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第五百九十七話 俺が伝える?容赦ない罰!?

やけに早いですが、作者の中の小説ブーム再来によりやる気スイッチが入っただけなので天変地異とかの心配はしなくても大丈夫です。

昨日のうちに二話分の量書いて、今日仕上げをしたという感じなので、長続きするかどうかは分かりませんが。

「っ…!」


 滴った血を見て鋭く息を吸う向こうの俺。


「……悪いな、トラウマ追加しちゃったか?」


「黙っ…!」


 振り上げた腕が掴まれる。


「させないよ。」


 瑠間だ。


「そりゃそうさ。

 俺だって、異世界に…ガハッ。」


「守!」


 せき込むとまた血が出た。


「後は大丈夫。

 全部わかってるから、私が」

「言わせてくれ、頼む。

 俺が伝えたいんだ。」


 魔法により治癒速度を上げながら瑠間の返答を待つ。

 しばらくして、勝手にしたら、とお許しが出たので感謝しながら続けた。

 その頃には大分ましになっていた。多分、話し中にせき込みはしないだろう。


「…俺だって、異世界に行った時に死にそうにならなかったら剣を振るうなんてできなかった。

 やられたら死ぬ。死ぬ前に俺からやらなきゃって、そう思えなかった。そう思えたから魔物や、時には人に剣を向け、振るうことが出来た。

 お前はどうだ?

 物を切るなんて、せいぜい食材を包丁で切るくらいだったろ?

 せいぜい交通事故か、滅多な犯罪以外にそういったことが無い現代で暮らしてきたお前は、やられる前にやるなんて覚悟は持ってない。持てないんだ。

 殺されかけるなんて経験、してないんだからな。」


「黙れ……!」


「殴りたいんだろ?

 なら、瑠間の手を振り払って殴ってみろよ。障壁で防いだりはしない。」


「ああ…!言われなくてもそうするさ!」


 向こうの俺は、必死に腕を振った。

 しかし何度振っても、瑠間の手からアイツの手が離れることは無かった。


「なんで…なんで…」


「まだ恐いんだよ、人を傷つけることが。

 俺だって、平気で傷をつける奴になんて近付きたくもない。」


 今本当に殴られていたら、俺の意識は途絶え、全てが終わっていた。

 しかし俺にはわかっていた。向こうの俺は、もう戦えないことを。


「ならお前らは何なんだよ!

 平気で剣を突き付けて、振り回すことだってできるんだろ!?」


「平気じゃないさ。

 おくびも出さないけど、心の奥底では震えてるんだ。

 回数を重ねて、ある程度は慣れて緩和しても、それは変わらない。

 それでも、剣を構えないと自分がやられる。俺が死んだら、俺を知ってる皆も悲しむ。

 だから、死ぬかもしれなくても、必死に立ち向かってるんだ。」


「……!」


 向こうの俺は俯き、掴まれたままの腕は力を失っている。

 異世界に居るであろう歴戦の戦士なら、若造が、と軽くあしらうかもしれない。

 しかし、アイツはそうではなかった。

 経験や経験、そしてそこで思ったことや考えたこと。それらは言葉に重みを与える。

 向こうの世界の俺に、俺の言葉と経験は重すぎたのだ。


「……今は戦闘の最中だ。

 とどめを刺せ、俺の負けだ…」


「負けを認めてる時点で、お前の負けだ。

 無意味な追撃をしても意味がない。」


「…良いんだ。

 俺は中途半端な覚悟で、お前たちの前に立ちふさがって邪魔をした。

 その罰だと思って、全力で殴ってくれ。

 それでも気が引けるなら、さっきのパンチのお返しってことで良い。」


「そうか。

 瑠間、頼んだぞ。」


「うん、全力でだよね?」


 よっぽど俺たちに殴ってもらいたいらしいので、殴ることにした。

 無意味な追撃とか言ってたが、俺個人としてもお返しはしたかったしな。

 ただし俺は負傷が完全に治癒したわけではないので、瑠間に任せた。


「身体強化!体感時間延長!!」


 瑠間が自身に魔法をかける。


「え?

 ちょっと待」


 瑠間の体がブレる。

 拳の乱打を叩き込んでいるのだろうが、俺には腕が大きく、その他が小さくブレているようにしか見えない。

 まるで特撮映画の演出のようだった。

 瑠間はひとしきり殴った後、魔法を解いて伸びきっていた腕をゆっくり引っ込めた。


「お、お前…一発じゃなかったのかよ…」


「自分で言ってたけど、貴方の方が私より何倍も強いんでしょ?

 何倍も強い貴方の一発と、貴方の何分の一の私の一発。お返しにしても釣り合わないじゃん。

 これでいいんだよね、守?」


「ああ、上出来だ。」


 と言ってサムズアップ。流石瑠間。俺の意図を完全に読んでくれていた。

 いや、瑠間自身の意思だったかもしれないが。


「だから乱打、か…酷、い………」


 流石に、何倍も強くても何発も攻撃を受ければダウンするらしい。


「そういや、何か忘れてるような…」


「さっき私に何か言おうとしてなかったっけ?」


「それだ!起こせ!」


「ちょっと起きて!さっきなんて言おうとしてたの!?」


 瑠間が頬をペシペシ叩く。

 起きない。


「きゃあああああああああああああああああああああ!!」

「わあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」


 耳元で叫ぶ。

 起きた。


「何すんだ……」


「お前、さっきなんか言おうとしてただろ?」


「そうだったか…?

 ……そうだったな。」


 思い出したらしい。


「瑠間に、訊きたいことがあってな…」


 そう言えば、瑠間を見た時に何か言おうとしたんだったな。


「………答えるかどうかは、質問によるかな。」


 無理に答える必要も無いしな。

 ただ、気になるのは肺の空気がほぼ残っていない状況でそれを言おうとしたこと…単にタイミング云々かもしれないが、どうもそれが引っかかっていた。余程気になっていたのだろうか。


「お前は…お前は、妹、なのか?」


「………?」


 は?


「二重人格において、後でできた人格が妹もしくは弟って扱いなのかってこと?」


 確かに、それは疑問だ。

 ある意味そうとは言えないし、そうとも言える。なるほど、滅茶苦茶気になる訳だ。


「違う!

 お前高壁守の双子の妹なのか!?」


 ………は?

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