だがこの世界で起こっている事情を聞くか・・・
「・・・質問いいか?」
「ああ、かまわない」
「先の町はなんだったの?人がたくさん死んで、爆弾?の痕もあったぞ・・あれは何なの?」
「・・・それは」
まずこの世界の今の現状を話そう、とリリカが言った
この世界は50の国がある、その中の一つの国、アルデシカ帝国に私は属している
アルデシカ帝国は、資源が豊富で余りあるほどある
先代からその資源を狙う国が攻め込んでくることがあるのだ
本当の意味での戦争なのだ
今は東の国、ツバルという国と戦争している
先の町はノリトという国であった、アルデシカ帝国の同盟国であるのだがな・・
ノリトの貴族が住む町だったが、ツバルに不意打ちの攻撃を受けたのだろう
すぐに救助に向かったが、あの始末であり、撤退もされていた・・
だから、生きている人を救助し逃げたわけだ・・
そこで、お前と出会った・・
「・・・・・・・・」
俺はその話を聞き、悩んだ
・・・・この世界は戦争をしている
俺が前いた日本と真逆の世界だ
さっきの地獄絵図を見て、思った
俺が死ぬ間際に思った『生きたい』
『嫌だ・・・・生きたい
どんな苦しいことがあっても生きたい・・
貧しい国、戦争をしている国・・・
どんな世界だって生きてやる!』
この思いが反映されたのか・・
もう一回人生を最後まで逝き抜けという暗示なのか・・
この世界で生き残るには・・
・・・・決めた
「・・・・・リリカ」
「なんだ?」
「俺を・・・アルデシカ帝国の・・・兵士にしてくれっ!」
雲の隙間から出る一光の光を浴びながら
リリカにそう告げた・・
俺の人生の始まり・・
文字数はどうでしょうか!