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隣の席の君は。  作者: 平 五月
3/7

夢と現実と・・・

 今日も言えなかった・・・。

 

 窓際の一番前の席で机に突っ伏しながら心の中でそうつぶやく。

 

 初めて小田さんと話して(?)から今日で4日目。


 あれから一度も彼女と話していない。


 毎朝彼女に朝の挨拶をしようと試みるも、今日で4回目の失敗だ。


 もちろん夢の中では4回とも僕の方から挨拶をして、彼女とたわいもない会話をしている。


 たかが挨拶ひとつ出来ないなんて・・・。

 

 自分が情けなくてしょうがなくなる。


「おーい、相川。大丈夫か?最近朝はいつも机に突っ伏してるけど寝不足か?夜中まで本読んでるとか?」


 宇野田はいつも軽い感じだが優しくて気遣いもできるいいやつだ。


 去年一年間一緒にいてそのことはよくわかった。


 くだらないことでへこんで宇野田に心配をかけるのも悪いので、明日こそは・・・と心の中で決心して、机から顔を上げた。


「まぁそんなとこだよ。今日は早く寝るように心がけるよ」


 もちろん今日も昨日も一昨日も、バッチリ8時間は睡眠を取っているので寝不足なんてことはないのだが、適当に話を合わせておく。


変に察しのいいところがあるのでなにか勘違いをされても面倒だ。


僕は彼女のことが好きとかではなく、ただ本の話をできる友人が欲しいだけなのだ。


いつまでも夢の中の彼女と話しているわけにもいかないだろう。


「そうしろよ。授業中に寝てたら後々困るのはお前なんだから」


「わかってるよ。余計なお世話だ」


 そんなやり取りをしながら横目でちらりと彼女の方を見る。


 今日も今日とて彼女は本を読んでいる。


 いつも白を基調としたブックカバーをしているためどんな本を読んでいるのかはわからないが、たしか今日の夢では恋愛モノを読んでいるとか言っていたような・・・・・。


 落ち着け、何を考えているんだ、僕は。夢は夢、今は現実だ。


 そんな風に自分に言い聞かせていると始業のチャイムが鳴り始めた。


 この日も彼女と話すことはないまま淡々と時間は過ぎていってしまった。

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