第六十二話 店長からの頼み事?皆は悪魔だった!?
「あの…店長さん?この荷物の量は…?」
「ああ、これもこれもと詰め込んでたらこんな量になっちまった!ハッハッハ!」
ハッハッハ!、じゃねえよ!なんだこの荷物の量は!?リヤカーがとんでもないことになってんジャン!
もう五メートルくらい積まれてるんじゃねえの!?
「…これ、ホントに運ぶの?」
「ねえ…冗談って言ってよ…」
「ハッハッハ!そんな訳ねえだろ!ハッハッハ!」
「嘘だろおおおい!?」
『守、安請負は駄目だろ…』
もう、嫌だ…断るんだった…
「ハア、ハア、なんで俺ばっかり…」
「安請負したのは守だし…私達は承諾してないからね。」
『自業自得だ。』
「じごーじとく!」
森の中。あの村を後にして、待っていたのは俺だけしかしない荷物引きと言う地獄だった。つ、疲れる…
「ちょっとくらい手伝ってくれても…」
「駄目よ。」
「嫌~。」
『断る。』
あ、悪魔共めぇ…
「ん?あれは!」
タカミの視線の先には、魔物の群れがいた。この荷物を持ちながら戦うのは…
…ん?そうだ!いい事考えた!ピンチはチャンスって本当だな~!
「くそ!俺が魔物の相手をする!だからお前達は荷物を持って先に」
「え?先に行って良いの?やった~」
『おお、ありがたいな~』
「ありがと~守~」
そう言って、あいつらは全員魔物を通り抜けていった。
…俺と荷物を置いて。
あ、あいつら…!棒読みであんなことをいってからに…!本当に前世は悪魔だったんじゃないか!?
あいつらが逃げていったことで、魔物の群れの標的は、俺へと移った。
「…うわあああああ!!俺は…俺はただ…」
魔物がどんどん近づいてくる。
「俺は…!荷物をちょっとだけ運んで欲しかっただけなのにーーーーーー!!!」
魔物たちは、俺に飛び掛ってきた。
『…なあ、本当に良かったのか?今になってなんか守がかわいそうになってきたんだが…』
守の叫び声が聞こえてくる。俺達は魔物の群れに守を置いて来て、のんびり歩いていた。
「守…大丈夫かな~?」
キャビも心配しているようだ。
「まあ、大丈夫でしょう。魔物は俺が相手をするって、自分で言ってたし。まあ、何かしらの策があったんでしょ。
最も、私達に荷物を持たせようとするって言う魂胆は見え見えだったけど。」
まあ、そうだろう。あいつには能力があるから大事にはならないだろう。それに、俺達に荷物だけ持たせて、自分は楽して帰ろうとしていたのだ。
この程度の罰は相応か。そう思うと、かわいそうじゃなくなってきたな。
「ま、ここをまっすぐ行けばスタッド村みたいだし、行こ。」
今、タカミが例の道しるべを持っている。守もじきに追いついてくるだろうし、心配は要らないはずだ。
俺達は道しるべに従って、歩いていった。




