第五十九話 ようやく起きた?天使(なのかも)の真実!?
「…?ここはどこ?」
天使(仮)が起きた。
「ここは森の中…って、見りゃ分かるか。」
「そりゃ、そのくらいはね…ってええ!?」
「?」
天使(?)は俺たちを見るなり、驚いている。
「あなた達…なんでカーソルが出ないの…?それどころか、私の体力ゲージも無いし…なんでなの?」
…は?カーソル?体力ゲージ?何言ってんだ?
『…お前は何を言ってるんだ?』
呆然とする俺とキャビの心中を代弁してくれるようにフォルフが訊いた。
それにしても、なんでゲームの用語が出て来るんだ?俺はなまじ知っている分、キャビとフォルフよりも衝撃がでかいのかもしれん。
「え?だってこれゲームの中…あれ?まさか…いやそんなはずは…」
「え~っと、悪いけど、俺たちにも事情を説明してくれないか?何か力になるかもしれないし。」
天使(らしき人)は、素直に説明を始めた。
天使(っぽい人)の説明はこうだ。
友達と今流行のVRMMO、”ヘブンズ・エンジェル・オンライン”というゲームを、いつものようにプレイしていたところ、ある友達が、
「実はこのゲームで、異世界に行ける方法があるって言う噂があるんだって!」
と言った。その話題に皆が食いつき、その噂を実践してみようという話になった。
実践する順番はジャンケンで決め、その結果、この天使(なのかな~?)が、最初になったらしい。
それで実践したところ、手順を終えたところで意識を失い、今に至る。とのことだ。
ちなみにその方法だが、そのゲームは人間界の上空にある、天界が舞台で、天界の一番端は地面が無いらしい。
そして出てくる人は全員天使で、空を飛べるとか。
普通に落ちると、しばらく落ちてからゲームオーバーになるが、
高速回転しながら、下に飛んで行けば、異世界にたどり着く…と、言うものらしい。
うん。いろいろつっこみどころはある。
「VRMMOって、小説かよ!んなもん俺たちの時代には無いわ!」
「え~、普及しまくってるじゃん。それともなに?私が嘘をついてるとでも?」
『…話の流れについていけないな…』
「そうよね…」
「フォルフ、キャビ、その辺は後で説明するから今は黙っててくれ!
そうじゃなきゃ、あれか?お前は未来からでも来たのか?」
「へえ、面白い仮説ね。私のところは2035年、そっちは?」
「…2014年だ。」
「…え?ほ、星は地球!国は日本!」
「……俺もだ…」
「………え?嘘でしょ?じゃあ、私は異世界に来ただけじゃなく、タイムスリップまでしたって事?」
「…………そう…なるのか?」
「「えええええええええええええええ!?」」
二人の叫びが、森にこだました。
「そういえば、自己紹介がまだだったね!あたしはキャビ!よろしく!」
俺たちはパニックから落ち着き、フォルフとキャビに事情を説明(キャビに俺が異世界人であることも言ったが、あっさり信じた)した後、
キャビは自己紹介をした。
『俺はフォルフだ。』
「俺は高壁守だ。」
フォルフと俺も続く。
「高壁…守…?…あ、私はタカミ、よろしく。」
?なんで名字が無いんだ?しかも、なんか俺の名前を聞いて驚いてるような…まあ、いいか。
「皆はなにをしてたの?」
タカミが訊いてくる。
「ああ、この方位磁石もどきに従って進んでたところだ。」
そう言って、俺は世界の意思からのプレゼントをタカミに見せる。
「あとね!お腹空いたけど、お金が無いってしゃべってたの!」
「おい!キャビ!恥ずかしいから止めろ!」
「え~と、お金お金…おお、メニューはそのままか。で、お金は…お!元のままだ!喜べ諸君!金ならあるぞ~!」
「おお!でかした!」
俺たちはタカミに感謝せねばなるまい。これで飯にありつけるぜ!




