第七十一話 また気絶?いつになったら元に戻れるんだ!?
「はっ!?」
「はやっ!?もう起きた!?大丈夫か!?」
俺は目を覚ました。意識を失っていた時間は少なかった様子で、周りの様子がほぼ変わっていない。
変わっているのは俊太の位置くらいか?
「どのくらい気を失ってた?」
「…十秒くらいだ。本当に早いな。」
十秒って…なんでそんな短い時間だったんだ?
「それより、耳と尻尾が生えているんだが…大丈夫か?」
は?耳と尻尾?
自分の体をよく見ると、後ろに短い尻尾があり、頭を触ると、ふわふわした何かが付いていた。
「…頭のコレはどんな感じ…ですか?」
「犬みたいな耳だ。」
…ああ…要するに、今の俺は犬耳と尻尾をつけている、獣人もどきになっているのか…ばれたくない理由が増えちまった…
もうこれ以上何も起きずに戻れますように。俺は強く願った。
「…俊太、何やってんのよ…」
光が呆れたように呟く。あの後、俺達は作業を続けたが、当たり前だが手がかりは無く、そのまま合流。
で、俺の耳と尻尾を見てなんだそりゃ!?と皆が驚き、そのことを報告したのだった。
「はあ…これから守の捜索をするついでに、ヒューマの実を探さないと…」
「ヒューマの実?」
ギーナがなにか重要そうな単語を呟いたので、しっかり質問しておく。
「ええ。ルーマのその状態を解くために必要な木の実よ。それを食べればその状態も治るわ。」
なるほど…って!あの木の実結局取り忘れた!くそっ!俊太め!貴様恨むぞ!
…いや、犬耳と尻尾がある状態で戻ったらそれはそれで何か嫌だな。それに、そのせいでばれたりからかわれたりする可能性もある。
むしろあの時はとらなくても良かったんだ!
しかし、あの木の実の事は知っておきたいな。ヒューマの実とやらも含めて。
う~む、ヒューマの実はともかく、あの木の実のことはどうやって訊けば…あ、そうだ。これならどうだ?
まあ、まずはヒューマの実からだ。
「ヒューマの実って、どんなものですか?」
「ヒューマの実は、人の顔みたいな形をした木の実。色は…緑だったと聞いてるわ。」
「…熟して無いみたいな色ですね?」
「そうだけど、それで熟しているのよ。」
まあ、人の顔みたいな形の緑色の木の実ってことで覚えるか。
「もう一つ訊きたい事があるんですが…」
「なに?」
「実は、知り合いの知り合いがこの森に入って性別が変わってしまったんですが、元に戻るにはどうすればいいんですか?」
どうだ!こう言えば問題はあるまい!
「ああ…それはお気の毒に…きっとティエスの実を食べたのね…」
「ティエスの実?」
「食べると食べた人の性別が変わる木の実よ。そこから戻るには、またティエスの実を食べる必要があるわ。ただ…」
「ただ?」
「この森の木の実は、強引に食べた人の姿を変えさせる。だから、見つかってもすぐに食べさせない方が良いわ。その人の体が持たない。」
「…どれくらい、空ければいいんですか?」
「二、三日ね。」
「…ちなみに、食べた翌日にまた別の木の実を食べたら?」
「ん~、種類にもよるけど…大体完全に戻れるのは五日くらいかな?」
フム。この耳と尻尾をつけたまま戻るわけにも行かないから、つまり…
俺、後五日間女なんだってさ…ちくしょおおおおお!!




