第九十話 皆が聞いていた?忙しかったなここまで!?
本日二話目。
よし!長くないけど九十話だ!
扉から出てきた皆は、漫画とかみたいな感じで積み重なっている。
「み、皆さん?何をしていたんですか?もしかして、今の話を聞いていたんですか?」
リセスが明らかに引きつった顔をして訊いた。
「え、えっと…その…」
おお天才よ、どもってしまうとは情けない。
「聞いてたんですか?」
語調を強くして、再びリセスが問う。
「「「「「「「「「「「「「『…ごめんなさい。』」」」」」」」」」」」」」
皆がハモリつつ、謝罪した。
謝るくらいなら盗み聞きなんてすんなよ。というか、大人組(夫婦二組)もいい年して何やってんだ。そこはストッパーになれよ。
「どの辺りから聞いてたんですか?なんで聞いてたんですか?」
リセスが凄みのある笑顔で皆に問う。それに答えたのは俊太だった。
「…リセスがルーマに問い詰められてた辺りから。リセスがルーマに呼び止められてたから、興味本位で皆と相談して聞きに行った。」
「言い出したのは俊太だ。だからせめるなら俊太にしてくれ。俺達は何も悪くない。」
「おい!太郎!!そんな事を言ったら」
「俊太さん?」
「はいっ!!」
リセスが俊太の言っている事を遮る。俊太哀れ。
「…まあ、いいでしょう。いずればらそうとしていた事です。それを踏まえた上で、私をここに泊めてもらえませんか?」
「…家出に加担したということで反逆罪とかにならなければ。」
ギファードが許可した。他の皆も特に反論は無いらしい。
「では、これからよろしくお願いします。」
こうして、リセスは改めてギーナの家に泊まることとなった。
さっきの一件が終わり、いつも寝ている部屋に戻ったが、暇にも程がある。
タカミ、キャビ、リセスは知らんが、他の皆は訓練またはその指導だ。
ティエスの実を採りに行っても、今食えば体がもたないらしいし、勘付かれるかもしれない。
寝ようにも眠気が無い。娯楽?んなモン無い。
よってする事が無い。暇だ。
「そういえば、こんなにだらだら出来んのって、久々な気がするな~…」
最近何かと忙しく、まったりしている時間なんて微塵も無かった。
次から次へと何かが起きて、休む時は休む事に精一杯で…はぁ…なんかそう思ったら余計疲れてきた…
異世界に飛ばされて、一週間寝巻きで冒険して、廃屋で幽霊に会って、また異世界に飛ばされて、怪物と闘って、女になって、犬耳と尻尾が生えて、
犬耳と尻尾が取れて、女になった自分のそっくりさんが現れて…波乱万丈過ぎるだろ、この二週間。
というか、これで二週間だったんだな。いや、正確には今日で二週間になる、か。長いな~二週間。
あ、そう言えばこの前能力が目覚めたんだった。漠然としか出来る事が分からないから、それの検証をしないとな。
「よし、行くか。」
俺は能力の検証をすべく、外に出る準備をした。




