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第五百八十六話 望んでもいない再開?気付かれない皮肉!?

 鉄格子に触れた顔から温度と力が奪われていく。

 飛びのこうにも力が入らず、肩、顔の痛みにより背の重みを押しのける力が発揮できない。

 こうなったら…!


「障へ」

「でしゅ!」


 肩の重みが消える。


「ゲフッ!?」


 妙な叫び声が聞こえる。


「なんだ?」


 鉄格子から顔を離しながら周囲の確認を行う。

 まず、俺が作り出した障壁とゆっくりと立ち上がる青い狼が見えた。

 大方こいつが飛び掛かって、肩に嚙みついてきたってとこか。

 次に、その障壁の先にある赤、黄、白の縞々模様が見えた。その先にはLを横にしたような赤い唐辛子に見えなくもない何かが見えた。

 あれが障壁にぶつかったのか?障壁を伸ばす前に狼が飛んでいったような…


「せっかく助けてやったのに、ぶっとばすなんてひどいでしゅ!」


 縞々が立った。どうやら生き物だったらしい。

 今の声もその縞々の物だろうか。どこかで聞いたような…


「……えーと…誰だったっけ?」


「覚えてないでしゅか!?少なくとも、こっちは嫌という程覚えてましゅ!!」


 あー、確かこんなムカつく赤ちゃん言葉がトレードマークのピエロが居たような…


「ああ、お前か!」


「覚えてないふりじゃなかったんでしゅか!?」


「二年以上前のことだったからな。」


 思い出せたのが軽い奇跡だ。

 五つの神器で死者の蘇生をするのだーとかなんとか言ってたやつの本拠地に居たやつだ。その時、タカミを操られて苦戦を強いられた。

 しかし、なんやかんやでタカミを正気に戻して魔法かなにかで完全消滅。

 塵も残さなかった…と思いきや復活して皆を幼児退行させたり中二病にしたりしていた。

 その後、一時的に共闘していた例の彼女によって始末されたと聞いてそれっきりだった。


「なんでここにいるんだ?」


「アイツに捕まったからに決まってましゅ。」


 こんなところに捕まえていたのか。

 一緒の牢屋に閉じ込めたのは偶然なのか、それとも意図してやったことなのか…


「それより、一つ提案があるんでしゅが…

 過去のいがみ合いは水にでも流して、私と一緒にここをでましぇんか?」


 過去の行いが行いだったため、気を張っていた俺は思わぬ提案に虚を突かれる。

 いつ恨みを晴らさせてもらいましゅとか言って襲い掛かってくるかと思っていた。


「ああ、ミルクにでも流して共闘しようじゃないか。

 そうでないと話が進まなさそうだからな。」


「ミルク…?まあ、話が早くて助かりましゅ。」


 赤ちゃん言葉への皮肉だということには気付かなかったのだろうか。

 どうせこちらが引き下がるまで粘るのだろう。今は素直に従っておいたほうが良さそうだ。

 この牢屋を破ったら間違いなく付いて来られるか、もしくはお得意の洗脳を俺に使ってくるか…だったら、上辺だけでも停戦協定を結んでおいた方が良い。

 共同戦線を張るのに少し抵抗があったものの、コイツの存在自体を忘れていたくらいだ。恨みはゼロではないがあまり残っていないのも事実。組んでやらないでもない。

 信用度はマイナスだけどな。


「そうと決まれば、まずはこの鉄格子を壊すか。どうにかして。」


「私は二年頑張ってみたんでしゅが…」


「全くの無傷、か…」


「ついでに魔法も効きましぇん。触れた瞬間に消えましゅ。」


 一見して、詰みだ。

 しかし。


「活路はある。」


「能力でしゅかぁ?」


「そうだ。」


 魔法は効かなくても、能力は効く。

 さっき例の彼女に障壁の槍を投げつけようとした時、鉄格子に触れてはいたが消えることは無かった。

 障壁で創られたものなら消えることなく壊すことが出来る。


「並みの硬さだったらここからさっさと逃げてましゅ。」


「そうだな。障壁だけじゃ無理かもしれない。」


「やっぱり駄目じゃないでしゅか!」


「ところが、そうでもないんだな。」


 そう言うと、俺は鉄格子に触れた。


「なにやってるんでしゅかぁ!?」


「黙って見てろ…!」


 数秒の間魔力が奪われる感覚に耐え、細工をした後手を鉄格子から離す。

 更に障壁の剣を創り、おもむろに鉄格子に切りつける。

 すると、カランと音を立てて鉄格子の一部が床に落ちた。


「私があれだけ苦労したというのに…」


「多分得手不得手の問題だ、気にするな。」


 勝手に直る等の仕掛けが動かないうちに、ピエロを引き連れて牢屋から出る。


「一応訊いとくけど、道は分かるか?」


「牢屋に直行したからわかる訳ありましぇん。」


「やっぱりか…」


 じっとしていても例の彼女の計画が達成されてしまうだけだ。

 闇雲にでも進むしかない、そう思った俺は数歩歩き、例の彼女が出ていった扉に手をかけて開けた。

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