第五十七話 移動手段はどうする?長、マジでか!?
世界の意志からの贈り物を受け取った後、俺たちは長の家に行き、俺たちがこれからどうするかを伝えた。
「ふむ、そうなのか。で、移動手段はどうするんじゃ?」
「それについて相談したいんだが、どうすりゃいいんだ?」
わざわざ長の家に来たのはこのためである。俺たちは海を渡る手段なんて持っていない。
でなきゃここから出ていくとだけ言って、後は出て行っている。
『なあ、というか、俺達はもう行っていいのか?』
フォルフが聞いた。そういえば俺たちは不審だからと捕まったんだった。
「ああ、それに関しては問題ない。今回の一件…ジルムの事でお前たちは信用できると判断した。」
『ならいいが…』
よ、良かった~またなんかあるのは面倒だからな。
「で、移動手段なんじゃが…わしの所有している船を貸そう。お前達は一度あらぬ疑いで捕まえてしまったからのう。」
「ありがとう。では…」
俺たちは出ていこうとした。
「ああ、待て。」
が、呼び止められた。
「キャビ、実は守達に付いていきたいんじゃないのか?」
「…ばれた?」
「まあ、お前は前々から村の外に行きたいと聞いていたからのう。いい機会じゃ。行って来い。」
「…ありがとう。」
キャビが仲間になった!
「よし、では行くぞ。」
そういって長は出かける準備をしていた。
「長も来るのか?」
「ああ、わしが今回船長を務めるからのう。こう見えても一時期、船長を務めていたんじゃ。」
「マジで!?」
こうして、長も仲間になった。
「すげえ今更なんだが、ジルムはどうしたんだ?」
俺たちは船に移動し、出航していた。
出航からしばらくして、ふと思ったので聞いてみた。マジでどこに行ったんだ?
「ああ、お前達が来る前に、鳥になって帰って行ったよ。」
「と、鳥になってですか…」
鳥になったって…
「お、おい!なんだあれは!?」
そんな雑談をしていると、突然船の乗組員が騒ぎ始めた。船は結構大きく、同時に二十人くらいは乗れそうな気がする。
「うわあああああ!!で、でかい鮫だああああああああ!!!」
海から巨大な鮫が出てくる。体長は…二十メートルあるんじゃないか?こええよ…
「い、いやだああああ!!死にたくなああああああ…あ?」
乗組員の叫びが突然止まったことには理由がある。なぜなら…
「…なんでアイツ、串刺しになってるんだ?」
なぜなら俺が障壁で串刺しにし、今からでも塩焼きに出来るようにしたからだ。まあ、木製の船の上だから焼けないが。
仮に船で火をつければ船が全焼するだろう。
「ま、まあ、助かったし、良かったんじゃないか?」
「そ、そうだな!」
乗組員はこの事について、深く考えるのは止めたらしい。
世の中には知らなくて良い事もあるんだよ…
「ありがとうな。」
だが、隣にいる船長は分かったらしい。




