第六十話 食べるなヤバイ?川発見か!?
よし!六十話だ!
金さえあれば飯にありつける。
そんなことを考えてた時期が、俺にもありました。
タカミが降って来てからしばらく歩いているが、一向に町も、村も、人も、見えない。
どこを見ても、木、木、樹。
キィーーーー!全然人が居ない!ホワイ!?
「お腹空いたね…」
元気が有り余っていたキャビですら、こんなにも元気が無い。食べ盛りにこれは辛過ぎる。
元気が無いのは、当然キャビだけではない。俺も含む、皆だ。腹減った…
「もうそこの木の実で良くない?」
『あれは食わんほうが良いぞ…っておい!守!?』
「我慢できるか!俺は腹が減ったんだ!誰がなんと言おうが、食うね!」
ガブッ!
俺は近くの木にあった、木の実を食った。
「!!??ま、まずっ!?うわああああ!!」
まずい、まず過ぎる…!なんだこの辛さと苦さと酸っぱさのハーモニーは…!最早奇跡的なまずさだ!!
俺は木の実があまりにもまずかったので、ある目的のために走り出していた。
ある目的、というのは、水で口をゆすぐこと、そう。川を探しているのだ。
「水~~~~~!!!」
方位磁石もどきなんて、当然見ていない。ただ、本能のままに走り、川を探していた。すると…
サラサラ…
「!川だ!うおおおおお!!」
水の流れる音が、かすかに聞こえた。これで助かる!
俺が走っていった先には、川があった。
「っしゃあああああ!!」
という気合の入った掛け声とは裏腹に、俺はかがんで、川の水をすくって口に入れるという地味な作業を始めた。
ああ、どんどん口が癒えていく…
「守~!って、川だ!」
「あ!本当だ!」
『…これが怪我の功名ってやつか…いや、塞翁が馬、かな?』
なんで異世界の住民のフォルフが日本のことわざ知ってんだ?まあ、どうでもいいか。
「ふう、生き返った~。」
『全く、人の言うことは聞くものだぞ。まあ、今回は不問にするか。川も見つけたことだしな。』
なんだかんだで、川が見つかったことは大きいだろう。なぜなら、川の近くというのは、人が住んでる可能性が高い。
運がよければ誰かが来るかもしれないからだ。
「…ん?誰だいあんたらは!?」
そんなことを考えていると、突然声を掛けられた。
「えっ!?…うわあ!?」
ドボーン!
水をすくうため、川のふちぎりぎりに立っていたので、驚いてバランスを崩し、そのまま川に落ちてしまった。
「ちょっと!?大丈夫かい!?よければアタシ達のところにきな!」
声を掛けてきたのは、太り気味のオバサンだった。と、言う他無い。心配してくれたのにそんな表現しかできない自分がうらめしい。
「えっと…ちょうど人がいるところを探してたので、お世話になります…」
俺たちはオバサンに付いて行った。




