決意
神森町の都市部エリアは自然化計画された場所とは異なり、東京の一角にあるだけはあるような賑わいがありビルなどがそびえ立っている。
「こんな目立つ場所にあって大丈夫なのか? 能力はあんま知られてないんだろ」
「表向きはそこらへんの一般企業となんら変わりないから大丈夫よ」
しばらく歩いていると、NTKビルと書いてある建物が前方に見えた。
確かに見た目だけだと他の企業と変わらないような外見だった。
「こっちから入るからな」
「こっちのエントランスから入らないのか? 」
どうやら裏口を使って入るらしい。
「あんまり口外できない話だからな」
中に入ると階段が続いており、先は長そうだった。
さらに、エレベーターに乗り一番下のフロアに着くとそこには上の外見からは検討もつかないような研究所になっていた。
「ここがNTKの極秘プロジェクトの研究に使われているフロアになっている」
一人で来るのは容易ではない施設になっている。
本当に秘密裏に動いているのを改めて感じていると会議室の前にたどり着いた鎌田を待っていたのは一人の少女だった。
「紹介するわ、彼女は今後のあなたの監視役になる月影絵里よ」
「初めまして、月影絵里です一応中学三年ってことになってます」
透き通るような白い肌、とても中三とは思えないスタイルの良さが目立つそんな印象だった。
「あの……そんなに見られると恥ずかしいのですが……」
「あっ、悪い、ってちょっと待て監視が付くなんて聞いてないぞ」
一体何を考えているのか、鎌田には皆目検討もつかなかった。
「まあその件も含めて今から説明するから少し落ち着けよ」
藤崎先輩がそう言って、少し落ち着いた鎌田は彼女に問いかけた。
「まず、この団体の目的は何なんだ? 」
「簡単に言うと、能力者の回収ってとこかしらね、あなたこの能力がなぜ生まれたか知ってる? 」
「検討もつかないな」
どこか余裕そうな表情をしているのは彼女が自然体なのがわかる。
「昔、謎の物体が次々落ちてきたって話聞いたことあるでしょ? 」
「聞いたことはありますけど……」
「あれが能力の原因ってのはなんとなく察しがついているじゃないの? 」
家族が殺された頃、同時期でまとわりついたあの物体は何故自分を選んだのか。
「あの物体は、私達の中では《サークル》って呼んでいて、それが能力を引き起こしているの。それともう一つわかっていることがあるの」
「もう一つ? 」
「それはあなたも見たと思うけど彼みたいな能力の暴走があって制御ができない能力者もいるってことよ」
《炎》の能力を持った彼は明らかに自我を失っていて欲望のまま動いているようだった。
「そんな彼らが能力を暴走する前に日々動いているのが私達NTKよ」
「なるほど、でも全国各地に散らばった能力を全部回収するのはいくらなんでも無理じゃないか? 」
「他にも私達以外に動いてるグループは全国にいるからそっちはそっちでね 」
「まあ参加するって言った以上はしっかりやらせてもらうよ」
「それじゃあ、こちらからまた何かあれば連絡するから絵里任せたわ」
「あ、はい! 」
みんなを守る、そう決意した鎌田は帰宅することにした