第五百二十七話 子供は素直?騒動慣れもはた迷惑!?
まだだ…まだ失踪してない!
休日出勤?残業?レポート?週末に休みがある限り、じりゅーの完走の意思を折れない!
…とかいいながら一週間以上手付かずでした。すいません。もやしにはきつかったです。
「……今日もいろいろあったな。」
昔書いていた日記を見て、誰に対してでもなく言ってみる。
異世界から帰り、なんとなく部屋を整理していたら出てきたのだ。
今日からまた書き始めるか…いや、止めておこう。
今日だけでも酔っ払いから逃げたり、村が襲撃されたり、魔力が切れたり…おっと、そう言えばあの3人結局逃げてたな。おかげで何も訊けなかった。
…と、このように毎日が濃い。
それを全部書いたら、一ヶ月…いや、二週間も経たないうちに日記を買い換えることになるだろう。ただでさえ限られた小遣いが減ってしまう。
そもそもだ。俺が日記を書いても誰も得しない。強いて言うなら日記を作ってる会社が若干の利益を得る程度。
それに、もしかしたら誰かに見られる可能性が…
「その手に持ってるのって何?」
やばい、一瞬動揺した。来たのはキャビか。
キャビは村に着いたというのにまた現代に行きたいと言っていたので、長にも一言言って現代に連れてくる事になった。
旅が終わったら別れた皆共々たまに会いに来る、とは言ったのだが、それでも来たかったらしい。
最後になるかもしれない、とか微妙に不吉な事を言われれば断りきれない。
それはともかく、話を戻すと子供は素直すぎるから隠し事とかはできないんだよな…内緒とか言っても何かの拍子でばれる。俺がそうだったから分かる。
よく偶然見た母さんのへそくりの場所を父さんに告げ口してしまったものだ。夫婦の間に隠し事は無いなんて言われてたから、妙な信頼を寄せてたのかもしれない。
「あれ?日記?」
「いつの間にか前に回りこむんじゃない。」
ってか、なんで読めるんだよ…あ、翻訳魔法か。
「読むなよ、面白いことなんて欠片も無いからな。」
「へ~、昔から光と太郎と一緒に居たんだ~。」
「聞け!」
俺の手にあった日記は、いつの間にかキャビが手に持っていた。
まあ、見られても問題は無いはずだ。どうせ下らない事でも…
「1月30日、太ろうが作った雪だるまのうでと目をすりかえた。
太ろうのはんのうを見たらわらっちゃったせいでばれた。」
「音読すんな!」
日記の内容を声に出し始めたキャビの手から日記を奪い取る。さすがに音読までは許さない。
「返して~!」
「それは数秒前の俺の台詞だ。
まった…止めろ!その早さで腕を伸ばすんじゃない!危ないだろ!?」
キャビが伸ばした手をもろに受ければ少し体が浮くくらいの威力がある。
それを見極めた俺は日記の事など忘れて必死に避ける。そう、忘れてしまったのだ。
手に日記が無いことに気付いた瞬間、キャビの拳を避けられずしばらく悶える事となった。
「へえ、そんなことが…」
「日記を読むのは構わないんだけどな…せめてその悪い顔はなんとかならないのか?
あからさまに悪巧みしてますよって言う顔になってるぞ。」
消えていた日記はタカミが皆に見せていた。
別に変なことは書いてないし、妙な騒動を起こされるよりかはマシなので読ませてはいるのだが…
約一名日記を見ているとは思えない表情をしているので不安しかない。
「ちょっとね。
大丈夫、今はなんともないから。
…後でだから。」
「後でとか言うな!」
ますます恐ろしいです止めてください。
これ以上日記を見せてはならない気がする。
俺は勘付かれないように、無言かつ無音でタカミの手から日記を奪い取る。
「もう思いついたんだから今更日記を取っても遅いわよ!守!」
どうやらもう遅かったらしい。
観念した俺は日記を大人しく手渡し、とぼとぼと部屋に戻った。
いや、戻ろうとした、か。
「晩御飯できたわよー!」
大声で言われたから一瞬なんか起きたのかと思った。
騒動慣れもはた迷惑なものだ。




