第六百二話 Noの理由?ゴングが鳴る!?
今日はエイプリールフールですね(関係ないけど)。
瑠間のシャワータイムが終了し、分身を引っ込め改めて例の彼女と対峙する。
気が緩みかけていたが、これから始まるのは世界の滅亡を賭けた最終決戦。気を引き締め直さなければ。
「そう言えば、前の部屋に置いといた平行世界の貴方はどうしたの?」
「瑠間がフルボッコにしてローブが回収した。」
「そう…
意外ね。てっきり仲間にして来ると思ってたのに。」
「……随分と自信があるらしいな。」
「自信も何も、事実よ。
力がほとんど残っていない女神、ぶつかり合って疲弊した貴方と別の貴方、ほぼ非戦闘要員のクラウン。余裕じゃない。」
確かに、俺たちのコンディションは最悪だ。
しかし、自慢じゃないがたとえ例の彼女でも退けるのは難しいはずだ。
それを余裕と切り捨てられるほどの力を本当に持ち合わせているのか、それともハッタリなのか…
前者であると想定しつつ、後者であることを祈るしかない。
「ところで、私から提案があるんだけど。」
「……一応聞いておこう。」
「私の仲間にならない?もしなってくれたら」
「断る。」
即断。言い切る前に断った。
「最後まで聞いても良いじゃない。」
「何を引き合いに出されても、応じるつもりは無い。」
「……じゃあ貴方の家族も、友達も、皆新しい世界に招待する。
これで貴方は無駄な血を流さなくて済むし、私も邪魔者が居なくなる。これならどう?デメリットは無いと思うけど。」
「断る。」
良い条件だろうと言わんばかりの表情にNoを叩きつける。
もちろん、そうしたいからではなくちゃんとした理由があってだ。
「なんで?」
「……成長したんだよ。俺も。」
「………見た目は二年前からあんまり変わってないみたいだけど?」
「そんな訳無いだろ、身長だって………
違う、そうじゃない。」
ここ二年の身体測定の結果が頭をよぎったが、俺が言いたいのは身長の話じゃない。心の話だ。
「異世界に来た直後は、元の世界に戻って、元の生活に戻って、それをずっと続けていきたかったから早く帰ろうとした。
変化なんて無い方が良いとか、そんな保守的な考え方だった。
でも、異世界で旅をしていろんなことがあった。いろんな奴と出会った。
それで気付いたんだ、そんな考え方が間違ってることに。」
「なら、貴方はなんで元の世界を守ろうとするの?
今の言葉とは矛盾してるように聞こえるけど。」
「今お前の仲間になったとして、連れてこれるのは俺の家族と友達だけだろ?
この世界はまっさら。お前以外には何も無い。それこそ変化なんて望めない。あっても少ないだろうな。
今の世界には俺の周りの外にもっと色々な奴がいる。これから友達になる奴だっているかもしれない。
敵になる奴もいるかもしれないが、友達と一緒に居るだけじゃできない経験ができる。
いろんな奴と一緒に居れば、色々な経験ができて、色々なことを学べて、色々な変化ができる。
もちろん悪い変化だってあるかもしれない。けど、その後にもっと良い変化ができれば良い。
俺はそんな変化をもっとしたい。だから、俺たちの世界を守りたい。
もちろん、今の皆が大事って理由の方が大きいけどな。
だから、もし連れてくるなら全部だ。俺の家族や友達だけじゃない。全員連れてこい。異世界の皆もひっくるめてな。」
「………」
「そこまでできるなら協力しても良い。
俺はそれができないと思ったから拒否したんだ。」
「……確かに、
確かに、何百億人もの人間をこの世界に連れてくることはできない。この世界に居るのは私だけのつもりだったから。
でもね、」
言葉を区切り、手から白い光線を放つ。
光線は俺の頬を掠り後ろへ飛んでいく。
少し遅れて頬に何かが流れる。考えるまでも無く血だ。
「目の前の邪魔者を消し去る程度なら、できるわ。」
殺気、それに含まれる怒気。
俺の言葉が何の琴線に触れたのかは分からないが、腸が煮えくり返っていること、これからの戦いに容赦が無いことだけは分かった。
今、戦いのゴングが鳴る。
「消えなさい!」
「消えれるかよ!」
白い光線が即座に創った障壁にぶつかる。
光線は音を立てることも無くぶつかった部分を消滅させた。




