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第五百七十三話 いつ奪うの?無限の膨大さ!?

今で(ry

 起き上がった人質まもるを見たジラは、大きな動揺を隠せないでいた。


「バカな…死なない程度とはいえ、魔力を奪い取ったはずなのに…!」


「なんで分かったんだタム!俺が目が覚めてたことに!!」


 守もまた動揺を隠しきれなかった。


「何度も魔力切れ(死地)をかいくぐってきたんだ。今更早いだけの回復で驚きもしないよ。」


 冷静に返すタム。

 それに加えてギーナと俊太の心にも驚きは無かった。


「せっかく逆転の機会を待ってたのにこれか!自分から潰していくなよ!!」


 敵の前で作戦をばらしてしまったが、すでに後の祭りだったので誰もツッコまなかった。


「まあ、どの道何かの拍子でバレてたさ。

 僕なら」

「そうとは限らないだ…ぁ…」


 がくりと崩れ落ちる守。

 ジラはナイフの位置が首から離れないようにしつつ支える。


「さっさと逃げ出せば良かったものを。

 でなければ、また気絶する羽目にならなかっただろうに…」


「魔力を奪ったのね…!」


 先程の発言により、いかにして守の意識を奪ったかはこの場に居る誰もが知っている。気絶している守でさえだ。


「バレてしまっては仕方ない。

 次はそこの無粋な小娘だ!」


 人質まもるを捕らえたままギーナに近付き、肩に手を置く。


「……これ必要?」


「わざわざ答えてやる義理は無い。」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……で?いつ奪うの?」


「バカな…!」


「えーと…なんだこれ?」


 ギーナの肩に手を置いたジラはそのまま黙り込んだ。

 今行われた駆け引きはそれだけに見える。俊太が首をかしげるのも無理はない。


「ジラはギーナの魔力を奪った。今も奪い続けている。

 けどギーナはなんともない。だからジラは戸惑っている……ついでに僕達も。」


 タムが推測を口にする。

 そしてタムの推測は的中していた。


「言っておくけど、私の魔力を奪い尽くすなんて出来ないわ。」


「何故そう断言できる!

 底が見えないのは認めよう、しかしお前の魔力は全て奪い尽くす!」


「それが無限でも?」


「!?」


 予想だにしていなかった言葉に驚愕するジラ。

 ブラフにしては大げさすぎる。本当にそうだとは思えない。

 だが、ほんの少しのもしかしたらがその全てを結論付けた。


「貴方がいかに魔力を奪おうと、私の魔力が底を尽きることは無い。

 諦めるなら早めにしておいた方が良いわ。」


「そんな嘘に騙されると思うか!?」


「……能力、って言っても?」


「何…?」


「私の能力は魔法を操ること、その副産物で魔力が尽きることは無い。

 信じなくても良いけど、貴方が無駄なことをしてるっていう事実は変わらないわ。」


「……」


「…そう、続けるのね。」


 あまりの諦めの悪さに呆れすら覚えるギーナ。

 彼女の魔力切れを狙うのは不可能だと、誰もが理解しているはずだった。

 そう、いまだ魔力を奪い続けているジラも。


「例え奪い尽くせなくても問題無い。」


「へえ、なんで?」


「答える義理は無いが、能力を教えてもらった礼だ。教えてやろう。

 俺の能力は、魔力を奪う能力…これで敵の魔力切れを狙うこと❝も❞できる。」


「❝も❞?」


「ああ。

 あくまで魔力切れは副産物みたいなものだ。この能力の真価は別にある。」


「………まさか!」


「そう、そのまさかだ。」


 ふと、ジラは手のひらを顔の前まで上げる。

 その上に存在する炎、電気、水、それらの大きさが物語っていた。


「奪った魔力は使えるってことね…!」


「ご名答。

 魔力切れで倒せなくても、無限に奪えて使える。

 無限に魔力を使えるとは夢のようだ…!」


 ジラは歓喜に打ち震えながらも次々と魔法を放つ。


「避けろ!」


「待って!僕はあんまり戦えないんだけど!?」


 例え非戦闘要員でも、襲ってくる攻撃は止まってくれない。

 避ける隙間も無い魔法の嵐は3人に向かい、無慈悲にぶつかろうとしていた。


「避けなくても問題無いわ。」


 そんな中ただ一人、彼女だけは動く素振りすら見せなかった。


「んなわけねーだろ!お前も逃げろ!」


 俊太が叫んでも、彼女は動かない。

 ついに嵐が彼女にぶつかる、そう思われた瞬間に嵐は空中で見えない壁にぶつかったように次々と弾け、消滅していった。


「届かない攻撃なんて、避ける意味も無いじゃない。」


 あっけらかんと言い放つギーナ。


「バカな…!

 俺は無限の魔力を手に入れたはずだ!なのに何故こんなにあっさり!」


「え?

 貴方は無限の魔力なんて手に入れてないけど?」


「な…に…?」


 ありえない、その一言がそのまま表情になったような顔だった。


「……え?まさか気付いてないの?嘘でしょ?」


「俺が何に気付いていないというんだ!」


 激昂に近い感情を露わにするジラ。

 それを見るギーナの目は冷静、と言うよりも冷めている。 


「貴方は無限に魔力を吸い取ることが出来る、それは事実だけど。

 貴方自身が無限の魔力を手に入れたわけじゃない。」


「どういうことだ…?」


「まだ無限の魔力を吸い取っている途中ってことよ。

 無限の魔力を吸い取れたわけじゃない。そんなもの、吸い取るのにどれだけかかると思う?

 少なくともこんな短時間で吸い取れるほど、無限は小さくないってことは確かだと思うけど。」


「ハッ!」


「奪えるだけの無限の膨大さに目がくらんで、当たり前なことに気付いてなかったのね…呆れた。」


 冷めた視線と冷めた言葉。当然のことに気付けなかったことへの後悔。

 それに打ちひしがれたジラは愕然とし、うなだれた。


「えーと…つまり、どういうことだ?」


「分かりやすく言うと。

 例えば、俊太がいくらでも食べ物を食べられるとしよう。」


「おお、一回の飯でいろいろ食えるな。」


「そして目の前に無限のリンゴがあったとする。」


「世界が埋まりそうだな。」


「それをすべて食べることが出来る。

 それは良いけど、無限のリンゴを食べきるのに何日かかる?」


「えーーと………分かるか!」


「そして、この場合俊太がジラ、リンゴが魔力。これで分かった?」


「無限の魔力を奪い取るまでに時間がかかりすぎるってことか?」


「よくできました。」


雰囲気壊さないために後書きに載せました。

結局壊してるとか言わないでください。本編じゃなきゃ少しは和らぐと思ったんです。

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