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隣の席の君は。  作者: 平 五月
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初めての会話?

 小田さんは高校二年になって隣の席になった女の子で、夢の中以外では一度も話したことがない。


 まだ新学期が始まって2週間ほどだが、数日程前から彼女と話す夢ばかり見るようになった。


 夢では気楽に僕から挨拶をしたりなんかしているが、僕は人見知りが激しい方だから女の子と他愛もない会話を展開するなんてことはそれこそ夢ぐらいでしかできないのだ。


 そもそも僕はどうして彼女と話す夢ばかり見るのだろうか?


「おはよー、相川」


 確かに本が好きな僕としてはいつも彼女が何を読んでいるのか全く気にならない訳ではないが、だからといって毎日夢に見るほど気にしているとは自分でも思えないし・・・・


「なぁ、相川!」


「うぇっ・・・!?」


 急に話しかけられたように感じ、思わず変な声が出てしまった。


「何ぼーっとしてんだよ?なんか考え事か?」


「いや、問題ない。大丈夫だ。それより何か用か?」


 後ろの席の宇野田。高一の時も同じクラスで席が前後だったから仲は良い。


 ちなみに僕は出席番号一番なので前には誰もいない。


「そうそう。数学の課題やってるか?俺板書当たってるからちょっと見せてくんない?」


「あぁ、やってるよ。ちょっと待てよ」


 そう言ってカバンの中を漁るが、どんなに探しても数学のノートが見つからない。


「悪い、家に忘れたみたいだ・・・」


「マジかよ~、相川は使えねな~」


 大げさな態度でそう言う宇野田に対して僕は間髪入れずに突っ込む。


「お前に使われたかないよ」


 そんなくだらないやり取りをしているとふと横から開かれたノートが差し出されてきた。


「これ。よかったら、どうぞ。」


 毅然とした態度でそう言う小田さんを前に、僕と宇野田は少し固まってしまった。


「・・・おぉ。悪い、助かるわ。サンキュな」


 3秒ほどの沈黙のあと宇野田が軽い感じでお礼を言いながらノートを受け取り黒板の方へと向かった。


 そして読書に戻ろうとする彼女に僕も一言、


「わざわざごめんね。ありがとう」

 

とお礼を言った。すると彼女は今日見た夢と同じような微笑を浮かべながら言った。


「どういたしまして」


 これが僕と彼女の現実での初めての会話(?)だった。

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