第八十一話 ばれないように立ち回れ?ヒューマの実の使い方!?
ギーナの家に泊まる事を強制されたあと、俺たちはメタフォの森を通り、ギーナの家に来た。
他の皆への事情説明を済ませ、誰も反対しなかった。反論に便乗して出て行くという手は使えなかったか…
その頃には日も暮れていたので、夕飯となった。
「そういえば、ルーマと守って、何か似てるよな。」
夕飯の最中。父さんがそんな事を言った。
ギクッとしたのは言うまでもない。というか突然核心をつくような言葉を言うな。
「な、なんでですか?」
どもるな!演技だ!演技に集中しろ!
「いや、なんかルーマの顔がどこか守に似ている気がしてな。」
ああ…そう言えば女になっても男の時の面影は少し残ってたんだった。だからか…
「そうね。言われてみれば似てるわ。」
「というか、守なんじゃないの?」
母さんと光が追撃してきた。
「ち、違いますよ。と言うかなんでそうなるんですか。」
焦るな……って無理だ!焦るわ!
「似てるから?」
…落ち着け…皆が言ってるのは顔の事だ。決してばれたわけじゃない。
「…偶然って、凄いですね。…あ、そう言えば、ギーナさんはさっきヒューマの実を持って来ましたよね?何に使うんですか?」
「え?ああ、それね。それなんだけど…」
多少露骨だったかもしれないが、話題を変える事に成功したこの話題が続いていたら多分ばれる。
「フォルフの餌に混ぜたわ。」
『何!?今日はやけに餌から木の実みたいなニオイがすると思ったらそう言うことだったのか!?』
…なるほど。フォルフの擬人化に使ったって訳か。
というかフォルフ、そこまで気づいてたのに、なんで誰にも訊かなかったんだ?
『おぼ…え…てろ…』
フォルフ は たおれた !
…フォルフ、ドンマイ。
「うまくいったわね。俊太。」
「ああ。なかなかのお手前だったぜ。」
なんかギーナと俊太の声が聞こえた気がするが、気のせいだ。
『…ここは…』
「目が覚めたみたいですね。」
フォルフがいつも寝ていると言う部屋にフォルフを運び、しばらくするとフォルフが目を覚ました。見た目は完全に人間だ…頭にある耳と尻尾を除けば。
というか、フォルフって子供だったんだな…身長は130くらいか?
『ルーマ?…はっ!俺はどうなっている!?』
「そこの鏡を見れば分かりますよ。」
そう言われ、フォルフは部屋にあった鏡に駆け寄り、鏡をまじまじと見た。
『これが…俺なのか?』
気持ちは凄く分かる。だが、それを言うとばれる危険性が高いため、言わない。ちなみに、この部屋にはフォルフと俺しか居ない。
皆は、フォルフが目覚めるのを、今か今かとリビングで待っている。
「目が覚めたみたいなので、皆を呼んで」
『やめろ!』
まあ、反対するわな。
「でも、この状況じゃ、すぐにばれますよ?」
この一言は自分に言っているわけでもないのに、深く俺に突き刺さった。俺の状況も、フォルフの事を言えないくらいにはやばいのだ。
『分かっている!分かっているが!』
その気持ちも分かる。なんか、自分を見ているような錯覚すら覚えてきた。
『せめて…せめて少し待って』
「フォルフーー!起きたかーーー!!」
哀れフォルフ。突然の俊太の襲来により、その要望は破壊された。マジでドンマイ。




