混合
いつものように帰宅するその行為に一つの変化があった。
それはいつもいない少女がいること。
「ねぇ、普段放課後何してるの? 」
「近所の公園で体動かしてから夜は天体観測かな……」
彼女は悠人の顔を覗きこむようにして彼に尋ねた。
「ふうん、それよかったら付き合ってもいい? 」
悠人は動揺していた。
あまり異性に絡まれることがないのと話したことが数えるくらいしか女子になぜそんなことされるのか、という疑問が湧いてきたからだ。
「なんで俺に構うの? 」
「君っていつも何か考えてそうでさ……
私、自分で何かしたいってのがないからさ」
「まあ構わないけどさ、それじゃあこっちだから、また後で」
結局、誰かに頼りたかったのかもしれない。
一人など耐えられないから。
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少年は一人で歩いていた。
また成績か。
成績成績成績もううんざりだ。
という両親の不満が限界に達しようとしていたが、どうにか内心で抑えていた柳田守は用事があると両親に言って、外出することにした。
ーーいつか復讐してやるからな。
柳田がいつも心で思っていることだ。
幼い頃から、勉強することしかさせてもらうことができず、両親はいつも外出している。
小学校の頃、両親がいない間に友達とこっそり遊んで帰ってきた彼を待っていたのは悲劇だった。
ひたすら母親に、殴る、蹴る、殴る、蹴るの暴行を食らって、ひたすら勉強することを約束にどうにか解放された。
それ以来母親は何か試験がある度にもっといい成績を残せと口うるさく言っている。
ーーもううんざりだ。
そう思っていた彼を蝕んでいったのは、謎の物体だった。
中学校になってすぐ夜飯を買いに行こうとして、外に出掛けた彼は《サークル》に寄生された。
始めは、奇妙に思い何事も無く過ごしていたが、ある日、腕に違和感を感じ力を入れると次の瞬間、手から火が出ていたのだ。
最初は何かの冗談かと思ったが、一回ではなく何度も使えるようになりそれは確信になっていったのだった。
柳田の能力は《炎》と後に呼ばれることになった。
そんな彼は復讐の計画の一環として一人の少女を利用しようとしていたのは誰も知らない。