第八十六話 でっち上げのため外出?筋肉再び!?
「あ、私ちょっと外に行ってきます。」
朝食後、俺は皆に外に出る事を言って、外に出ようとした。
「待って下さい!今は外に出ないほうが…!」
が、リセスがそれを止める。
「何でですか?」
わざわざリセスが止めてくる理由が見えてこないので、訊いてみる。
「そ、それは…か、勘です!」
…随分と根拠の無い理由だな…
「えっと…どうしても行かなきゃならないんですが…」
今回外に出るのは、皆に手紙を渡すためである。
どういうことかというと、用事で出かけていたルーマが、偶然守と遭遇。守は帰れないが、ルーマに手紙を渡して、去っていく。
と言うでっち上げのつじつまを合わせる為である。手紙なら、昨日フォルフが気絶している時に書いたしな。後は渡すだけだ。
「…そうですか。では、お気をつけて。何か嫌な予感がするので。」
「努力します。」
絶対努力しないだろうと言った感じの返事をして、出て行った。
ギーナの家を出たは良いものの、する事がない。重要なのは出かける事であって、外で何かすることじゃないしな。
…ん?あっちにいる男、なんかこっちを見てるような…
あれ?と思ったら誰かに連れて行かれたぞ?追ってみるか…
俺は身体強化を使って、連れて行かれた男をつけて行った。するとどうか。そこには大勢の人がいるではないか。
しかも、会話も聞こえてくる。俺はそこにあった壁に身を隠しつつ、男達の会話を聞いた。
「貴様!ルーマ様に何をしようとしていた!」
「別に何でも良いだろうが!」
「良くない!なぜなら俺達は、ルーマ様ファンクラブなのだからな!!」
…今、コイツ何て言った?ファンクラブ?俺の?え?
「ファンクラブだかチャ-ハンだかしらねえが、お前らには関係が」
「ある!」
あれ?自称俺のファンクラブの、俺を見てた奴と口論してんのって、どっかで見覚えが…
ああ!マソーだ!!あの筋肉野郎の!!ギーナのファンクラブだけでなく、俺のファンクラブ(?)にも入会してたのか!!
「ところで、ナンパしようとしているようにも見えたが、そんな事をするくらいならファンクラブに入らないか?」
「アァ!?んな勧誘に俺が乗る理由がねえだろうが!」
「…そうか…なら、野郎ども!かかれーー!!」
オオオオオオオオオオオオ!!!!
マソーの後ろに控えていた男達が、ナンパ(未遂)にかかっていく。あ、マソー踏み潰された。あれ、ひょっとしていつもの事なのか?
「ちょ、ちょっとま…うわああああああああああ!!!」
ナンパ(未遂)の悲鳴が、朝の空に響き渡った。
…これはやりすぎなんじゃないかという感想と、ザマアという感想が混ざって、どっちなのかわからん。
俺はファンクラブの確認も済んだ事なので、帰ることにした。が、いきなり腕を掴まれた。
「…リセス様。勝手に家出なんてしないでください。アング様もアーク様も心配しておられます。」
腕を掴んできた奴を見ると、黒い服を着た、筋肉がかなり付いていると思われる男だった。
アング?アーク?一体誰なんだ?そして俺はリセスじゃねえぞ!?




