第七十九話 また戦闘?コイツ必死過ぎるだろ!?
「取らせはせんぞおお!!!」
「くっ!」
最初の一撃を放ってからバンバン魔法を撃ってくる、さっきからでしゃばってくる男。勘弁してくれ。
「逃げれば勝ち…」
「そうはいかんぞ!俺のさっきまでのストーカーが分かったのかな!?君には!?」
何!?ストーカーだと!?全く気がつかなかった…別行動を取ったあたり、多分ギーナも気づいてないんだろうな…
こんな才能があるならストーカーとかじゃなく、国のスパイにでもなっちまえよ…どこのかは知らんが。
「それなら、撃退するしかないって事か!」
俺はそう叫びながら、魔法で炎を発生させる。しかし、
「な!?き、消えた!?」
発生して数秒で、炎が消えた。
「フッフッフ!コレが俺の能力!俺が認識した魔法と能力を、自分のもの以外消すのさ!!」
なんて厄介な能力だ…今の俺は魔法にあっての戦闘法しか使えない。
身体強化なんて使って、消されたら、突然力が入らなくなった事でバランスを崩してしまい、隙を与えるという結果になってしまいそうだ。
とはいえ、魔法での直接の攻撃は、普通に消されるだろう…
あれ?そういや、”認識した魔法と能力”って言ったよな?じゃあ…
「ほらほらどうした?諦めてくれたのかい?」
「……」
「かかってこないのなら…あっつい!?」
…フツーに通じちゃったよ。気づかれないように後ろから火の玉で攻撃してみたら、あっさりくらった。
「ムウ…後ろからとは卑怯な!もう怒った!謝っても許さないよ!」
謝る気も許してもらう気も持ってないので、ノープログレム。問題無い。
「そらそらそら!!」
微妙な掛け声だが、なかなかの密度の魔法だ…避ける事はできないだろう。
…なんか、俺、冷静だな。焦り過ぎた結果かな?こんなのくらったら、ただじゃ済まない。それほどまでの威力なんだしな…
ああ、早く元に戻りたかったな…
そのときだった。
俺は、何かに閃いたような、何かを思い出そうとしていて、ようやく思い出せたような。
そんな感覚がした。
そして…
「…この木に”機能”を付与。機能は反射。」
木の陰に隠れ、ほぼ無意識のうちに、そう呟いていた。
「フン!何をしたって無駄さ!この量の魔法なら……は?」
男は突然、言葉を止め、硬直していた。
なぜなら、自分で撃った魔法が、全て跳ね返ってきているからだ。
「あ…あぁ…あああああああああ!!!」
男は自分で撃った魔法に飲まれ、魔法の光の中に消えていった。
「……すげえな、これ。」
俺は目の前の光景に驚き、呟いた。
俺の目の前は、ストーカーの魔法で浅くへこんでいる地面と、その中心にいる、黒焦げだけど一応生きている、しぶといストーカーだ。
奴の魔法のせいで、辺りの木は、ほとんど無くなっている。俺を殺す気だったのかコイツは…
「ルーマ~!何かあったの~!?」
おっと、ギーナが来たみたいだ。さて、このストーカーはどうするか…




