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第5話 サンドイッチとニューライフル

初めての海賊稼業は終わった。それも非常に好ましい形でだ。僕らはあの帆船から金300㎏に銀が500㎏、胡椒とシナモンがそれぞれ200㎏も手に入った。


その立役者が僕だと言う事で今まで僕を怪訝な目で見ていた屈強な船員たちの評価も一転して、モズクっ子からキャプテン・ドレイクの懐刀とまで呼ばれるようになった。


だがしかし、今回の一件で一人ではやはり火力が足りないのではないかと僕は薄々感づいていた。


ジュリアンがいたから良かったようなものの、一人であの数を制圧できたかどうかと言われると答えはNoだ。ではこれからどうして行くべきか。ジュリアンとコンビで、なおかつ現代兵器を使わせる必要が出てくる。


そんな訳で僕は報酬の配当を終えた後にジュリアンの下へと向かう。甲板下へ向かうと彼女は僕を待っていたかの様にそこに立っていた。更に我らがドレイク船長までもそこにいたのだ。


「やぁウェルナー君。素晴らしい働きだった!」


ドレイクは僕を見るなりルパンジャンプで熱烈に抱き締める。因みにいうと身長差が割とあるためDカップの胸の中に思いっきり顔が埋まってしまう。


「むうっ、むぐうぅっ!」


傍目から見ればさぞ幸せな光景だと思うだろう。実際僕もやられるまではそう思っていた。


いざやられてみれば顔を押し付けられて一種の暗殺術かと思うほどに息が出来ない。


「ちょっとキャプテン・ドレイク。何てことをするんですか!?だったら私もやりますよ!」


「構わん、殺れ」


無慈悲な命令が下される。

おいちょっと待てやる気満々じゃねえか!そしてドレイク船長、字が違う!殺す気か!


「分かりました……それでは行きますよ!」


刹那、後頭部からも柔らかい何かが押し付けられる。顔を押し付けられているせいで見えないが何が起きているかは本能的に察しがついた。


これサンドイッチ状態じゃねえか!おっぱいが前後から押し付けられているだと!?何、僕はパンの間に挟まった具ですかそうですか。

お陰様で更に息苦しくなる。良い事なんて無いさ、ははは……






ドレイクとジュリアンのダブルサンドイッチが終わったのち、本題へと移る。

無論、ジュリアンに持たせる武器装備についてだ。


今回の襲撃ではジュリアンに現代兵器を持たせる事は叶わなかった。だが今度の襲撃作戦に備えて彼女に現代兵器の取り扱いを学んでもらう必要がある。


「それで、君に頼みたいのは僕が使っている武器を君にも使ってほしいんだ。これからの時に必要になるからね」


「なるほどね。あの珍妙な銃を使えという事か。威力は見たところマスケットやフリントロック式拳銃すら上回る。更に小型で取り回しもいい。そんな銃を使いたくないと言い出す奴はそうそういないさ」


彼女の言葉を妙に納得した様子で聞いていた。

小型で自分たちが持つ銃より取り回しが良く、威力もはるかに上回り、更に連射出来る。ジュリアンは現代兵器の性能に驚くというよりかはメリットを計算しているように感じられた。


「ああ、私はこう見えて銃の取り扱いは上手い。飛んでいる鳥を撃つ事だって造作は無いさ」


自信満々に胸を張るジュリアン。やっぱりドレイク船長と張り合えるレベルだな。胸が。胸以外に言葉を信用するならば銃火器の腕はそれなりにあると思っていいかもしれない。


では何を持たせるべきか?ボルトアクション式のスナイパーライフルが思い浮かんだがすぐに候補から除外する。


人質救出を行う訳ではないし排装にある程度のタイムロスがある。だが中距離からの援護射撃は必須だろう。そこでお眼鏡に叶うライフルがあるとすれば、ある。


SR-25。Mk11 Mod0とも呼ばれているセミオート式のスナイパーライフルだ。これならば中距離の援護射撃においてはこれ以上なく適役だろう。

どうやらまたあの戸棚にお世話になりそうだ。


「ドレイク船長。あの戸棚に行ってもいいでしょうか?」


「ああ、一向に構わん」


ドレイクの許可が下り3人で船長室のまたあの戸棚(武器庫)へ顔を出すことになった。


タンカー制圧作戦の際に僕は過剰ともいえる装備を保持していた。勿論SR-25もそのうちの一つでバックパックの中に分割して小型火器と一緒につっこんで置いた。

今回は雪崩が起きるような事は無く、戸棚の中に整然とそれらが並べられていた。

タンカラーのM16に似て異なる狙撃銃。それこそがSR-25だった。


「これを、私に使えって言うの?」


「その通り」


僕は一度戸棚の前から退くとジュリアンは早速SR-25をその手に取った。彼女の体格からするとどうやら適正サイズのようだ。


「マスケット銃の扱いは慣れているが、これは中々面白いな……」


ジュリアンはマガジンが装填されていないSR-25を試しに構える。正直な話僕よりも様になっているかもしれない。うん。ほんとにそう思う。


「ふむ、ストックは見たことも無い素材だけど、ちゃんと肩に当てられている分には大丈夫。首周りはしっかりしているしマスケット銃よりも使いやすそうだ。だが弾丸の交換方法についてはマスケット銃とは異なるらしい。ふむ……良い銃」


ジュリアンは戸棚から更にスコープと二脚、そしてサプレッサーを取り出した。


「どうやって着ければ?」


「ちょっと、僕に貸して下さい」


僕はジュリアンからSR-25を受け取ると銃の上部レイルにスコープを、ハンドガード下部レイルに二脚、最後に先端にサプレッサーを取り付けて再びジュリアンに手渡す。


「8倍率スコープに設置用の2脚、そしてこのサプレッサー。これで相手に感づかれる事無く、中距離クラスの射撃が容易に行えます。鳥を撃つ事も何て朝飯前でしょう?」


「そうだな。こいつなら戦える!」


マスケット銃よりもはるかに高性能なセミオートライフルを腕に抱きジュリアンは勝利を確信した笑みを浮かべた。


ついでにもう一度戸棚を開く。先ほどのSR-25とは一回りも二回りも小さい小型のT字状の小型火器が姿を現す。MP7A1と呼ばれるこの銃火器は近接戦闘での取り回しに優れ高いストッピングパワーを持つ事で知られている。


特に4.6㎜の専用弾は100m以内ならばクラスⅢの防弾ベストすら貫通するレベルの威力を持つ。勿論最初からサイトや光学機器は全て装着されている。


これもジュリアンへのささやかな贈り物。近接戦に持ち込まれた時に対処出来るようにする為だ。いざ渡してみると


「こんなちゃっちぃ銃で誰が戦えるか!」


と先ほどのSR-25に比べれば不評の様子であった。結構高いんだよ。威力も値段も。


そう言いながらもジュリアンはMP7を受け取り船長室の大テーブルへSR-25と共に並べる。


2つの火器が木製の古めかしいテーブルに置かれている様は貫禄が漂っている様に感じられた。


「ありがとう」


ジュリアンの頬がほんの少しだけ赤みを帯びていた。

さて、次に話は土曜日に投稿いたします。

感想やご意見、訂正点がありましたらどんどん書いて頂けると幸いです。

それでは

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