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第五百八十三話 変化した日常?ついに明かされる目的!?

生きとったんじゃいワレェ!

というわけで帰ってきました。じりゅーです。

ちょっとした事情で忙しくなり、投稿が三週間以上遅れてしまうという始末。書くのに二日もかかりましたしね。

前書きでグダっても仕方ないのでちゃっちゃと本編に。あ、今回から最終章です。

 

「よう、また来たぞ。」


 少年はいくつも並ぶ石の中の一つにそう呼びかけた。

 訪れたばかりの静寂が破られ、また静寂が訪れる。


「これ、好きだったんだってな。俺のおごりだ。」


 コン、と小さい音が広がる。


「…飲みきりサイズの安い缶だけど。」


「うるさい。」


「友達の前で喧嘩しないで。

 はい、黙祷。」


 七対の手が静かに合わせられる。

 数秒後合わせた手を離し、石に刻まれた優野家の文字を見て少年はつぶやいた。


「もう、あれから二年が経つんだな。」








 令音の成仏から二年が経った。

 町中駆け回って令音の墓を捜し当ててから、定期的に墓参りに行く習慣ができた。

 その他は何も変わらずたまに異世界からギーナだのフラルだのが来て騒いだり、逆に遊びに行ったりしていた。

 しかし、そんな日々も永遠に続くわけではない。

 進路を大学に定めた俺たちは今、受験勉強に忙殺されている。


「だーかーらーなー!

 俺はそれが分からないって言ってんだよ!!」


「はぁ!?こんなの基礎の基礎だろ!!」


 主に俊太の。


「ちょっと前まで実は賢いんじゃないかって思ってた私がバカだった…」


「まあまあ、教えることでこっちの復習にもなるんだからいいでしょ?」


「…代わりに進めないけど。」


 もちろん、皆自分の勉強も行っている。

 ただ、俊太は授業を聞き流しの訓練と勘違いしていたのかそのほとんどが素通りしていたようで体育以外の成績も伸び悩んでいた。

 その為、放課後に火太郎の家(広いから)でその日の授業を振り返るための勉強会が開かれていた。


「太郎、なんかいつになく熱くなってない?」


「守君、ここ教えて!」


 何故か他校生の2人まで居るが。

 授業のペースは合っているのだろうか。


「ん?ここか。ここは……なんだ?

 ちょっと光先生、カモン。」


「はいはい。

 魔法で記憶力上げれば楽勝だとか言ってたくせに。」


「一時的に記憶力を上げてもな…魔法が切れると同時にあんまり思い出せなくなるんだよ。」


 宿題は体感時間を延ばしてのズルが効いたが、試験はそうはいかない。

 魔法でなんとかできないかと試行錯誤したものの、結局のところ普通に頑張るのが一番だという結論に落ち着いた。


「なるほど、ありがとな。」


「どういたしまして。」


 言い切る前に自分の勉強に素早く映る光。

 俺も続きをと思ったが、ケータイの着信音に気付いて素早くメールを確認する。


「誰?」


「母さんからだ。買い物して来いってさ。

 結構急ぎらしいから先に帰る。」


「そうか。またな。」


「ああ、またな。」


 別れの言葉を背にして部屋を出る。

 玄関を出ると真っ暗だった。11月ともなれば当たり前だろう。

 メールの買い物リストを確認しながら歩いていると街灯の下に女性の人影が見えた。なんで女限定って、あんなに長い髪をした男はいな…

 カーブミラーが目に入った。すぐに目をそらした。

 こんな時間に、こんな人気の無い場所に一人とは…珍しい、というよりも奇妙だ。

 触らぬ神に祟りなし。何もせずに通り抜け……


「ギーナ?」


 近くで見て分かった。長い髪が青いことに。

 この世界でも別の世界でも見慣れたソレを見間違えるはずが無い。

 それにしてもなぜこんなところに…また妙に手の込んだイタズラでも思いついたのだろうか。

 受験勉強で忙しいから止めろと言ったはずなのに。


「久しぶり。

 二年もなんの妨害も無いとは思わなかった。

 けど、好都合だったわ。そのおかげで私の計画は成就する。」


「お前…!」


 違う、コイツはギーナじゃない。

 今の今まで完全に忘れていたが、一度は共闘したこともあった、名前も知らない敵。

 例の彼女だった。


「……って、ちょっと待て。

 計画ってなんだ?そんなの初耳だぞ。」


 彼女の言う計画というのを思い出そうとして、そもそも聞いたことが無いということを思い出した俺は彼女に尋ねる。


「え?誰からも聞いてなかったの?」


「ああ。

 女神様も世界の意思も、お前の計画に関しては何も話してなかったな。」


 それどころか、2年前の冒険の意味も聞かされていない。神様とか世界の意思は秘密主義なのだろうか。


「本人から聞きなさい。

 私も大体の事情は分かるけど、説明するのが面倒だから。」


 分かるのかい。

 では早速訊こうと言いたいところだが、それは出来ない。


「それは無理だな。

 2年前から何故かいくら呼び掛けても全く連絡が取れないんだ。

 だから訊くことも」

『守さん!』


「ゴメン、できた。」


 あっさり連絡がついて拍子抜けする。なんだ、こんなことならもっと早く答えてくれればよかったのに。


『早く彼女から逃げてください!

 今の貴方では』

「余計なことまで言わない。じゃないと…」


『………分かりました。

 彼女の目的を説明する前に一つ。

 2年前、貴方に課せられた試練と彼女は無関係ではありません。』


 試練…数か月にわたった異世界の旅か。

 アレと彼女にどんな関係が?


『あの試練は、守さんを最強の能力持ちに育てるためのものです。

 彼女の計画を阻止する切り札として。』

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