第七十七話 俊太の活躍?朗報が来た!?
「…と言う訳で、ルーマは守である可能性は無いわ。」
ギーナの家。俺達は今日の尾行の結果を皆に話していた。もちろん、ルーマが守じゃない可能性と、その根拠もだ。
「…そうか。これで、守の捜索は振り出しに戻った訳か…」
守の親父さんが呟くと、周りの空気が暗くなってゆく。なんだかんだで、皆は守が心配なのだ。当然俺も。
「…なあ、俺、喜んじゃ駄目か?」
「俊太、ここは空気を読んで…」
俊太は嬉しさと悲しさが入り混じった顔をしている。もしかしなくても、告白関連からだろう。
「あと、俺、思った事があるんだが…」
ん?なんだ?俊太の考えってなると嫌な予感しかしないんだが…
「フォルフ、お前…実は守なんだろ?」
『………ハア?』
「「「「「「「「「「「「…え?」」」」」」」」」」」」
何を言い出すんだコイツは…
「いや、だって、今の守はどんな姿になっててもおかしくないんだろ?だったら、フォルフみたいな外見になっても、何もおかしくないだろ?」
俊太のくせにちゃんと筋が通ってる…だと…?
「…はっきり言って、今の俊太の方が怪しいんだけど。」
「なんでだよ!」
俺も光の言う事に同意だ。
「だって、こんなに筋が通ってる推論を、俊太が言える訳が無いじゃない!」
「そうだそうだ!」
「太郎もかよ!お前ら!いつも俺をどういう目で見てやがる!」
「トラブルメーカー。」
「シリアスブレイカー。」
「…ただの馬鹿…」
「お前らあああああ!!」
「プッ…フフフ…」
「笑うなぁ!」
俊太の叫びの後、笑い声が聞こえ、この場は笑いに包まれた。
…朝か…
翌朝。結局俺はあの後に寝てしまったらしい。さて、今日も就職活動にしゃれ込みますか…
俺は宿屋を出た。
「お~い!ルーマ~!」
宿屋から出ると、聞こえてきたのはギーナの声だ。ナンパの声ではないことに安心しつつ、俺を呼ぶ声に応じた。
「なんですか?」
「ちょっと言い忘れたことがあって…今日で耳と尻尾がとれるよ!」
「とれる?」
とれる、というと、自然にポロっととれるようにしか思えないんだが…
「ああ、今日ヒューマの実を食べても大丈夫って事よ。」
「ああ、そういう…って、マジですか!?」
「ええ。」
やった!これで一歩進める!!いや、戻れるか?
「あ、でも、私達はとってないから、ルーマが探してね。こっちの不手際なのに申し訳無いけど。」
「いや、それを教えてもらっただけで充分だ…です!ありがとうございます!」
「いいわよ、そのくらい。…で、これからどこかに行くの?できればで良いけど、私も付いて行って良い?」
「はい!」
…あ、手紙用の紙と書くもの買わなきゃいけないんだった。まあ、何とでも言い訳できるだろ。
…いや、ここでばらすべきなのか?それとも隠したままにしておくべきか?でも知られたくないし…う~ん…
相反する考えに翻弄されながら、ギーナと一緒に歩いていった。




