第五十三話 こいつは誰だ?怪物の場所へゴー!?
「では、そう言うわけでお前さん方には早速行ってもらうぞ?まあ、念のためにキャビも付いて行かせる。」
長がそう言うと、一人の少女がこちらにきた。
「…わたしがキャビ、よろしく。」
おい、コイツはさっき剣突きつけてきた奴じゃねえか。まあ、これで脱走が出来なくなっちまった訳だ。
「俺は守だ。」
『フォルフだ。』
俺たちも自己紹介をする。
「道案内もキャビに任せるとする。では、行って来い。」
俺たちは部屋を出て行った。
「ねえ!守…だったっけ?は、どんな能力を持ってるの!?」
俺たちが獣人の村を出たところで、キャビが話しかけてきた。キャラが変わりすぎて驚いたのは言うまでもない。
「…さっきまでのお前はどこへ行った?」
「ああ、あれはお仕事モードって奴よ。仕事の時はいつもあんなかんじにして、そうじゃなくなった時は今みたいにするの!」
こんな子供がメリハリをつけられる…だと…
『…ずいぶんとしっかりしてるな…お前は…』
さすがにフォルフも驚いたらしい。
「あたしを子ども扱いしないでよ!」
一人称まで変わった!?こいつ二重人格とかじゃないよな!?
「それで、どうなの?」
「ああ、俺の能力は障壁を創造する能力…といったところだな。まあ、簡単に言うと…」
「さっきの建物みたいなものが出せるのね!?昨日見てたから分かる!」
…あれ見てたのこいつだったのか…
「そうだ。それに、形も自由自在だ。まあ、出してから変えるのは無理だが。」
「へえ~!」
おかしい。コイツ本当に二重人格なのでは?さっきまではこんなに無垢な子供じゃなかったぞ?
『そういえば、目的地にはどれくらいで着くんだ?』
「う~ん…怪物の進み具合にもよるけど…まあ、三時間歩けば着くんじゃない?」
うげ…遠いな…
「あいつよ!あたし達の村に来るかもしれない怪獣は!」
やっと着いた…もう、移動だけでくたくたなんだが…車の偉大さが良く分かる道のりだったぜ…
着いたところは、谷を挟んで崖があるといった感じの場所だ。
『…守、大丈夫か?』
「もうだめだ…疲れた…」
「なにを言ってるの?早く準備して。」
キャビがいつの間にかお仕事モードになっている。まあ、頑張るしかないか…
「ていうかアイツでかすぎじゃね?」
怪物を改めて見てみると、かなりでかいことが判明。もう勝てないんじゃないかな?
俺たちは崖の上にいるのだが、怪物は、どうみても谷から俺たちの身長よりも更に上の位置に頭がある。
ちなみに頭は物語とかに良く出てくる、典型的なドラゴンだ。崖の下は見えない。
そんなことを考えていると、怪物がこちらに気づいたようだ。なんでキャビが叫んだ時点で気づかなかったんだ?
「…あれ?素通り?」
しかし、奴は俺たちを無視し、先へと進んで行った。目に入らなかったとでもいうのだろうか?
「…素通りなんてさせないわ。行くよ。」
そう言うとキャビは怪物を追って走り出し、俺たちも続いた。




