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隣の席の君は。  作者: 平 五月
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席替え

 昨日で高校二年生初の中間テストも幕を閉じた。


 僕のテストの結果はと言うと、テスト開始前日の小田さんとの会話の内容が気になり、勉強どころではなくなってしまっていたため、良い結果は望めないだろう。


「よぉ相川!いつにもまして陰気な顔してるな。テストも終わったし、今日を乗り切れば明日から連休なんだから、もっと明るく行こうぜ!そんなにテストの出来が心配なのか?」


 テストも終わり、明日から連休ということもあっていつにもまして明るく、宇野田が声をかけてくる。


「まぁそんなところだよ。陰気な顔で悪かったな。」


 宇野田にそう返すと、朝のホームルームのために担任の先生が教室に入ってきた。


「ほら、先生きたぞ。早く席に座りなよ。」


そう促すと、宇野田は一度先生の方を見てからさっさと荷物を降ろして席に着いた。


「ホームルーム始めるぞー」


 先生が教室全体に聞こえる声でそう言うと、みんな席に着き、談笑の声も徐々になくなっていった。


「えー、中間テストも終わって一区切りついたので、今日は席替えをしまーす。」


 先生が軽い口調でそう言った途端、静まっていたざわめきが戻ってきた。


 しかし、僕は一人固まってしまっていた。


 席替えとは確かに、高校生活において胸躍るイベントの一つなのかもしれない。


 事実、僕だって今までの席替えには素直に新しい席がどこになるのかとワクワクしたりもしていた。


 だが今回は違う。


 なぜなら、席替えをすると小田さんと離ればなれになってしまうかもしれないからだ。


 これまで、小田さんに僕が挨拶をして、小田さんが僕に話しかけてくれていたのは隣の席だったからだろう。


 もし席替えをして、隣の席でなくなったら小田さんは僕のところまでわざわざ話しかけに来てくれたりするだろうか。いや、きっとそんなことはないだろう。彼女はいつもどおり、自分の席で本を読むだけだ。


「どうしたんだよ相川。ようやく一番前の席から解放されるっていうのにあんまり嬉しそうじゃないな?もしかして俺とはなれるのが寂しいのか?」


 そんな俺の気を知りもしないで宇野田が冗談を言ってくる。


「そんな訳無いだろ。むしろ静かになって清々するね。」


 無視するのも不自然なので、適当に返事をしておく。すると、先生が出席番号一番から順番にくじを引くように指示を出していた。僕はくじを引くために席を立ち、教壇の方へ歩いて行った。


 くじを引いて席に戻るとき、小田さんの表情を見てみたが、彼女はやはりいつもどおりの顔でいつもどおりに本を読んでいるだけだった。

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