第九十五話 なんだったんだあれは?ルーマ、突然の宣告!?
一話目。
遅れすぎた…!
ごめんなさい!!
森の中から現れたのは、黒いローブを羽織っているせいで顔も見えない…多分、人間だった。
「…お前はどうやってここに来たんだ?」
多分人間のローブは、現れるなり訊いてきた。
「どうやってと言われましても…グニャグニャした空間に吸い込まれて、しばらく落ちてきた先がここだったので。」
実際、そうとしか言いようが無い。あと、今更ながら演技はしておく。
「……………そうか。大体分かった。お前は”世界の歪み”に吸い込まれてしまったんだな。」
しばらく考えていた様子を見せたが、ローブは言った。
「”世界の歪み”?」
「ああ。聞いた事が無いか。”世界の歪み”、というのは歪みとも呼ばれ、その名の通り、世界に生じる歪みだ。
発生自体は結構稀だ。その歪みを通ると、歪みが生じた世界とは別の世界に行ける。と、いったところだ。」
「ということは、ここは歪みに吸い込まれる前に私がいた世界とは違う…と言う事ですか?」
「まあ、そうだろうな。」
「じゃあ、私は元の世界に帰れるんですか?」
「ああ、俺が帰してやる。…さて、この世界も消さないとな…」
今、ものすごく物騒な言葉を聞いた気がするんだが。
まあ、聞いてないフリをしておくか。首突っ込んだらまずい気がする。
「じゃあ、すぐにでもお願いします!」
「いいだろう。お前が落ちてきた所はどこだ?そこにあった歪みを復活させる。」
「ちょうど私の真上です。落ちたところから動いてませんから。」
そう言って、俺は上に指を指す。
「わかった。少し待っていろ。」
ローブはそう言うと、俺が指を指した方向に飛んでいき、数秒そこにとどまると、突然俺が吸い込まれたのと同じ歪みが出来ていた。
「早!?」
「まあ、歪みを復活させるくらい、簡単に出来る。さあ、入れ。これでお前は帰れるはずだ。」
「…何モンなんですかあんたは…まあ、いいか。ありがとうございます!では!」
俺はお礼を言い終えると、さっさと歪みに入っていった。
「…行ったか。」
ルーマが出て行き、一人になったローブがポツリと呟く。
「さて、この世界も消すか。」
ローブが世界から消えると同時に、その世界は消えた。
まるであの闘技場のように…
「ふう~ようやく着いたか。」
元の世界に戻り、さっき吸い込まれた場所から出てきた俺は、ギーナの家に戻っていた。
全く、なんだったんだあれは…
世の中、意味の無い事は全く無いなんてどっかで聞い…いや、自分で考えたんだっけか?まあいいか。
とにかく、あれは嘘だな。間違い無い。世の中、意味の無い事で溢れているんじゃねえか。
「ただいま~。」
…またか。まあ、別に良いか。
「おかえり~。」
……ギーナもか。まあ、別に良いか。
というか、訓練はもう終わったのか…ちなみに、今は昼である。
あ、そうだ、今日男に戻ろう。そのためには…
「あ、そうでした。今日、この村を出て行きます。」
「………え?」
ルーマが村を出て行ったことにしないと。旅人って設定だったし、問題無いはずだ。




