表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
593/630

第五百六十九話 聞かせておいて悪趣味?面倒なプロ精神!?

忙しかったり疲れたりで遅れました。申し訳ないと思いつつ謝罪の文考えてる暇があったら早く打とうこうした方がいいんじゃね?と思っております。

…反省してないっぽいけど反省はちゃんとしてます、はい。

 よからぬ予感がしたのでしごとをほっぽりだし、暗い気配の尾行を始めた。

 言葉を交わしたことこそ少なかったものの、共に旅をした友達だ。俺はそんな仲間を見捨てる程薄情じゃないつもりだ。


「誰だ?」


 即行バレた。

 物陰に隠れていたと言うのに…まさか気配察知ができるのか?


『待って、ブラフかも。』


 …とりあえず様子見だ。

 本当に分かっていたならこちらに向かってくる。ブラフならそのまま立ち去る。

 さあ、どっちだ?


「お前か。」


「……」


 前者だったらしい。


「お前は誰だ?」


 バレているならとぼけても無駄、なら切り込むまで。


「その質問はこちらの物だな。付けて来ておいてお前は誰だとは…」


 確かに、言われてみればそうかもしれない。普通よく知りもしない相手を尾行などしたりはしない。


「悪いな、知りもしないのに尾行なんてして。

 どうやら知り合いが危ないらしいからな。」


「独り言を聞くとは悪趣味な…」


「聞こえたんだよ、偶然。」


 そもそも、聞かれたくないなら口に出さなければいい。

 人に聞かせておいて悪趣味とは…

 不意に肩を両手で掴まれた。がっちりと掴まれており、これでは逃げることもできない。当然のように警戒を強める。


「それに、危ないのがタムとは限らない。」


「…じゃあ、誰がだ?」


「お前だ。」


 力が…抜けていく?

 得体のしれないような、それでいてどこかで味わったような妙な感覚に襲われて目の前が真っ暗になった。







「あいつら守を探してばっかだな…」


「ええ、仕事にならないわ…」


 ファンは全員守の到来を知って捜索している。

 合流した俊太とギーナはその事実を確認し、対策を練っていた。


「人気者になれる上に報酬がもらえるんだろ?最高の話だってのに…」


「俊太はもう充分働いたし、多分報酬は弾むと思うけど…

 私と守は多分もらえない…」


「……?」


 ギーナが途中で言葉を切る。


「いえ、名前だけでも一応囮の役割を果たしてる守は貰えるかもしれない。

 けど私は?」


「なにもしてねーな。」


「守の捜索に点数稼ぎの名目を増やしただけじゃない。

 こんなことじゃ頼まれても報酬なんて貰えないわ。」


「意外と真面目なんだな。」


「狩人としてのプライドがね…」


「プロ精神か、嫌いじゃないがめんどくさいな。」


 狩人とはギーナの職業である。

 この世界においては魔物や獣を討伐したり危険な場所からものを取ってきたりと様々な依頼をこなし、報酬を貰う職業である。


「そんなわけだから色々と作戦を考えるけど、邪魔しないでね。」


「分かった。」


 彼女は自分がムキになっているとちゃんと自覚している。

 しかしそれを止める理由も無いと判断し、やりたい放題することにした。

 そんな2人が守の失踪に気付くのは、そう遠くも無い未来だとは知る由もない。







「確かここだったな。」


 誰かに確認をとる訳ではないが、なんとなく独り言をつぶやく俊太。

 彼はギーナの邪魔にならないよう、彼女に言われてタムの家に来ていた。


「よう!ちょっと戻ってきたぜ!」


「あれ?俊太?よくここが分かったね。

 上がっていいよ。」


 タムからの返事が聞こえ、ズカズカと上がり込んでいく俊太。遠慮も礼儀もあったものではない。

 玄関からそれほど遠くないタムの自室にはすぐに着いた。ドアを開けると机に向かっているタムの姿があった。


「さっき来てただろ。」


「流石に数分前のことを忘れるほどバカじゃないか…」


 俊太は守が気絶した時、一度タムの家に来ていた。

 それを覚えていたことに対してタムは少し驚く。自身の著書では完全な策士だったが、この俊太は感覚オンリーのバカだと思っていたからだ。


「何か言ったか?」


「いや、ちょっとね。

 それより、ちょうどいいところに来てくれた。

 俊太、ちょっと近くの店で取ってきて貰いたい物があるんだけどさ。受け取って来てくれない?

 今手が離せないから。」


「おう、任せとけ。」


 タムに差し出された紙を受け取る俊太。

 どうせ暇だし、机に向かって意味不明な文字を書く様を見ていても暇なだけだと悟った俊太はあっさり承諾する。

 少し出歩いても、タムに言われたと言えばギーナも邪魔しに来たと邪推することもあるまい。とまでは考えていなかったらしいが。


「あ、そうそう。

 寄り道は絶対しないでね。結構急ぎだから。」


「それは良いんだけどな…

 店の絵描かれても場所分かんねーよ。地図にしてくれ。」


 手渡された紙には目的の店と思われる絵がかいてある。

 無駄に上手い。完全に技能を無駄遣いしていることは俊太にも理解できた。


「地図ならその裏面。」


「ああ、なら最初からそう言え。」


 紙をめくり、地図を一瞥した俊太に一つの疑問が生じた。

 店の場所が分からなかったわけではない。が、もっと別な…


「繰り返し言うけど。

 急ぎだから絶対に寄り道せずに行って来てね。よろしく。」


「分かってるって。」


 俊太は生じた疑問によりもやもやしつつ、地図をガン見しながら部屋を出る。


「いって!」


 柱に頭をぶつけた俊太を見たタムの胸中に不安が生まれた。

 また、俊太が感じた先ほどのもやもやも頭の痛みと共に消えていった。

狩人は本編二話で詳しい(?)説明が載っています。

今ではもう見返すのも恥ずかしい…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ