第七十話 さてどう切り抜ける?自分探しに出発だ!?
祝!七十話!という訳で、今回は長めです。
…狙ってなかった訳じゃないですよ?
さて、俺は今から皆に俺が守であることをばれないように切り抜けねばならない。
そりゃ、俺が女になったなんてばれたくないからな!しかも親もいるのに!
『一応、そいつが守候補なんだが…』
「な、なにぃ!?」
「…俊太、思いっきり告白した…プッ。」
「笑うなぁ!しかもそれがいつもは感情をあらわにしない移図離ってなると更に傷つく!」
…どうやら俺はいきなりピンチらしい。もう守疑惑が出てやがる。まあ、事実なんだが。
「で?あなたは守なの?」
ギーナが訊いてくるが、誰がはいと答えようか。…ん?そうだ。この設定なら俺が元に戻った時にもごまかせるかもしれない…!
「守さんを知ってるんですか!?実は昨日魔物に襲われていたところを助けられたんです!知っているのなら教えてください!お礼が言いたいので!」
フッフッフ、この設定ならどうだ!これでばれまいハッハッハ!
…しかし、自分にお礼が言いたいって…まあ、今、俺は高壁守であって高壁守じゃない。守を殺してなりきれ、そして演技しろ、俺。
「え、ええっと、それが…守は、メタフォの森に行ったまま帰ってきてないのよ…」
「そうなんですか…それは心配です…」
しょんぼりしたように言ってみる。俺、役者の才能あるんじゃね?というか、メタフォの森ってなんだ?
「…そうね。それで、今から守を探しに行くんだけど、あなたも来る?」
「はい!」
ここで引き下がったら疑われると思うので、俺も付いていく事にした。
メタフォの森とは、俺が木の実を食った森らしい。これは道中聞いたことだが、ここは消える森と呼ばれているとか、ここに入った人の姿が変わるとか。
ここに入る前に聞きたかったよ、それ。
ついでに自己紹介も済ませてある。今はこう言うとなんだか語弊があるが、自分探しをしている。間違ってはいないはずだ。
もちろん、俺は前に食ったあの木の実を探している。
「そっちはどうでしょうか!?」
この作業、皆一人一人別れてしているのだが、何故か皆は俺に俊太の護衛を付けた。そう言うのマジで止めてくれ。俺にそんな気はない。
しかも俊太の奴、完全に緊張してやがる…そのせいでつい大きな声になってしまう程度には。
「ありま…いませんね。あと、敬語は良いですよ?別にタメ口でも」
「はい!わかりましたった!」
大丈夫か?こいつ…あと、危うくありませんとか言うところだった…危ない危ない。
しかし、見つからないな。あの木の実、まさかそんなに見つからないものなのか…?
木の実といえば、この森には妙な形や色をした木の実しかないらしい。
例えば、青いさくらんぼみたいなもの、一つ一つが動物の耳のような形をしたぶどうのようなものなどだ。
…ん?あれは…
「よし!見つけた!」
やっと俺が前に食った木の実を見つけた。ここまで長かった…
俺は木の実を取ろうとする。だが、届かない。
「すいません、あれ、取って貰って良いですか?」
「はい!喜んで!」
俊太はあっさり取った。…耳ぶどうを。
え?なに?なんでそっちをとったんだ?
「ひょっとして、これ、好きなのか?ほい!」
俊太が俺の口に一粒ぶどうもどきをシュウゥゥゥ!
「!?んぐ!?」
ゴクン
俊太が投げた木の実は、頼んだものと違う木の実を取ったことに対する驚きで開けっ放しになっていた口に入って行った。
超!エキサイティング!じゃない!なんで投げた!?てか、飲んじゃったんですけど!?
「う…」
俺の意識は暗転した。これも気絶すんのかよ…
ちなみに、これは後で知ったのだが、俊太があの木の実を取ったのは、あのとき俺のほうを見ておらず、視界に入っていた木の実を取った、ということらしい。




